「享受」とは?意味や使い方をわかりやすく解説

「自然の恵みを享受する」という表現を耳にしたことはありますか?この「享受(きょうじゅ)」という言葉、日常生活ではあまり使わないかもしれませんが、実は日本国憲法の前文にも登場する重要な表現なんです。今回は、この少し格式ばった印象のある言葉の意味や使い方を、わかりやすく解説していきます。

享受とは?享受の意味

あるものを受け取り、自分のものとして楽しむこと

享受の説明

「享受」とは、精神的・物質的な恩恵や利益を受け取り、それを自分のものとして味わい楽しむことを意味します。漢字を分解すると、「享」は「受け取る」、「受」は「うけとる」という意味を持ち、両方とも「受け入れる」というニュアンスが含まれています。この言葉は主に「享受する」という形で使われ、自然の恵みや権利、利益など、ポジティブなものを対象とすることが特徴です。憲法前文では「福利は国民がこれを享受する」と記載されており、国民が政治の恩恵を受ける権利を明確に表現しています。

なかなか日常会話では使わない言葉ですが、知っておくと表現の幅が広がりそうですね!

享受の由来・語源

「享受」の語源は古代中国に遡ります。「享」は元々、先祖を祀る台の上に供物を捧げる様子を表しており、「神様から恩恵を受ける」という意味を持っていました。「受」は両手で物を受け取る動作を象徴しています。この二文字が組み合わさることで、「神からの恵みを受け取る」という宗教的な意味合いから発展し、現代ではより広い意味で「恩恵や利益を受け取る」という意味になりました。特に仏教の影響を受けて、精神的・物質的な恵みを受けるという概念として定着していったのです。

古くから使われている言葉ですが、現代でもしっかり生き続けているんですね!

享受の豆知識

「享受」という言葉は、実は日本国憲法の前文に正式に記載されています。「その福利は国民がこれを享受する」という一文で、国民が政治の恩恵を受ける権利を明確に規定しているのです。また、この言葉は明治時代の教育勅語にも使用されており、日本の近代化の中で重要な役割を果たした言葉の一つです。さらに面白いのは、現代では「自然享受権」という環境法の概念でも使われており、昔から現代まで重要な場面で使い続けられている言葉なのです。

享受のエピソード・逸話

作家の夏目漱石は『こころ』の中で「享受」という言葉を巧みに使用しています。主人公が先生から受ける精神的影響を「先生の思想の享受」と表現し、知識や考え方を受け継ぐことの重みを描きました。また、実業家の松下幸之助は経営哲学の中で「経営の成果を社会と共有し、享受することこそ真の成功である」と語り、利益を独占するのではなく、広く享受することの重要性を説いています。近年では、星野リゾートの星野佳路氏が「自然の恵みを享受できる体験」をリゾート開発の基本理念として掲げ、現代的な解釈でこの言葉を使い続けています。

享受の言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「享受」は興味深い特徴を持っています。まず、二つの漢字がほぼ同義の意味を持つ「重複合成語」に分類されます。このタイプの熟語は意味を強調する効果があり、「受ける」という動作を強く印象付けます。また、この言葉は「する」を伴って動詞として機能する一方、名詞としても使用可能な「両品詞性」を持っています。歴史的には、室町時代から使われ始め、江戸時代には学問用語として、明治時代には法律用語として定着しました。現代日本語ではやや格式ばった印象を与えるため、日常会話よりも文章語や公式な場面で使用される傾向があります。

享受の例文

  • 1 リモートワークになって、通勤時間がなくなった分、家族との団らんの時間を享受できるようになった
  • 2 子育てが一段落して、ようやく自分の趣味や好きなことを享受できる時間が増えて嬉しい
  • 3 週末の朝、誰にも邪魔されないコーヒータイムを静かに享受するのが何よりの至福だ
  • 4 長年働いてきた会社を退職し、今ではゆったりとした時間の流れを享受しながら過ごしている
  • 5 子どもが独立して、夫婦二人で旅行や食事を楽しむ自由を改めて享受している今日このごろ

「享受」の使い分けと注意点

「享受」は格式ばった表現なので、使用する場面に注意が必要です。日常会話では「楽しむ」「満喫する」などの方が自然に聞こえますが、文章語や公式な場面では「享受」を使うことで知的で洗練された印象を与えることができます。

  • ビジネス文書や公式な場面では「利益を享受する」
  • 日常会話では「楽しむ」「味わう」を使うのが自然
  • 対象は常にポジティブな恩恵や利益であること
  • 受動的なニュアンスが強いため、能動的な行動には不向き

特に、若者同士のカジュアルな会話で使うと不自然に聞こえることが多いので、TPOを考慮して使い分けることが大切です。

関連用語との比較

言葉意味ニュアンス
享受恩恵を受け、自分のものとして楽しむ受動的で格式ばった
満喫存分に楽しみ尽くす能動的でポジティブ
堪能十分に味わい楽しむ芸術や美食などに使われる
謳歌喜び楽しみ称える積極的で華やかな印象

これらの類語は似ているようで、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。状況や対象に応じて適切な言葉を選ぶことで、より正確な表現が可能になります。

歴史的な背景と現代での使われ方

「享受」という言葉は、明治時代の近代化の中で西洋の概念を翻訳する際に重要な役割を果たしました。特に「enjoy」や「benefit from」といった英語の訳語として定着し、法律文書や学術書で頻繁に使われるようになりました。

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。

— 日本国憲法 前文

現代では、環境分野で「自然享受権」、経済分野で「利益享受」、IT分野で「サービスを享受する」など、様々な分野で使われ続けています。デジタル時代においても、この古くからの言葉が新たな文脈で生き続けているのは興味深い現象です。

よくある質問(FAQ)

「享受」と「享受する」の違いは何ですか?

「享受」は名詞として使われ、「享受する」は動詞として使われます。例えば、「自然の恵みを享受する」というように、何かを「受け取って楽しむ」という行動を表すときは「享受する」を使います。一方、「享受」単体では概念や状態を指すことが多いです。

「享受」は日常会話で使えますか?

「享受」はやや格式ばった表現なので、日常会話ではあまり使われません。代わりに「楽しむ」「味わう」「満喫する」などの言葉がよく使われます。ただし、文章やフォーマルな場面では適切に使える言葉です。

「享受」の類語にはどんなものがありますか?

「享受」の類語には「満喫」「堪能」「悦楽」「謳歌」などがあります。ただし、それぞれニュアンスが異なり、「満喫」は存分に楽しむこと、「堪能」は十分に味わうこと、「悦楽」は喜びに浸ること、「謳歌」は積極的に楽しみ称えることを表します。

「享受」はネガティブな意味で使えますか?

基本的に「享受」はポジティブな恩恵や利益を受け取る場合に使われる言葉です。ネガティブなものに対して使うことは稀ですが、文脈によっては「苦しみを享受する」のように逆説的な表現として使われることもあります。

「享受」を使った具体的な例文を教えてください

例えば、「新しい職場で働く喜びを享受している」「年金生活でゆとりの時間を享受する」「チームの成功の成果を全員で享受した」などのように使います。いずれも何らかの良いものを受け取り、それを楽しむ様子を表しています。