「知見」とは?意味や使い方をご紹介

「知見」とは、読んで字のごとく、「見て知る」ことですが、それ以外の意味もある多義的な言葉です。堅苦しい印象もありますが、それだけにビジネスシーンなどではよく見聞きします。今回は「知見」の意味と使い方を類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「知見」とは?
  2. 「知見」の使い方
  3. 「知見」の類語

「知見」とは?

「知見」(ちけん)は、大きく分けて三つの意味を持つ言葉です。

  1. 実際に見聞きすることによって知ること体験を通じて得た知識。
  2. 見識見解経験を通じた知識による、しっかりとした考えや判断力。
  3. 仏教用語:仏教の考え方に基づいて、事物を正しく認識すること。仏教的知識によって得た見解。

「知見」という言葉で、最も大事なポイントは、1の意味に集約されているように、「体験を通じての知識」という点です。2の意味の見識や見解も、つまりは、体験によって得ることのできた、深く優れた判断力や考え方、として理解しましょう。

「知見」の使い方

「知見」には、よく使われる言い回しがありますので、下記に挙げてみます。

  • 知見を深める
  • 知見を得る
  • 知見を広める
  • 知見の限りでは

それ以外でも、主語として(~についての)知見がある、知見がない、など多様な表現方法があります。

「知見」の文例

  • アメリカの大学に留学した鈴木君は、さまざまな国の学生と交流し、大いに知見を深めて帰国した。
  • 商品企画部を目指す社員は、市場の動向に常にアンテナを張り巡らし、マーケティングの知見を得てから志望するべきだ。
  • 服飾デザイナーの陽子さんは、ミラノで二年間生活し、ファッションをめぐる知見を広めることができたそうだ。
  • パワーストーンに関する私の知見のかぎりでは、やはり、クリスタルが、万人に共通して、自然に馴染むのではないかと思っている。
  • 僭越ながら、私には栄養学についての知見があるので、あなたの食生活にアドバイスできるかと思います。
  • 経済の知見が全くないのだから、株に手を出すのだけはやめたほうがよい。

「知見」の類語

「見識」の意味と使い方

「見識」とは、物事の本質を深くとらえて見通すことのできる、すぐれた判断力。また、その判断力に沿ったしっかりとした考えや意見、を意味します。気位(きぐらい)という意味もありますが、こちらの意味での「見識」は、「知見」の類語ではありません。

「知見」と同様に「見」という漢字を持ちますが、「見識」においては、自ら見聞きした体験による、という限定はありません。よって、「知見」に比べて幅広い使い方ができると言えるでしょう。

【文例①】中村氏は、経済学の権威でありながら、文化芸術への造詣も深い。あれほど広い見識がある人物はなかなかいないと思う。
文例②】シャガール展が開催されているから、美術への見識が高い直美ちゃんに一緒に行ってもらおうと思っている。

「博識」の意味と使い方

「博識」(はくしき)とは、物事を広く知り、多彩な知識があること、またそのさまを意味する言葉です。

「知見」と異なる点は、体験による見聞きを重視しているわけではないところです。また、ひとつの分野での知識でも用いることができるのが、「知見」であるのに対し、さまざまな分野での幅広い知識ということに重点があるのが、「博識」です。

【文例①】山田氏は、法学部の教授でありながら、美術、文学、はては経済学においての深い知識まで持つ博識な人物だ。
【文例②】元政治家の鈴木氏は、さまざまな分野における知識が豊富な博識家として知られるが、昨今はその能力を買われてコメンテーターとして活躍している。

「蘊蓄」の意味と使い方

「蘊蓄」(うんちく)は、「蘊」も「蓄」も蓄える、という意味を持つ漢字であり、蓄えた深く詳しい知識や学問のことを指す言葉です。

体験による知識ということは重視されず、分野の広さという定義もありませんが、対象について蓄えた知識の深さを重視しています。

最も頻繁に用いられる例は、「蘊蓄を語る」として、対象についての深い知識を他者に話すことを指す場合です。

【文例】中山さんは、お酒が好きなだけではなく、その知識も豊富だ。酒宴では、彼がお酒への蘊蓄を語りだすと止まらなくなる。


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