「商い中」とは?意味や使い方をご紹介

街を歩いているとき、「商い中」と書かれた看板を見かけたことはありませんか?これは「営業中」の意味なのですが、近年では「商い」という言葉もあまり聞かれないため、よく知らないという方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、「商い中」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「商い中」の意味
  2. 「商い中」の使い方
  3. 「商い中」の反対語
  4. 「商い」に関係することわざ

「商い中」の意味

「商い中」(あきないちゅう)とは、売り買いをしている状態、商売をしている状態という意味であり、今風に言えば「営業中」「開店中」と同じ意味の言葉です。

「商い」に、何らかの事柄が現在行われていることを表す「中」がついた表現ですが、この「商い」とは何でしょうか?少し掘り下げてみましょう。

「商い」とは?

「商い」(あきな-い)の意味は、以下の通りです。

  1. 売り買いをすること、交易、商売、商業
  2. 売り上げ高

「あきない」の「あき」は「秋」に通ずるとされ、農民らが秋季に収穫物をはじめとするさまざまな物品を交換・売買していたことに由来すると考えられています。

「商」の字は、成り立ちは諸説ありますが、元は高台を意味し、高台に住む民族(殷人)が「商」と称して自らの工芸品などを売り歩いていたことから、現在の「商業」に通ずる言葉になったようです。

「商い中」の使い方

基本は看板・掛札で

「商い中」は「営業中」と同じ意味なのですが、話し言葉の中で使われることはほとんどないと言ってよいでしょう。現代では、店舗などの入り口にある看板(ドアに掛ける札)の文句としての使い方に限られています。

その使い方にしても、看板には「営業中」や「開店中」、英語で「OPEN」などと書かれるほうが多数派であり、「商い中」は少々マイナーな立ち位置です。

いずれにせよ、「今、お店が開いていますよ(営業していますよ)」というサインですので、お客さんに分かるようにきちんと提示しておくことが大事でしょう。

「商い中」が持つイメージ

「営業中」と「商い中」に明確な使い分け基準はありませんが、「商い中」には、おおまかに古風、和風、老舗(歴史ある店)などのイメージがあります。

それゆえ、日本的な雰囲気を大事にしたいと考える和風料理店や、昔ながらの製法や売り方を大事にしている民芸品店、古本屋などの店主に「商い中」の文句が選ばれる傾向があるようです。

逆に、もし洋風レストランチェーン店などの入り口に「商い中」の札がかかっていたら、少し違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんね。

例文

  • さあ、店を開ける時間だ。表の木札を裏返して、「商い中」にしておかないと。
  • 店の中に誰も見えなくて、営業しているかどうかよくわからなかったけど、ちゃんと「商い中」の札が出ている。中に入ってみよう。

「商い中」の反対語

営業中を「商い中」と表現する場合、営業を終えた場合は何と表現するべきでしょうか?「商い」自体には対義語関係の言葉はありませんが、同じような古風な表現としては「仕込み中」(または仕込中)があります。

ただし、言うまでもなく「仕込み中」は「仕込み」を必要とする料亭などでしか使えませんので、それ以外の業態の場合は、「営業中」の一般的な対義語である以下の語を用いましょう。

  • 準備中
  • 閉店(閉店しました)
  • 営業終了(本日の営業は終了しました)
  • CLOSED

「商い」に関係することわざ

商いは牛の涎

「商いは牛の涎」とは、商売は牛の涎(よだれ)が長く垂れるように、気長に辛抱せよという意味のことわざです。

商売には長期的な視野が必要であり、すぐに利益を出したいからと目先の機ばかりを追い求めると、思わぬ失敗があるという、警句の一種ですね。

商いは草の種

「商いは草の種」とは、商売は草の種のように多くの種類がある、という意味の言葉です。山野には多くの草があり、種の数は非常に多いですから、どんなものでも商売にできることを言い表しているわけですね。

似た言葉に「身過(みすぎ)は草の種」(意味:生計をいとなむ手段は草の種のようにいろいろある)というものもあります。


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