「弱」の意味とは?
「弱」の意味を以下の4つの項目に分けて説明します。数字を表す名詞の後に付く「弱」については、後の項目で紹介します。
【項目】
- 他よりも力が足りない
- 勢力が衰える・失う
- 若い男性・20歳の男性
- 幼い・若い
1.他よりも力が足りない
「弱」は、たやすく曲げやすい弓と毛を表す字形から成り立つことから、力を入れなくても曲がりやすいほど「よわい」ことを意味します。他よりもよわいこと、力が足りていないということを表す言葉です。
【使用例】
- 弱酸性石鹸なので敏感肌にも優しい。
- 私のモットーは「弱者の立場で考える」です。
- セントラルリーグ最弱といわれようとも、頑張って巻き返して欲しい。
2.勢力が衰える・失う
力が足りていないことから派生して、「弱」は勢力が衰えてくること、一時期の勢いが失われてきていることを指す場合があります。
【使用例】
- 強烈なリーダーシップを持っていたリーダーを失い、あの派閥は明らかに弱体化した。
- 台風は北上して温帯低気圧に弱まった。
- 「神経衰弱」は苦手、「七ならべ」のが好きだ。
3.若い男性・20歳の男性
「弱」には、二十歳の男性、もしくは若い男性という字義もあります。この字義を用いる熟語は多くありませんが、そのひとつは「弱冠」(読み:じゃっかん)です。
男性が二十歳で元服した時に、冠を身に付けたという昔の中国の習慣から来ています。二十歳前後の男性にも使えますが、女性には使えないので注意してください。
男性の場合は、ある程度年齢の幅が認められますが、「弱冠40歳」はあまり適切とは言えないようです。「40歳の若さで」などと言い換えるのがよいでしょう。
【使用例】
- 弱冠二十歳で金メダルが取れるのは素晴らしいことだ。
- 弱冠十九歳で本塁打王・打点王のタイトルを狙うスワローズの村上選手は楽しみな存在だ!
4.幼い・若い
「弱」には、年齢が若いとか幼く未熟な人間であるという意味合いで使われることがあります。年が若い人や若い年齢を指す「弱年」(読み:じゃくねん)などの熟語がこの字義での用例です。
「弱輩」(読み:じゃくはい)とは、経験が浅い人や若者を表します。自分で「弱輩者」と言うと、「経験が浅い未熟者」という謙遜の意を示すことができるでしょう。
年上の他人が使うと「経験がなく何も知らないくせに」と軽蔑したり、「若いくせに生意気だ」とあきれて憤慨したりしているニュアンスが伝わります。
【使用例】
- 弱年労働者を保護しなければいけない。
- 弱輩者ではございますが、よろしくお願いいたします。
- 弱輩のくせに一人前の口をきくね。
数値の後に付く「弱」の意味
数値を表す名詞の後に付く接尾辞の「弱」は、「1時間弱」・「1km弱」・「100人弱」・「1ヶ月弱」・「1年弱」などのような使い方をします。
少し不足している
数を表す語句の後ろに付いた「弱」は、前の言葉を受けて「~よりも少し不足している」ことを表します。「1時間弱」なら1時間よりも少し短い時間、「1km弱」なら1kmに少し足らないくらいの距離、「100人弱」なら100人に少し満たないくらいの人数と考えるといいですね。
どのくらい不足しているのかは具体的には決められていません。1時間弱なら10分前~5分前くらいに当たる50分~55分くらいまでの程度、人数なら5人くらい足りない程度と、各自だいたいの目分量で「少し足らない程度」と考えることになるでしょう。
【使用例】
- 修理にかかる日数は、1週間弱と見ていただければありがたいです。
- 会場に集まったのは100人弱だね。
- 目的地までかかる時間は、歩いて1時間弱ですね。
接尾辞の「~弱」使う時の注意点
接尾辞の「~弱」の使い方ですが、10代や20代の若い世代では「~よりも少しだけ大きくなる」と間違えて覚えている方も2~3割程度いるということです。時代が下るにつれて、「弱」の意味合いも変わってくるかもしれません。
相手が正しい言葉の意味を知っているか判然としない場合は、仕事などの重大な約束事で「~弱」という使い方はしない方が無難です。
例えば、上司が1時間弱を50分として、部下が1時間10分と考えている場合、20分の時間差が出てくることになります。「弱」という曖昧な言い方をしないで「1時間以上かかるかどうか」と、具体的な数字を出してお互いに確認した方が間違いがないでしょう。