「よき」の種類
一言で「よき」といっても思いつく漢字は人それぞれではないでしょうか。今回記事では、次の「よき」について説明します。
- 予期
- 良き(よき)
- 斧
- 雪
1.「予期」
「予期」は「あらかじめ待ち設けること・前もって期待すること」という意味です。似た言葉に「予想」がありますが、こちらは「前もって予測すること」を指します。
「予期した通り」と「予想した通り」のように、同じように使われることがあります。しかし、「予期」は期待や覚悟といった心持ち、「予想」は予測した内容にウェイトが置かれた表現です。
【例文】
- 種々の事情でプロジェクトが難航していたので、今回の商品開発中止は予期した通りの結果であった。
- ここまでシード校として圧倒的な力を見せつけ勝ち上がった我がチームであったが、今日は予期せぬ苦戦を強いられた。
- 私は彼の大学合格を予期していたが、結果は残念なものであった。しかし彼は次の受験に向けて上を向いていた。
2.「良き(よき)」
「良き」
「良き」は「良い・素晴らしい」といった意味で使われます。おもに、「良き品・良き女・良き雪」のような複合語の形を取ります。
【例文】
- 受験の合格と自分の誕生日が重なるなんて、なんと良き日なんだ。
- この度は良きお品を頂戴いたしまして、ありがとうございました。
- 彼は、ときに厳しい助言もくれる良き先輩だ。
「よき」(若者言葉)
上のように「良き日」のような言い回しは、文語的でカッチリした印象がありますね。しかし、若者たちの間でも「よき」は使われており、2019年の女子高生流行語大賞で第2位に入っています。
この「よき」は、「それ良くね」や「それすごい」といった意味。また、返事で「よきよき」と使うと「いーよ」という意味になります。これらは、古文で習う「よきかな」が短くなったもののようです。
【例文】
- 「彼氏とディズニーシーに行ったんだけど夜のイルミネーションがまじよきだった」
- 「デートの服が決まらなくて悩んでいたら、妹がそれでよきと言うのでこれにした」
- 「今日帰りにカラオケいこーよ」「テスト今日で終わりだし。よきよき」
3.「斧」
「斧」は、一般的には「おの」と読みますが、「よき」とも読みます。薪割りなどに使う斧は、くさび形の金属部分と木製の柄とでできていますね。刃を横に向けて斧を置いた時、よく見ると、この金属部分には線が刻まれていることがあります。
片方の線は3本で「ミキ=御神酒」、反対側の線は4本で「ヨキ=四気」を指します。四気とは、木が育つのに必要な4つの要素、太陽・土・水・空気のこと。このヨキが、斧を「よき」と呼ぶ由来になったとされています。
現代では、固有名詞以外で「斧」を「よき」と読んで使うことはほとんどありません。
4.「雪」
「雪」の読み方は「ゆき・せつ・そそぐ」などが一般的ですが、「よき」とも読みます。これは関東を中心とした東国地方の方言。東国地方とは、「遠江・駿河・伊豆・甲斐・越後・信濃・奥羽」に渡る地域のことです。
これは古い言葉ですから、現代では、「雪」を「よき」と読むことは無いようです。