「バイキング」とは
遊園地などに、船をかたどった大型ブランコのアトラクションがあります。乗ったことがある方もいらっしゃるでしょう。このブランコは、海賊として知られる「バイキング」が使っていた船を模したものです。
「バイキング(viking)」には、大きく分けて、次のような意味があります。
- 北方ゲルマン民族のこと
- 「バイキング料理・バイキング形式」の略
- 火星探査計画「バイキング計画」の略。または、その際の探査機の名称。
- 遊園地などの大型ブランコ
2〜4の意味は、1の民族名に由来しています。ここでは、よく使われる、1と2について解説しましょう。
「バイキング」①北方ゲルマン族
「バイキング」は北方のゲルマン族のことで、ノルマン人とも呼ばれています。彼らは、もともと、デンマークやスカンジナビア半島に暮らしていました。侵略や略奪、植民を行い、ヨーロッパなど各地に進出したのは8〜11世紀頃のことです。
バイキングには海賊だけでなく、商人や傭兵といった側面もありました。彼らが進出したのは、イングランド北部、フランス北部、アイスランドやグリーンランド、北米大陸(ヴィンランド)といった北部沿岸地域だけではありません。ロシア平原やシチリア島にも勢力を伸ばしました。
「バイキング」の由来
バイキングは、古い北欧語ではヴィーキングですが、この名前の由来は定かではありません。一説には、ノルウェーの入江(ヴィーク)の住民の意だと言われています。
「バイキング」の使い方
- バイキングが使っていた船は、敵国からはドラゴンシップとも呼ばれていた。
- この町は、バイキングによって作られたと言われている。
- バイキングの墓からはノルウェー・ビュードッグの祖とされる犬の骨が見つかっている。
「バイキング」の船
バイキングの各地への侵略を可能にした一因は、ロングシップという細長い船です。喫水(船の最下部から水面までの距離)が小さく、浅瀬や川でも活動できました。バイキングは、機敏に動けるこの船に乗って、奇襲作戦を行ったのです。
「サガ」とは
小説や映画などでは「○○・サガ(サーガ)」というタイトルを冠した作品がありますね。この「サガ(saga)」は、アイスランド語で散文作品のこと。おもに、ノルウェーやアイスランドで実際に起きたことを題材として書かれています。
「サガ」は、ノース人(ノルウェー人)の言葉「sayer(言う)」に由来していますから、代々受け継がれてきた口伝てを書き留めたものということですね。
この「サガ」には、赤毛のエイリークやその息子の、グリーンランド入植やヴィンランド発見・入植についても記されています。彼らのヴィンランド上陸地点は、一説には、カナダのニューファンドランド島だそうです。
「バイキング」②バイキング料理・バイキング形式
テーブルにたくさんの料理が並んでいて、客が自分で料理を取り分ける形式の食事を「バイキング(バイキング料理・バイキング形式)」と呼びます。
パーティーや宴会の料理をこのように提供したり、定額料金を支払う食べ放題など、みなさんにも馴染み深いものではないでしょうか。
「バイキング」の由来
このような食事の形式を「バイキング」と呼ぶのは、日本独自の呼び方ですから、海外では通じません。この形式は、スウェーデン料理の「スモーガスボード」に由来しています。
「スモーガス」はバターを塗ったパン、「ボード」はテーブルの意。起源は定かではありませんが、「スモーガスボード」はスウェーデンの代表的な料理で、前菜・肉料理や魚料理・主食・デザート・飲み物などを何種類もテーブルに置き、各自が取り分けて食べるご馳走を指します。
「バイキング」の使い方
- 最近では、ホテルも朝食にバイキング形式を取り入れているところも多い。
- 昨日は友人たちとケーキバイキングに行ってきた。
- バイキングだと、ついつい料理を取り過ぎてしまう。