「語彙」の意味
「語彙(ごい)」という言葉を辞書で紐解くと、一つの言語あるいは一定の範囲内における単語の総体、現れる単語の総称と説明されています。
例えば「日本語の語彙」であれば、日本語に含まれるあらゆる単語のことであり、「『源氏物語』の語彙」であれば『源氏物語』に使われている単語全てのことを指します。
同様に、「京都の語彙」なら京都という地域で使われている言葉の全てを指し、「私の語彙」であれば、私が知っている、使っている単語の全てという意味です。
このような、決められた範囲に含まれる言葉の集まりが「語彙」です。条件に合った言葉をひとまとめに呼ぶ際の名前とも言えるでしょう。
「語彙」の種類
理解語彙
「理解語彙(りかいごい)」とは見たり聞いたりして意味が理解できる言葉です。書いてあることがわかる、話を聞いていて理解できる単語の集まりは、理解語彙ということですね。
TOEICやTOEFLといった単語の理解力を測る試験で例えれば、リーディングやリスニングで高得点が取れるなら「理解語彙」が豊富と言えます。
使用語彙
「使用語彙(しようごい)」とは、先ほど説明した理解語彙のうち、実際に自分が日常的使用する、使うことのできる単語の集まりのことです。
先ほどの試験で例えれば、ライティングやスピーキングが使用語彙にあたる部分です。この単語の意味は?と問われて答えられるものが「理解語彙」、この意味の単語を答えよと問われて答えられるものが「使用語彙」、と言えばご理解いただけるでしょうか。
基礎語彙
「基礎語彙」とはその言語においてよく使われる、初歩的かつ基本的な単語のことです。挨拶や数、日常よく使われる動作・施設などが含まれます。
英語で言えば「グロービッシュ」が「基礎語彙」に近いでしょう。「グロービッシュ」とは使用頻度の高い単語だけを集めた国際標準語としての英語であり、難しい言葉を使わずとも大抵のもの・ことを表すことができます。
「語彙」とは特定の範囲にある言葉の集まりなので、区切る範囲が変われば「基礎語彙」も変わります。例えば天文学という範囲で区切ると、日常的にはあまり使わない「アルベド」や「パーセク」といった単語も「基礎語彙」という扱いになります。
「語彙」の使い方
語彙が豊か・乏しい
「語彙」は主に「豊か・乏しい」「豊富・貧弱」「多い・少ない」などの表現とともに用います。このうち「多い・少ない」は客観的な表現ですので、辞書に載っている単語数を表す際などによく使用されます。
多くの単語を日常的に使っている人であれば、その人は「語彙が豊かな人」と言えます。一方で、知っている単語や使える言葉が少ない人であれば、「語彙が乏しい人」です。
ただし「貧弱」や「乏しい」という表現は、主観も含みますのであまり良い印象ではありません。特に特定の誰かに対しての評価であるならば、「少ない」という表現の方がマイルドな印象でしょう。
【例文】
- 一応文学部なので、語彙は豊富な方だと思う。
- 彼は語彙が貧弱だから、何をしてほしいのか正直よくわからない。
- 少ない語彙でも一生懸命に何かを伝えようとするところがいじらしい。
語彙力
「語彙」を理解する、活用する能力のことを「語彙力」と言います。どれだけ多くの単語を知っているか、そしてそれらの単語を適切に活用できるかという能力のことです。
一般に「語彙力」と言えば言葉を用いた表現能力、つまり「使用語彙」の運用能力を指します。
もしこの「語彙力」が低いと、今の気持ちを何と呼ぶのかわからない、起きた事象を正しく表せないなど、物事を適切に表現することができなくなる可能性があります。
【例文】
- 語彙力を身に着けたいなら本を読むと良い。
- スマホの辞書システムは語彙力が低く、毎日単語の登録を行っている。
- テストの結果、語彙力が低いことが分かった。