「文盲」とは?
「文盲」の読み方
まず、読み方ですが、「文盲」は「もんもう」と読みます。よく読み間違えられる言葉ですが、「ぶんもう」は読み誤りです。
「文盲」の意味
「文盲」の言葉の意味は、「文字の読み書きができないこと、またはその人のこと」です。教育を受けていないという理由で、読み書きができないことを指し、病気や身体的不自由によって読み書きができない場合には使いません。
後述するディスクレシアやディスグラフィアの人が読み書きが不得意な場合も、同様に「文盲」は使われません。
言葉の定義とは異なりますが、ネット上では、「文章の読解力が無い人」のことを「文盲」と呼ぶこともあるようです。もちろん文字は読めているのですが、文章を理解できていない人に対して、皮肉を込めて使います。
ディスクレシア
ディスクレシア(Dyslexia)とは読む能力の習得が困難な、学習障害(Learning Disability:LD)の症状の一種です。知的能力や理解能力に異常がないにも関わらず、読字に困難がある障害のことを意味します。
日本では、難読症、識字障害、読字障害とも呼ばれ、外国語を学ぶ際などに発見される場合もあるようです。
ディスグラフィア
ディスラフィア(Dysgraphia)とは書く能力の習得が困難な、学習障害の症状の一種です。知的能力や理解能力に異常がないにも関わらず、書字に困難がある障害のことで、日本では、書字障害とも呼ばれています。
「文盲」は差別用語?
差別用語であるという明確な定義はない
「文盲」は差別用語であるかどうかというと、実のところ、明確な定義はありません。はっきりと差別用語として認定されているわけではないからです。マスコミなどでは「文盲」は不快用語として避けられており、言い換えられる傾向があるようです。
差別用語ではないかと言われる理由
なぜ、差別用語であると考えられているのかというと、理由は「盲」という漢字にあります。盲には「めくら」という読み方があります。これは目が見えない人をさす言葉で、差別用語とされています。
ただし、全盲、盲目、盲腸などは目の状態を表す言葉であって、差別用語ではないとされています。このことから、盲という漢字がつくだけで差別用語であると判断できないというのが、一般的な認識です。
偏見をもって使う場合は差別用語
ただし、読み書きができないことに対して、偏見をもって使う場合は差別的な発言となるでしょう。言葉というものは、定義だけでなく、そこに加わる感情によってどんな言葉も差別用語になることも十分あります。
「文盲」を言い換える言葉
「文盲」という表現を避けるために、「非識字」「非識字者」と言い換えられることもあります。「識字」とは文字の読み書きができることを指すので、「非識字」はその反対で、文字の読み書きができないという意味を持ちます。
「文盲」の使い方
前項で説明したように「文盲」には、差別的な意味と受け取られてしまう場合があります。言い回しによっては、不快な表現となる場合があるので、使い方には気をつけましょう。
「文盲」を使った例文
- 世界中の文盲の子供達に教育を受けさせてあげたいと思っている。
- 女性には教育を受ける権利がほとんどなく、女性の文盲率が高い時代もあったようだ。
- 彼女は外国から嫁いできたらしい。文盲なんだって。大丈夫なのかしら。(差別的ニュアンス)
「文盲率」
「文盲率」はある地域の人口に対して、文字の読み書きができない人の割合のことです。義務教育が機能している日本では、文盲の人はほとんどいないので、文盲率はほぼ0%だと考えられています。
その一方で、世界には文盲率が50%を超える国もあり、読み書きができないために仕事にも就けず、貧困のせいで子供にも満足な教育を受けさせられないというループから抜け出せない人々も少なくありません。