「多勢」とは?
多勢(たぜい)とは、人数の多いこと、多くの人、という意味の言葉です。「多い」は「おおい」と読みますが、多勢を「おおぜい」と読むのは誤りです。
「多勢」と「大勢」の違い
「多勢」も「大勢」も、同様に、人が多いことを意味します。それでは、異なる点はどこでしょうか?
汎用性の違い
日常的な会話や文章で、人がたくさんいることは「大勢(おおぜい)」と表現します。具体的にどれくらいの数、という基準はなく、まとまりとして人がたくさんいる、と感じられる時に使われます。
しかし、同じ意味をもつ「多勢」は、ほぼ「多勢に無勢」という諺において使われるのみです。
対義語の違い
また「多勢」も「大勢」も同じ意味の言葉ですが、それぞれ異なる対義語をもっています。
まず、多勢の対義語は無勢(ぶぜい)。少ない人数、という意味で、上記の諺のみに登場する言葉です。一方、大勢の対義語は小勢(こぜい)。こちらも少ない人数、という意味です。
「多勢」と「大勢」が同義なのですから、その対義語も当然同義となるわけですが、それぞれ対義語として対応する語は異なっているわけです。
諺「多勢に無勢」とは?
「多勢に無勢」(たぜいにぶぜい)という諺は、時代劇やドラマなどの戦闘場面などで、耳にしたことがあるかもしれません。
合戦の場面が上から撮影されている場合にはっきり分かりますが、両軍の兵士の数に大きな差があれば、優勢なのは当然人数が多い方となります。「勢」という言葉は「いきおい」「ちから」という意味をもちますが、数を表す言葉でもあります。
したがって、「多勢に無勢」は、敵の人数が多く、少ない人数では勝ち目がない、という状況を表しています。少人数で、大勢には太刀打ちできない、というときに使います。
「多勢に無勢」の使い方
- 僕の前に、8人の不良が立ちはだかった。多勢に無勢、逃げるが勝ちだ。
- 敵軍総勢1000人、我軍は500人。多勢に無勢で撤退はやむをえないことだった。
- 採決では日本以外の国がみな反対にまわり、日本の提案は多勢に無勢で却下された。