「幸甚」とは
「幸甚」の意味
「幸甚(こうじん)」は、主に手紙文で用いられる「この上もない幸せ・大変ありがたいこと」や「何よりの幸せ」を表す言葉です。
「幸」という漢字
「幸」という漢字は、音読みでは「コウ」、訓読みでは「さいわ(い)」「しあわ(せ)」などと読みます。「幸甚」というときの「幸」は、「さいわい」「しあわせ」という意味です。
「甚」という漢字
「甚」という漢字は、音読みでは「ジン」、訓読みでは「はなは(だ)」「はなは(だしい)」「いた(く)」と読みます。「幸甚」というときの「甚」は、「はなはだしい」「非常に」という意味です。
「幸甚」を使うシーン
「幸甚」は改まった丁寧な表現なので、目上の人に対しても使うことができます。また書き言葉ですので、主に次のような内容の手紙やメールで、幸せな気持ちを表すのに用いられます。
【要望がある場合】
- 要望を伝える手紙:「〜していただけたら大変ありがたく思います」という気持ち
- 贈り物に添える手紙:「喜んでいただけたら何よりの幸せです」のような気持ち
【感謝を伝える場合】
- 感謝を伝える手紙:「〜していいただきこの上もなく幸せでした」のような気持ち
「幸甚」の使い方
「幸甚」は、多く、次のような言い回しで用いられます。
「幸甚です」
「幸甚です」は丁寧な表現ですが、さらに改まった言い方をする場合は「幸甚であります」「幸甚でございます」とします。
【例文】
- 恐れ入りますが、ご出欠のお返事をなるべく早くいただけると幸甚です。
- 地元の特産品を送らせていただきました。お納めいただけると幸甚でございます。
- 本日はお目通りが叶って幸甚であります。
「幸甚に存じます」
「存じる」は「思う」の謙譲語です。「幸甚に存じます」は、上でご紹介した「幸甚です」よりも、さらに丁寧な表現と言えます。「幸甚」を使った言い回しの中で、一番使われるのは「幸甚に存じます」かもしれません。
【例文】
- 弊社の創立記念パーティーにご出席いただけましたら幸甚に存じます。
- 粗品ではございますが、お気に召していただけましたら幸甚に存じます。
- この度は、お祝いの席にお招きいただき幸甚に存じます。
「幸甚の至り」「幸甚の極み」
「至り」は、ある物事が「最高の状態に達していること」、つまり「極み」を指しています。
「幸甚の至り」や「幸甚の極み」が用いられるのは、主に感謝を伝える場面です。「幸甚の至り[極み]」は、「幸甚の至り[極み]に存じます」の形で使われます。
【例文】
- 先生に講師としてご登壇いただけましたら、幸甚の至り[極み]に存じます。
- 心ばかりの品ですが、ご受容いただけましたら幸甚の至り[極み]に存じます。
- 私共に過分なおもてなしをいただきまして幸甚の至り[極み]に存じます。
また、文末に「幸甚の至り[極み]」と書くこともあります。
【例文】
- ご意見をお聞かせいただけましたら、幸甚の至り[極み]。
- お祝いの品をお送りいたしました。お納めいただけましたら幸甚の至り[極み]。
- このような贈り物を賜るとは、幸甚の至り[極み]。
「幸甚」の類語
「幸甚」に類する言葉には、「喜び」「幸せ」「至福」などが挙げられます。また、ビジネスシーンなど、改まった書き言葉として用いられる類語には、次のような言葉があります。
「幸い」
「幸い(さいわい)」とは、自分にとって望ましく感じられる精神的状態、都合が良い状態などを表します。手紙などで「幸い」を用いるのは依頼や、贈り物をする時。「〜してくれることが自分にとっては嬉しいことです」という気持ちを表します。
【手紙での使い方】
「幸い」は、「幸いです」「幸いに存じます」のかたちで用いられます。
【例文】
- なるべく早くお返事いただけいますと幸いです。
- ご挨拶代わりの品を送らせていただきました。ご笑納いただけましたら幸いに存じます。
「ありがたい」
「幸甚」に類する「ありがたい」の意味は、感謝にたえない、好都合な状態でうれしいなどです。手紙において、「ありがたい」は相手の厚意に感謝する時に使います。
【手紙での使い方】
「ありがたい」は、「ありがたく存じます」「ありがたく頂戴いたします」などのほか、「ありがたい○○」のように用いられます。
【例文】
- 丁寧にご指導いただきありがたく存じます。
- お土産、ありがたく頂戴いたします。
- ありがたいお気遣いに感謝申し上げます。