「明媚」とは?
「明媚(めいび)」とは、湖・川・海・山などの景色が清らかで、美しい様子を表す言葉です。また、その美しい景色そのもののことも言います。名詞の「明媚さ」は、この派生語です。
なぜ「媚」の字を使う?
「媚」という漢字には「こび」という読みがあり、そう読む場合には、媚びる・へつらうなどの意味があります。女性が男性になまめかしく色仕掛けで迫る、という意味も持つ漢字です。
「び」と読む場合もあります。この場合、「媚態(びたい)」、「媚薬(びやく)」という言葉で使われるように、媚びる・へつらうという意味も持ちますが、あでやかで美しい、という意味もあります。「明媚」での用法は、こちらの意味によるものです。
「明媚」例文
- テレビの旅行番組で映し出された明媚な山水に、旅に出たい気持ちをかきたてられた。
- 紅葉の時期の京都に出かけ、山々の明媚な色彩に息をのんだ。
- 夏休みで海外旅行に行くので、奮発して明媚な海岸の眺めを楽しめるオーシャンビューの部屋を予約した。
「明媚」類語
「明媚」の類語には、次のようなものがあります。
【絶佳(ぜっか)】
風景がとても優れている様子。「眺望絶佳」のように使う。
【清美(せいび)】
清らかで美しい様子。「清美な朝日」のように使う。
【清麗(せいれい)】
清らかで麗しい様子。「清麗な朝の空気」のように使う。
「明媚」英語での表現
「明媚」を英語で表現すると、次のようになります。
- beautiful
- picturesque
- scenic
Sapporo is one of the most scenic city in Japan.(札幌は、日本で最も明媚な都市の1つだ。)
「明媚」と「明美」
「明媚」と同じ意味で、「明美(めいび)」と書かれることがあります。これは代用字や代用表記と呼ばれるもので、常用漢字でない漢字を、同音で意味の似た常用漢字に書き換えているものです。
「媚」の字が常用漢字にないため、「美」に書き換えて使用します。新聞や、テレビの字幕スーパーなどで見かける表現です。
同じような例に、次のような表記があります。(後ろが常用漢字に書き換えてある言葉)
- 沈澱→沈殿
- 車輛→車両
- 醗酵→発酵
中国語での「明媚」
中国語にも、「明媚」という言葉があります。中国語の発音表記では「míng mèi」と記され、発音の目安は「ミィン メェイ」です。
意味は、次の2つです。
- 景色などが清らかで美しい様子。「春光明媚(春の美しい景色)」のように使う。
- 目が明るく、美しくて、魅力的な様子。
「風光明媚」とは?
「明媚」を使った四字熟語でよく使われる言葉が「風光明媚(ふうこうめいび)」です。自然の景色がとても清らかで美しい様子を表しています。
「風光」は風景や景色、自然の眺めを指す言葉です。その「風光」と「明媚」が組み合わされてこのような意味を表します。
「風光明媚」例文
- 秋の旅行を特集した旅行雑誌では、風光明媚な土地の紹介が、これでもかというくらいたくさん掲載されていた。
- 奥入瀬渓流を初めて訪れ、その風光明媚なことに感動した。
- 春の時期、このレストランからは向こうの山に咲く桜がとてもよく見えます。風光明媚な景色と、美味しい料理を一緒に楽しめるレストランとしてとても人気があります。
「風光明媚」類語
「風光明媚」の類語には、次のようなものがあります。
【山紫水明(さんしすいめい)】
自然や風景が、清らかで美しい様子。日光の中、山は紫にかすんで、水(川)は明るく澄んでいる様子から。
【花鳥風月(かちょうふうげつ)】
自然の美しい風景のこと。また、その風景をモチーフにした絵や詩歌などの芸術をたしなむ風流な心のこと。
【白砂青松(はくしゃせいしょう)】
白い砂浜と青い松原から成る美しい海岸の風景のこと。「はくさせいしょう」と読んだり、「白沙青松」と書いたりすることもある。
【眺望絶佳(ちょうぼうぜっか)】
目の前の風景が見晴らしがよく、すばらしくて美しいこと。