錦を飾るの意味
「錦を飾る(にしきをかざる)」の意味は
- 美しい着物を着る。
- 転じて、美しい着物で着飾り、立身出世して故郷へ帰ること。
日本がまだ現在のように経済発展をしていない時代に、故郷から出世を夢見て出ていく若者は多かったはずですね。いつか立派になって故郷に帰る気持ちがよくわかることわざです。
立派になった姿を育ててくれた両親や、近所の人に見せて今までの恩に感謝する、そんな風習も昔にはありました。
錦を飾るの使い方
- 錦を飾るまでは故郷に帰らないと、強い覚悟を決めて出てきた。
- テレビで錦を飾った芸能人の特集番組を観た。
- 自慢の兄は仕事に成功して錦を飾り、両親を喜ばせた。
- 故郷へ錦を飾ることを夢見て、今日まで頑張ってきた。
錦を飾るを言い換える言葉とは
「錦を飾る」は四字熟語で「衣錦之栄(いきんのえい)」「衣錦帰郷(いきんききょう)」などと言い換えられます。また、以下のような言葉での言い換えも可能です。
- 一花咲かす:成功して得意な時代を送ること。
- 立身出世:高い地位について、社会的に成功して世間に名をあげること。
- 功(こう)成り名(な)遂げる:立派な仕事をして、名声を得ること。
成り上がりとの違い
「成功、出世をする」の意味で「成り上がり」とよく聞きませんか。この「成り上がり」の意味は「低い地位や身分から立身出世すること」です。
嫉妬や侮蔑のニュアンスを込めて使われることが多いため、少なくとも褒め言葉にはなりません。出世という結果は同じですが、「錦を飾る」と「成り上がり」には大きな違いがあるので、使い方には充分に気を付けましょう。
錦とは
錦「にしき」とは
- 数種の色糸や金糸、銀糸で文様を織りだした厚手の織物。経錦(たてにしき)、緯錦(よこにしき)、唐錦(からにしき)、大和錦などがある。
- 美しいもの、立派なもの、紅葉などをたとえていう。
立派で高価な着物を昔は「錦」と呼びました。本来なら「錦」は「飾るもの」ではなく着るものですね。「錦を飾る」は、「着飾る」から「飾る」だけが残ったようです。現代で「錦の着物」を例えるならば、「高級ブランド品」というところでしょうか。
錦を使ったことわざ
錦の御旗(みはた)
赤地の錦に、金銀で日月を刺繍したり、描いたりした旗。特に明治維新の際に官軍の旗印とされたことから、転じて他に対して自己の主張などを権威づけるものとしてかかげる名分となった。「売上低下という錦の御旗のもと、会社が大々的なリストラを行うと発表した。」などと使います。
錦上(きんじょう)、花を添える
美しいもののうえに、さらに美しいものを加えることから、よいこと、めでたいことが重なる例えのこと。
錦を着て夜行くが如し
美しい着物を着ても夜道を歩いては誰にも見て貰えないことから、甲斐が無いことの意。
錦のつく言葉
古くから誰でも憧れた存在の「錦」は、日常に密着した言葉として数多く残っています。美しいものへの憧れは現代でも変わりはありませんね。「錦秋」「錦絵」「錦鯉」などの言葉も、美しいものを表現しています。
特に植物の名前に「錦」は多く使われており、「錦木」「錦草」「錦蔦」「錦衣」などがあります。「錦蛇」も美しい色をしていますね。
錦を飾った著名人
故郷に錦を飾った人と聞かれたら、皆さんは誰を思い浮かべますか?
- 豊臣秀吉
- 徳川家康
- 松下幸之助
- 田中角栄
- 大坂なおみ
- 貴景勝