「破天荒」とは?意味や使い方を類語・英語表現を含めてご紹介

「破天荒」を「あの人は破天荒な人だから。」のように使う人もいますが、正しい使い方ではありません。「破天荒」の正しい意味や使い方はどのようなものでしょうか?この記事では、「破天荒」の意味や使い方を類語や英語表現を含めて解説します。

目次

  1. 「破天荒」とは?
  2. 「破天荒」例文
  3. 「破天荒」類語
  4. 「破天荒」英語表現
  5. 「破天荒」の由来
  6. 「破天荒」誤用の割合

「破天荒」とは?

「破天荒(はてんこう)」とは、今まで誰も成し遂げられなかったことを初めて行う様子を表す故事成語です。偉業を達成する、見事なことを行う、など、基本的には良い意味で使われます。

「天荒」は、天地がまだ切り開かれておらず、混沌とした状態にある場所のこと。「破天荒」はその「天荒」を破ること、つまり、誰も到達していなかった境地を切り開くことです。

したがって、「破天荒」を、大胆なことをすることや、豪快な様子、型破りであることや無鉄砲なことを表す言葉として使うのは誤りと言えます

「破天荒」例文

  • あの陸上選手は、それまで日本人では誰も破ることのできなかった100m10秒の壁を破るという破天荒な記録を残した。
  • 台湾から与那国島まで、3万年前と同じ作り方で作った丸木船で渡るという、現代では破天荒なプロジェクトが成功し、話題になっていた。
  • 彼女はこの高校が始まって以来の秀才で、受験した難関大学すべてに合格したという破天荒な生徒だ。

「破天荒」類語

前代未聞

「前代未聞(ぜんだいみもん)」は、これまでに聞いたことや見たことのない珍しいことや、過去にないほど程度の甚だしいことを言います。

「破天荒」は偉業に対して使いますが、「前代未聞」はポジティブ・ネガティブに関わらず、珍しいことに対して用いられる言葉です。

【例文】

  • 彼女は前代未聞の偉業を成し遂げた。
  • ここまでの規模の横領事件は前代未聞だ。
  • この時期に雪が降るなんて、前代未聞のことだよ。

前人未踏

「前人未踏(ぜんじんみとう)」は、誰も足を踏み入れたり到達したりしたことがない、誰も成し遂げたことがないという意味です。「前人未到」と書かれることもあります。

「前人未踏」の意味のうち後者は、「破天荒」と同じように良いことについて使います。「前人未踏」は「前人未踏の○○」のように使いますが、「破天荒」は形容動詞でもあるので、名詞につく場合は「破天荒な○○」となる点では異なります。

【例文】

  • 彼は前人未踏の秘境にたどり着いた。
  • 今回のオリンピックで前人未踏の大記録が誕生した。

未曾有

「未曾有(みぞう)」は、今までに一度もなかったような、珍しいことです。語源は奇跡を意味するサンスクリット語の「adbhuta」が漢語訳された言葉。これが日本語では「未(いま)だ曾(かつ)て有(あ)らず」と訓読され、現在のような意味へと変わっていきました。

ニュースなどで「未曾有の大災害」のように使われることが多い言葉ですが、本来はネガティブなことだけに使う言葉ではありません。「破天荒」と違って、ことの良し悪しに関わらず、珍しい出来事に対して用いられる言葉です。

【例文】

  • 今回の大地震は未曾有の大惨事をもたらした。
  • この商品は未曾有のヒットを記録した。
  • 未曾有の規模の使節団が派遣された。

「破天荒」英語表現

英語で「破天荒」を表現には次のような言葉を使うことができます。ただし、これらは、「破天荒」のようにポジティブなことに対してのみではなく、良いことにも悪いことにも使われます。

  • unprecedented(今までに例がない、かつてない)
  • unheard of(今まで聞いたことがない、前代未聞の)
  • record braking(記録破りの)

例文

  • This movie is an unprecedented hit.(この映画は前例のないヒット作品です。→この映画は破天荒なヒット作品です)
  • His ideas were unhead of.(彼のアイディアは前代未聞のものだった。→彼のアイディアは破天荒だ。)
  • She set a record-breaking time in a high school 100m run.(彼女は高校の100m走で記録破りのタイムを出した。→彼女は高校の100m走で破天荒な記録を出した。)

「破天荒」の由来

中国・宋代(960~1127)の説話集に、『北夢瑣言(ほくむさげん)』という書があります。この書の中に、「破天荒」の由来とされる次のようなエピソードがあります。

中国の唐代。王朝が成立してから100年以上経っても荊州(けいしゅう・現在の湖北省)からは、未だ科挙の合格者が出ていません。人々は、合格者を排出していない状況を、未開の荒れ地を意味する「天荒」と呼んでいました。

何年か経って、劉蛻(りゅうぜい)という人物が、荊州から初めて科挙に合格。この合格を、人々は「天荒を破った」として讃えたのです。

「科挙」とは?

科挙とは、中国で隋から清の時代、1300年に渡って行われていた官僚登用試験のことです。科挙の合格者にはのちの出世が約束されており、合格することはたいへん名誉ことでした。合格率は1/3000という高倍率だったこともあると言われています。

「破天荒」誤用の割合

平成20年度の文化庁の「国語に関する世論調査」では、「彼の人生は破天荒だった」の意味を問う問題に対して、正答の「誰も成し得なかったことをすること」を選んだ人が16.9%、誤答を「豪快で大胆な様子」を選んだ人が64.2%でした。

また、年代別に見ても、かろうじて60代以上の年代で正答率50%程度。それ以外は7割以上が誤答を選んでいます。「破天荒」という文字からくるワイルドなイメージから誤解されているのでしょうが、もともとの正しい意味も押さえておきたいものですね。


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