「揮毫」の意味
「揮毫(きごう)」とは、「毛筆で文字や絵をかくこと」を意味する言葉です。広義では「毛筆を用いて書かれたもの全般」を指しますが、一般的には著名人や書家などが依頼に応じて書いた看板や格言の文字のことを指します。
席上揮毫
大勢の人の前で揮毫を見せることを「席上揮毫」と言います。日本では全国各地で席上揮毫大会が開催されており、子どもから大人まで、あらゆる層の人が参加し、書道を楽しんでいます。
「揮毫」は読み方が難しく、書くのも大変な字ですので、自分から使用する機会は少ないかもしれません。しかし「揮毫」という言葉自体は「席上揮毫」のように書道に関するイベントなどで見かけることがありますので、覚えておきましょう。
「揮毫」の使い方
「揮毫」は難しい言葉かつ、やや古めかしい表現ですので、一般的には「筆で文字を書く」「筆で絵を書く」のように、一般的な表現を用いたほうが相手に伝わりやすいでしょう。
一方で、改まった場面や公式な文章などで「揮毫」を適切に用いると、知的で格式高い印象を相手や読み手に与えることができます。ケースによって使い分けましょう。
「揮毫」の例文・使用例
- 有名な書道家が揮毫した色紙はネットオークションにかけられ、そこで得た収益は全額寄付されるそうだ。
- 日本における中央官庁の看板は、発足時の大臣が揮毫することが多い。
- 今年の席上揮毫大会は、昨年を超える来場者数となり、大変盛り上がった。
「揮」と「毫」の字義
「揮」
「揮毫」の「揮」には以下の意味があります。
- 手を振り回す。
- 手に持って振り動かす。
- 撒き散らす。
- 外にあらわし出す。
「指揮者」の「揮」に代表されるように、何かを手にもって、それを振り動かしているイメージの字です。「揮毫」の場合は、まさに「筆」を持って動かしている様子を示しています。
「毫」
また「毫」には以下の意味があります。
- 細い毛。
- きわめてわずかなこと。
- 長さの単位。1毫は1厘の10分の1。
- 毛筆。
「揮毫」では、4の「毛筆」という意味で用いられています。つまり「揮毫」という表現は「毛筆を手に持って振り動かす」ことを示しているわけです。
「揮毫」の類語
執筆
「執筆(しっぴつ)」とは、「文章を書く」「筆を執(と)る」ことを言います。「執」には「手にとる」「とり行う」「とりついて離れない」といった意味があります。
【使用例】
- 彼女が執筆した連載コラムは好評で、書籍化も決定したそうだ。
染筆
「染筆(せんぴつ)」とは、「筆に墨汁などを含ませること」「筆で書画をかくこと」を言います。なお丁寧の意を表す接頭辞の「御(ご)」を付けて「御染筆(ごせんぴつ)」と表記することもあります。
【使用例】
- お寺の前に飾ってある格言の書は、この寺の住職が染筆を務めたそうだ。
- かの有名画家ご染筆の水彩画が、桁違いの価格で販売されている。
したためる
「したためる」には以下の意味があります。
- 文章を書く。
- 食事をする。
- しかるべく処置する。
- 用意する。
- 治める。
なお、漢字で書くと「認める(したためる)」となります。一般的には「みとめる」と読むイメージのほうが強いので、1の「文章を書く」という意味で用いる場合は「手紙をしたためる」のようにひらがなを使うほうが誤解を生まずに済むでしょう。