辟易の読み方
読み方は「へきえき」ですが、発音もしにくく、難解な言葉です。日常会話で使うには、舌を噛みそうでなかなか出にくい言葉ですね。「辟易する」という言葉は、小説や新聞で見かけますが、国会や有名人の失態などで、メディアでもよく見かけるようになりました。
まず、一つづつ漢字の意味を確かめてみましょう。
「辟(へき)」と「易(えき)」の意味
「辟(へき)」を部位別にみると、「尸」は人の屈んだ姿、それに「口」がついたもの、「辛(しん)」は刑罰を与える刃物という意味です。それらを組み合わせると「刑罰を行う様子を現した漢字」になります。そうした刑罰を避ける(避けたい)というところから、転じて、「辟」の意味は「避ける」、「横にさける」、「平伏する」などです。
「易(えき)」の意味は「取りかえる」、「入れかえる」、「やさしい」など。良く使われている「交易」はお互いに交換するという意味です。
辟易の意味
「辟」と「易」、この二つの漢字が一緒になると、嫌なものを避けて状況を変えたいという感情表現のニュアンスが出てきます。意味は、「うんざりすること」、「嫌気が差すこと」、「閉口すること」、「相手の勢いなどに押されてしりごみすること」です。
(なお、「史記項羽本紀」では、『避けて路を変えること』という使われ方(辟易数里)をしていますが、現在では、この意味で使うと誤解が生じるため、使うべきではないでしょう。)
辟易の使用例
では、「辟易」の具体的な使用例文で見ていきましょう。
過剰に満たされて逆にうんざりするという意味では、「最近は雨続きなので外出できずに辟易する。」や「〇○の国会審議の報道には辟易する。」などです。
物事の繰り返しで我慢できなくなり嫌気が差すという意味では、「何の変化もない今の仕事に辟易してきたので転職したい。」や「私の父親は、毎日食べる朝食のパンに辟易しています。」などです。
恐怖感や痛みで閉口するという意味では、「友達に一言注意したら、猛烈に言い返されて辟易した。」など。もうしゃべりたくないというニュアンスが受け取れますね。
相手の勢いなどに押されてしりごみするという意味では、「困難に直面すると恐れをなして辟易してしまう。」や「強烈キャラの人が続々登場し、クセが強い私でも辟易してしまう。」などです。
感情表現においても、否定的な言葉をそのままストレートに他人に使用すると、その相手は嫌な気持ちになるでしょう。こうした否定的な表現を和らげる言葉が「辟易」です。有名な文豪(夏目漱石、森鴎外、芥川龍之介など)も良く使用しているので、SNSや誰かにメッセージを送りたい時に、この言葉を使用してみてもいいでしょう。
辟易の類義語
辟易について理解を深めたところで、類義語のご紹介です。
「倦厭(けんえん)する」
飽きていやになるという意味。
「閉口する」
手に負えなくて困ったり、言い負かされたり圧倒されたりして言葉に詰まること、口を閉じてものを言わないという意味もあります。
「飽きる」
同じ物事が何度も続いてったり、いやになって続ける気がなくなったり、満ち足りてこれ以上はいらなくなるなどです。
「嫌気がさす」
嫌だと思う気持ちになる。
以上、「辟易」について紹介しました。