「家虎」とは
「家虎」とは、アイドルやアニメ系コンテンツのライブにおいて観客が行うコールの一種「イエッタイガー」の略です。
「コール」とは、曲の間に入れる合いの手のようなもので、観客が一斉に行う掛け声や手拍子(クラップ)のことです。
1970〜80年代のアイドルファンの中には親衛隊と呼ばれる熱心なファンがいて、「L・O・V・E。I LOVE ○○○(アイドル名)」のような掛け声を飛ばしていましたが、それの現在バージョンと考えればイメージしやすいでしょうか。
「イエッタイガー」は曲中の少しの空白部分、たとえば、サビに入る手前などで叫ばれることが多いようです。
「家虎」の由来
「家虎」こと「イエッタイガー」というコールは、地下アイドル系のライブにおいて生まれました。MIXと呼ばれる長めの合いの手の中で、「タイガー・ファイヤー・サイバー・ファイバー・ダイバー・バイバー・ジャージャー」のように「タイガー」で始まるものがあります。
これの合図として「イエス!」と言っていたものが、先頭の「タイガー」とくっついて「イエスタイガー」→「イエッタイガー」と変化したのです。そして、「イエッタイガー」自体が、短いコールとして用いられるようになりました。
「家虎」の使い方
- この曲のサビ前に「家虎」入れるのは有名だよ。
- このライブでは「家虎」禁止だって。
- 「家虎」は盛り上がるから好きっていう人もいる。
- 歌の間の「家虎」よりも歌に被るコールの方がいやだ。
「家虎勢」
「家虎勢」は、ライブで「イエッタイガー」と叫びたい人たちのことです。文脈によっては、コールをしないと気が済まない迷惑な人たちというニュアンスで用いられることもあります。
「家虎警察」
「家虎警察」は、もちろん、実際の警察組織のことではありません。「家虎警察」とは、「家虎」に否定的な人のこと。中には、「家虎」を止めるためには手を上げることも辞さないという過激な人もいるようです。
「家虎根絶」とは
2020年2月、「家虎根絶」という言葉がTwitterのトレンドワードに入った日がありました。「家虎根絶」とは「家虎」を全面的に禁止するということです。それを機に「家虎」という言葉を知った人も多かったのではないでしょうか。
「家虎根絶」の発端
「家虎根絶」は以前から言われていたことですが、Twitterにおける、ブシロードグループの創業者・木谷高明氏がTwitterで発言したことで火がつきました。
ブシロードグループとは、カードゲームやトレーディングカードなどを中心に、アニメ作品への出資、ライブイベントの主催など、さまざまな事業を手がけている企業グループです。
木谷氏が示した「家虎根絶」という方向性により、『BanG Dream!』(バンドリ!)などブシロードが関係しているコンテンツのライブにおいては、公的ルールとして「家虎」が禁止されていくでしょう。
お知らせ。家虎根絶する方向で動きます。今後、明らかにライブの妨害に当たるものは退出に留まらず、ブラックリスト化。場合によっては損害賠償請求など法的手段の検討もさせて頂きます。ご理解よろしくお願いします。
— 木谷高明 (@kidanit) February 1, 2020
「家虎」禁止の事例
過去にもイベント主催者側が「家虎」を禁止した事例は存在します。たとえば、アイドルグループ・私立恵比寿中学の公式ブログ、2016年の記事では、ライブにおける「サビ前のイエッタイガーは禁止」と記されています。
また、アニメ『けものフレンズ』のライブの開演前には「虎さんのコールは禁止です」とアナウンスされたそうです。つまり、「イエッタイガー禁止」ということ。いろいろな動物を擬人化したキャラクターが登場する作品にちなんだアナウンスです。
「家虎」禁止の理由
「家虎」が禁止される理由はいくつか考えられますが、一番は「歌や演奏をきちんと聴きたい」という観客の要望が強いこと。騒音が妨げになるのはもちろん、曲の雰囲気に合っていないのに「イエッタイガー」と叫ばれることが嫌だという人もいます。
また、アーティストやクリエイターの中にも、曲の間の空白部分は空白部分として味わって欲しいという要望を唱える人もいます。観客の自主的なマナーに期待するだけでは、観客同士のトラブルに発展することもあるため、「家虎」が禁止されることがあるのです。