色眼鏡の意味
色付きのレンズがついた眼鏡
「色眼鏡」とは、本来、着色されているレンズがついた眼鏡を指す言葉です。いつごろに開発されたのか、起源は分かっていませんが、かなり古い時代の資料にも「色眼鏡」が使われた記録が残されています。
暴君で知られたローマ皇帝ネロ(37年~68年)は、エメラルドのレンズを入れた日よけの色眼鏡をかけていたようです。野外で行われた競技を見るために使ったと言われています。
12世紀頃の中国では、裁判官がスモーキークォーツ(煙がかかったような茶色や黒色の水晶)のレンズ入りの色眼鏡をする習慣があったそうです。判決を下す時に表情を悟られないようにするためとされています。
物事の見方が偏っている
時代が下るにつれ、「色眼鏡」には物事の見方が偏っている、思い込みで間違ったものの見方をするという意味が派生しました。現代では、こちらの意味での用法の方が多いかも知れないですね。
「色眼鏡」の着色されているレンズを通して物を見るとレンズの色に影響され、ありのままの姿を見るのが難しくなります。
目に映る光景が、レンズの色に影響される所になぞらえて、思い込みなどのせいで正しくその物事を見ることができずに、誤った見方や偏った判断をしてしまう様子を表すようになったのです。
色眼鏡の使用例
色付きのレンズがついた眼鏡
「色眼鏡」というとずいぶん時代がかった言い方になります。レンズの度が入っていないサングラス(厳しい日差しなどから目を保護するために黒色などのレンズがついた眼鏡)や、色付きのレンズが使われたおしゃれ用のファッショングラスを指す言葉ですね。
【使用例】
- 若い世代には知られていないだろうが、黒い色眼鏡の似合う俳優というと「西部警察」で大門圭介を演じた渡哲也さんの印象が強い。
物事の見方が偏っている
現代では、「色眼鏡」を物事の見方が偏っているという意味で用いることが多くなっています。
「色眼鏡で見る」・「色眼鏡をかけて見る」などのように使い、先入観にとらわれてしまい、実際の物事を見ないで偏った見方をしていることを表す言い回しです。
「色眼鏡なしで見る」とすると、個人的な偏った見方や印象に影響されることなく物事の本質を見抜いているという逆の意味にを表すことができます。
【使用例】
- A君は服装やメイクで色眼鏡で見られて敬遠されることが多い。本当は良い子なのにね。
- 色眼鏡なしで見たら、思いやりがある人に思えたので採用を決めました。
「色眼鏡で見る」の類語・反対語
「色眼鏡で見る」について、類語と反対語を紹介します。「色付きのレンズがついた眼鏡」に関しては使用頻度が低いため、類語と反対語の説明は割愛します。
「色眼鏡で見る」の類語
バイアスが掛かる(読み:ばいあすがかかる)
「バイアスが掛かる」とは、先入観に引っかかってとらわれていること、思い込みにとらわれていて正しく見定めるのが難しいことを表します。「バイアス」とは先入観や偏見のことです。
レッテルを貼る(読み:れってるをはる)
「レッテルを貼る」は、人物を不当に評価する時に使われることが多い言葉です。ある人物について自分の考え方や思い込みで一方的に決めつけて評することを指します。
「レッテル」とは、オランダ語の"letter"から由来していて、商品名を記した用紙、つまり「商品ラベル」のことですね。人物を物のように分類したり格付けしたりする無礼な印象も感じられます。
【使用例】
- 自分に自信がある人は、他人の意見を尊重しないのでバイアスが掛かった見方をしやすい。
- 担任にクラスの問題児というレッテルを貼られてショックでした。
「色眼鏡で見る」の反対語
公平無私(読み:こうへいむし)
「公平無私」とは、自分一人だけの考え方や感じ方、自分のみの利益や好き嫌いの感情を排除して、一方に偏ることなく中立の立場で判断することを言います。
「公平」はあらゆる物事を同じ立場で扱うこと、「無私」は個人的な感情や利害関係などを一切挟まないことです。
【使用例】
- 裁判官や競技の審判は、公平無私を重視している方にこそ向いている仕事だ。