「捻出」とは
「捻出」は「ねんしゅつ」と読み、簡単に言えば、ひねりだすことという意味です。では、「ひねりだす」とはどういうことかというと、次のようなことを指します。
- やっとのことで考え出す。
- 無理をして金銭を作り出す。
両者ともに「やっとのことで」や「無理をして」という文言が入っていることに注目してください。「捻出」も「ひねりだす」に準じて、おもに、「苦労をしながらもアイデアを出すこと」か「どうにかお金などを工面すること」のどちらかを表すことが分かるでしょう。
また、「捻出」は、「~する時間を作る」の意味で使われることもあります。こちらも、「何とか時間をやり繰りして」というニュアンスが含まれます。
「捻」の意味
「捻」は音読みでは「ネン」、訓読みでは「ひねる」と読むことができます。「ひねる」は、「指先でつまんで回す」の意味をはじめ、「ねじって向きを変える」「簡単にやっつける」など多彩な意味を持つ言葉です。
そんな数ある意味の中でも、ここでは「考えをめぐらす」という意味で「捻」が用いられています。この意味で「捻る」を使った慣用句には、工夫する・疑問に思うことを表す「頭を捻る」がありますね。
「捻出」の使い方
「捻出」は、考えや金銭などをひねり出すと言う意味ですから、それらを作るのが容易ではない状況が前提としてある場合に用いる言葉です。
「捻出」は、そのままの形で名詞として使うこともできますし、「捻出する」のようにサ行変格活用の動詞として使うこともできます。
【例文】
- 新しいアイデアの捻出が難しいのなら、既存のものをブラッシュアップするほかあるまい。
- これ以上の予算を捻出するのは、会社の規模を考えても非常に困難だと推察される。
- 何とか時間を捻出して、後輩の相談に乗ってあげなければならないと思う。
「捻出」の類語
都合
「都合(つごう)」は、「都合のいい時にご連絡ください」「都合よく先方から電話がかかってきた」のように、日常的に用いられる言葉です。それぞれ、差し障り・具合といった意味ですが、このほかにも、やり繰りをするという意味もあります。
「都合をつけて出資金を支払う」「(時間の)都合をつけて飲み会に行く」のような言い回しにおいては、「捻出」に近い意味ですね。ただし、「捻出」のように「やっとのことで・無理をして」というニュアンスは薄いかもしれません。
融通
「融通(ゆうづう)」にはいくつかの意味がありますが、「捻出」に近いのは、「やり繰り・必要な物や金を調達する」という意味です。
「経費を融通する」「打ち合わせの時間を融通する」のように用いられます。こちらも、「都合」と同様に、「やっとのことで・無理やり」といった意味合いは薄いようです。
算段
「算段(さんだん)」には、次の二つの意味があります。
- 苦労しながら良い方法・手段を考え出すこと。
- いろいろと工夫して金を工面すること。
最初に説明した「ひねりだす」の意味と似ていますね。ひいては、「捻出」に近い言葉と言えるでしょう。
「捻出」の英語表現
アイデアや案を捻出するということばを英語で表すには、「work out」を用いるとよいでしょう。「work out」には「苦労して成し遂げる」という意味があり、これが「捻出する」に相当します。
一方、「お金を捻出する」を表す英語表現では、「manage to raise money」が一般的です。これは、「何とか~する」の「manage to ~」に「お金を作る」の「raise money」が合わさってできています。
つまり、「何とかお金を作る」が「お金を捻出する」となるわけです。その他では、「絞り出す」の「squeeze」や「彫刻する」の「carve out」も「捻出する」という意味で使うことができます。
いずれも比喩表現ながら、「捻出する」と同等の意味を表したものだといえるでしょう。
「捻出する」の英文例
- You should work out various schemes.(君たちは、さまざまな案を捻出するべきだ。)
- He managaed to raise money to buy a bike.(彼は、自転車を買うお金を捻出した。)
- I'd like you to carve out time to meet her.(君には彼女に会う時間を捻出してもらいたいものだ。)