「光栄」とは?
「光栄」には、大きく分けて二つの意味があります。
- 他者から行為や実績を称賛されたり、大役を任されたりして、それを名誉に思うこと。
- 栄える、あるいは、栄えさせること。
「光栄」の漢字
漢字がもつ意味から、「光栄」のなりたちを考えてみましょう。「光」は、「人が火を掲げ持っている状態」を表しています。すなわち、火をつかさどる人という背景をもつ字です。
「栄」の語原は「庭の松明」で、そこから光り輝くの意味をもちます。この二つの漢字が合わさった「光栄」は、栄えて光る、という意味を根底にもちます。
「光栄」を使うポイント
「光栄」を使うさいのポイントは、他者に対して用いるのではなく、あくまで自分自身の光栄を表したい時に使うという点にあります。
また、その意味の性格上、カジュアルでくだけた場や手紙などにおいてではなく、ビジネスシーンやあらたまった場で用いることが多い言葉です。それだけに、その使い方を正しく理解しておくことは、社会生活上有益と言えましょう。
「光栄」の使い方
「光栄」は、自分自身を名誉に感じることですから、その主語はすべからく「自分」です。
なお、意味の二番目、「栄える」「栄えさせる」は、現代ではほぼ用いられません。それでは、日常的に用いられる一番目の意味の例文を挙げていきます。
例文
(A男)
社運をかけた新商品に、僕の企画が採用されたんだ。あまりの光栄に、身がひきしまる思いだよ。
(B子)
家の前の公園のゴミ拾いを続けていたら、町内会から感謝状を頂き、光栄なことだと嬉しかったわ。
(C男)
バドミントンの世界的な大会で優勝した山田選手は、周囲からの称賛に対し「光栄で胸がいっぱいです」と嬉し泣きしていたよ。
「光栄」を用いた言い回しと使い方
- 【光栄の至り】~の至り、という用法は、基本的にその感情の到達点を示す。形式的に、あるいは格式ばった場面で使われることが多い。
- 【光栄の極み】~の極み、という方法は、主観的に感情の最高潮の状態を示す。
- 【至極光栄(しごくこうえい)】「至極」の意味は①この上ないこと。②きわめて。したがって、「至極光栄」は、これ以上にない栄誉、名誉、という意味。
「光栄」の類語と使い方
栄光
「栄光」とは、成功などにより他者や世間から得る名誉や大きな評価のこと。輝かしさを強調するニュアンスの強い言葉です。
【例】
- 東京オリンピックの開会式の演出チームに選出されたメンバーは、その栄光を喜び合った。
栄誉
栄誉とは、「きわめて大きな名誉」「輝かしく栄えある誉れ」のこと。讃えられる誉を強調するニュアンスです。
【例】
- 平和運動に長年携わってきた坂本氏は、春の園遊会で天皇陛下よりねぎらいの言葉を頂き、その栄誉に身が震えたという。
幸甚
「幸甚(こうじん)」はこの上のない幸せという意味を表します。栄誉よりは、幸福感を強調するニュアンスです。
会話よりも文章で用いられることの多い言葉であり、ビジネス上の文章や、格式ある手紙などでよく使われます。
【例】
- このたびは山本様と共に仕事させて頂けるとのこと、幸甚の極みでございます。
栄冠
「栄冠」には以下のような意味があります。
- 勝利・成功を讃え、その印として与えられる冠。
- 栄えある勝利。
- 成功などによりもたらされる大きな名誉。
【例】
- 競技会の優勝者に栄冠として与えられる月桂冠は、ギリシャ神話に由来する冠だ。
- 伝統ある箱根駅伝の今年の優勝という栄冠を得たのは、連覇を重ねるA大学だった。
- 小学生のころから親にゴルフの特訓をうけてきた鈴木選手は、ついにマスターズに出場するという栄冠を手にした)