「あからさま」とは?
「あからさま」には、大きく分けて次の4つの意味があります。ただし、いまの日本語で使われているのはほとんど1番目の意味においてのみです。
- 包み隠すことをせず、ありのまま外に表すこと、隠し立てせず明白なこと、あけっぴろげなこと、露骨なこと。
- 物事が突然起こること、にわか、たちまち。
- 一時的であること、ほんのちょっと、かりそめ。
- (「あからさまにも」のあとに打ち消しのかたちで)まったく、かりそめにも。
「あからさま」の由来
漢字で表記することのない「あからさま」は、平仮名であるだけに、その由来がわかりづらいですね。
「あからさま」の語源は、古語の「散る・別る(あか・る)」と「狭間(さま)」。「散る」は「離れる」、「狭間」は「少しの間」という意味で、この2つが重なった「あからさま」は、「(本来あるべきところから)一時的に離れる」ことを指しました。
古語として「ほんのちょっと、かりそめ」という意味をもつのも、上記のような語源によるものです。
近世以降、「あからさま」は「明からさま」という漢字によるものと誤解されたことから、現代においては「明白」「あけっぴろげ」などの意味が主流となったのです。
「あからさま」の使い方
「あからさま」は、「あからさまな」「あからさまに」など、形容詞、副詞のかたちとしても多用されます。敢えて「包み隠さず…」と言っているわけですから、用いるときは本来はふれにくいような話題が背景となっている場合があります。
たとえば、自分の年齢をふせたい人の場合、「年齢を人前であからさまに告げることになった」というような言い方をします。
一方、幼い子供の年齢を明らかにすることを迷うケースはあまりありません。そのため、「幼稚園児の我が子の年齢を人前であからさまに告げることになった」という表現は不自然に感じられます。
また、「あからさま」はポジティブな内容、すなわち「敢えて明かしたい内容」においても使える言葉です。その場合はむしろ、伏せたい場合とは逆に、少々自慢したい心情がこもることが多いものです。
「あからさま」の文例
(A男)
誰だって、離婚の理由を他人にあからさまに説明したくはないよ。
(B子)
恵美さんは、自分がどれほど幸せな境遇かをあからさまに言いすぎるから、だんだんまわりが引いてしまうことがあるの。
(C男)
我が社が今年赤字転落した理由を、株主にはあからさまに伝えるべきだ。そうでなければ納得してもらえないだろう。
(D子)
部下の好き嫌いがあからさまな中村課長の言動は、課の空気を悪くするから改めて頂きたいわ。
「あからさま」の類語
「明け透け」
「明け透け(あけすけ)」は、包み隠さず、あけっぴろげに表現すること、遠慮せずにはっきり表現すること、露骨、赤裸々、などの意味をもつ言葉です。
「あからさま」とはほぼ同義ですが、辞書によっては「慎み深さを欠く」「遠慮せずに」という説明があることから、謙虚さが足りないというニュアンスもあるようです。
【文例】
- 真理子ちゃんが彼とのデートの一部始終を明け透けに話すので、聞いているほうが気恥ずかしくなってしまった。
- 私たち夫婦は、真に理解しあうために、なにごとも明け透けに伝え合うことにしている。
「露骨」
「露骨(ろこつ)」とは、本心や感情、欲求や主張などを、隠すことなくむきだしに表現すること。言葉、行動、態度、表情などその表し方は多岐にわたります。
語源は、読んで字のごとく、「骨まで露わ(あら・わ)にする」ということですから、まさに「むきだし」そのものですね。字義は「あからさま」「明け透け」とほぼ同じですが、「露骨」にはネガティブなニュアンスがあります。
先の二つは、正直でいたいからすべてをさらけだす、というポジティブな意味にも用いますが、「露骨」は、無神経さや微かな悪意さえほのみえる感情のニュアンスを含みます。
【文例】
- 教師も生徒個々への相性は異なるだろうが、それを決して露骨に表してはならない。
- 会議中、小林課長は露骨に私を困らせるような質問を繰り返した。