「立ち居振る舞い」とは
「立ち居振る舞い」は、「たちいふるまい」と読み、「立ち居」と「振る舞い」の合成語です。前者は「立つことと座ること・日常の動作」という意味で、後者は「行い・動作」という意味です。
ふたつの言葉からも分かる通り、「立ち居振る舞い」は、立ったり座ったりする動作や身のこなし、日常の起居動作を意味します。
「立ち居振る舞い」と「立ち振る舞い」
「立ち居振る舞い」と意味も綴りも似た言葉が「立ち振る舞い」です。一説には、前者の初出は、『史記』の講義書である『史記抄』(1477年)、後者の世阿弥の能の理論書『風姿花伝』(1400年)とされています。
なお、「立ち振る舞い」は、旅立ちの別れを惜しんだり門出を祝うためのご馳走や宴会を指す場合もあります。
「立ち居振る舞い」の例文
- 茶道の先生の立ち居振る舞いは、見習うべきお手本だ。
- 接客業は、立ち居振る舞いが目につきやすい業種だ。
- 立ち居振る舞いがきれいな少女を見ると、その子の育ち方を垣間見る気がする。
- 姉は着物を着慣れていないせいか、成人式の振り袖での立ち居振る舞いはぎこちなかった。
「立ち居振る舞い」の関連語
「立ち居振る舞い」」の類義語
「立ち居振る舞い」の類義語を例文とともにいくつか挙げます。なかには複数の意味をもつ言葉もありますが、今回は「立ち居振る舞い」と同じ意味で使われる場合のみをご紹介します。
【起居(ききょ)】
- 意味:立つことと座ること、日常の生活、立ち居振る舞い
- 例文:介護をする人は、起居動作の手助けをすることが常だ。
【挙措(きょそ)】
- 意味:挙止(挙動)、立ち居振る舞い
- 例文:嘘がばれた途端、彼は挙措を失った。(=取り乱した)
【物腰(ものごし)】
- 意味:身のこなし方、動作、他人と接するときの態度
- 例文:取引先の新しい担当者は、物腰の柔らかい人だ。
【坐作進退(ざさしんたい)】
- 意味:身のこなし、挙動、行儀、立ち居振る舞い
- 例文:常日頃から、祖母に坐作進退に気を使うよう言われている。
「立ち居振る舞い」の英語表現
「立ち居振る舞い」を表現するのに決まった英単語はなく、文脈により使うワードは異なります。以下に例としていくつかご紹介します。
- Maria has graceful manner.
- 訳:マリアの立ち居振る舞いは優雅です。
- Though Alice looks plain, her behavior stands splendidly.
- 訳:アリスの見た目は地味だが、立ち居振る舞いは見事だ。
- Her manner of behavior is sometimes more beautiful than her teacher of tea ceremony.
- 訳:彼女の立ち居振る舞いは時折、茶道の先生よりも美しい。
- Even after he is old, he carries himself well.
- 訳:年をとってからも、彼の立ち居振る舞いは見事だ。
「立ち居振る舞い」の重要性
「立ち居振る舞い」は、初対面の人に自分がどのような人間であるか印象付けるうえでとても重要です。特に販売・接客などのサービス業に従事している人には、美しい「立ち居振る舞い」は必要なスキルでしょう。
美しい「立ち居振る舞い」を習得するには
美しい「立ち居振る舞い」はどのように習得すればいいのでしょうか。キャビンアテンダントやホテルマンなど、接客業やサービス業に従事する人は、仕事の一環として「立ち居振る舞い」の研修を受けます。
また、一般の人でも、フィニッシングスクールと呼ばれる学校や、カルチャースクールなどで開講されている個人レッスンやグループレッスンにおいて「立ち居振る舞い」を学ぶことができます。
着付け教室や茶道教室は、「立ち居振る舞い」が磨かれる習い事として有名ですが、ほかに、本はもちろんのこと、身近に手本となる「立ち居振る舞い」をする人がいれば、その人の仕草や動作を真似するようにするといいでしょう。
美しい「立ち居振る舞い」のポイント
男女を問わず、好感がもたれる「立ち居振る舞い」があります。美しいといわれる「立ち居振る舞い」のポイントを、いくつか挙げてみます。
- 姿勢が良いこと。立ち姿勢では背筋を伸ばして胸をはる。
- 物の受け渡しを両手で行うこと、指先をそろえて伸ばすこと。名刺や書類などの受け取りを行う際に気を付ける。
- メリハリのある動作、最後の動作をゆっくりすること。お辞儀などで下げた頭を戻す際は少しゆっくりめに行う。
人の「立ち居振る舞い」は、遠目からでも目につく動作で、その人の印象に反映する場合もあります。一朝一夕で身につくものではないので、常日頃から「立ち居振る舞い」が美しくなるよう意識したいですね。