「畢生」の意味
「畢生(ひっせい)」とは、「生まれてから死ぬまでを通じた全部の期間」のことを指します。「一生」や「生涯」と同じような意味の言葉だと考えるとイメージしやすいですね。
意味は理解しやすいですが、難しい漢字を使っていることもあり、日常会話ではまず聞かない表現となっています。その一方で、小説などではたまに見かける表現です。
覚えておくと、改まった場や、ちょっと気取った言い回しを使いたいときに役に立つ言葉といえるでしょう。
畢生の大作・畢生の大業
「畢生の大作(ひっせいのたいさく)」とは、その人の全生涯における作品のうち、最も優れた作品のことを指す言葉です。
なお、似たような表現に「畢生の大業(ひっせいのたいぎょう)」があります。こちらは「生涯において最も優れた事業や営み」を対象にしています。
「畢生」の使い方
「畢生」は日常生活ではあまり使われない古めかしい表現です。そもそも、正しく「ひっせい」と読める人自体が少ないでしょう。普段のコミュニケーションにおいては「人生」や「生涯」といった一般的に使われている表現を用いるのが無難と思われます。
一方で、改まった手紙や文書、小説などで用いると、知的な印象を読み手に与えることができる表現です。表現のマンネリを防ぐ効果も期待できますね。状況に応じて使い分けるのが良いでしょう。
「畢生」の例文・使用例
- 気難しい叔母の存在は、彼を畢生悩ませ続けた。
- 彼の畢生の事業とは、ひたすらに道路や水道を整備していくことだった。
「畢」の字義
「畢生」の「畢」には、以下の意味があります。
- おわる。おえる。全部もれなくけりをつける。隙間なくおさえてしまう。
- ことごとく。全部。もれなく。
「畢」は鳥獣などを捕獲するための「網」の形をかたどった象形文字です。この網を使って獲物を一網打尽に取り尽くしたことから「おわる」や「ことごとく」といった意味が生まれました。
「畢生」では「全部」というニュアンスで使われており、「生」の「全部」すなわち「生まれてから死ぬまで」を表しています。
上の1の意味が用いられている表現としては「畢竟(ひっきょう)」や「畢命(ひつみょう)」があります。「畢竟」は「結局」「要するに」といった意味で使われており、小説などでたまに見かける表現です。なお「畢命」は「命が終わること」「生涯」を指します。
「畢生」の類語
生涯
「生涯(しょうがい)」とは、以下の意味を持つ言葉です。なお「涯」という字には「みぎわ。きし。」「はて。かぎり。きわみ。」といった意味があります。
- この世に生きている間。一生の間。終生。
- 一生のうち、ある事に関係した期間。
- いのち。生命。
【使用例】
- 彼の生涯は、まさに戦争とともにあったと言っても過言ではない。
終生
「終生(しゅうせい)」とは、「一生を終えるまでの間」を指す言葉です。「終生の友」や「終生忘れ得ぬ思い出」のように、副詞的に用いることもあります。
【使用例】
- 幼少期に先生から教えられた3つの言葉を、彼は終生忘れることはなかった。
一代
「一代(いちだい)」とは、以下の意味を持つ言葉です。このうち、「畢生」と意味が近いのは1の用法です。
- 一生涯。生まれてから死ぬまで。
- 天子や君主が在位する間。
- 事業や家を継いで主となっている間。
- ある一つの時代。その時代。
- 家系の最初。初代。
「一代」には、たとえば「一世一代(いっせいいちだい)」や「一代一度(いちだいいちど)」など、多くの慣用表現が存在します。
【使用例】
- 彼はわずか一代で現在の富を築いた。