「カリスマ」とは?
「カリスマ」とは、超人的とも言える非凡な才能や能力、資質、指導力などによって大衆を引き付け、心酔・崇拝させる力、もしくはそのような力をもつ人物のことを意味する言葉です。
また、現代においては、「カリスマ美容師」などのように、単に、ある分野で実力と人気を誇る人物の呼称としても用いられます。
その2つの項目に分けて、「カリスマ」の詳しい意味と使い方を紹介してまいりましょう。
大衆が崇拝する「カリスマ」
天与ともいえる才能・能力によって大衆を心酔させ率いる「カリスマ」、あるいは、超自然的な資質や魅力によって大衆を崇拝させる「カリスマ」は、その人物が属する分野や時代に変革をもたらしさえします。
したがって、その意味においての「カリスマ」は、政治的・宗教的指導者や英雄であることが多くなります。
大衆が崇拝する「カリスマ」の例
【大いなる宗教的指導者】
- キリスト
- ブッダ
- モハメッド
【超人的政治指導者】
- カエサル
- ナポレオン
- ヒットラー
【スーパースターや伝説的ヒーロー】
- エルヴィス・プレスリー
- マイケル・ジャクソン
- 王貞治
使い方
- カリスマと称されるほどの宗教指導者の教えは、その死後どれほど経とうが色あせはしない。
- ヒットラーにカリスマ性がなければ、ユダヤ人の大量殺戮も起こり得なかっただろう。
- 10のオリンピック・メダル、10の世界陸上メダルを獲得したカール・ルイスは、押しも押されもしない、陸上競技界のカリスマだ。
身近な「カリスマ」とその使い方
本来の「カリスマ」は、伝説的人物に等しい存在ですが、近来は、もっと身近な「カリスマ」の使い方が溢れるようになりました。
高い技術力・才能や人気を誇る人々を、その分野の「カリスマ」と称するようになってきたのです。「カリスマ○○」などのように、職業の前に「カリスマ」をつけたり、「○○界のカリスマ」と活躍分野のあとにつけたりして用います。
接頭語的な例としては、カリスマ美容師、カリスマ整体師、カリスマ店員など。接尾語的な例としては、スイーツ界のカリスマ、IT業界のカリスマ、などのように用います。
使い方
- A子は、澁谷のショップで驚異的な売上をほこり、カリスマ店員と呼ばれるようになった。
- カリスマ美容師B氏のカットは、まるでヘアスタイルの芸術作品だ。
- 和菓子界のカリスマといわれるC氏が、ついに洋菓子とのコラボに乗り出した。
「カリスマ」の語源
「カリスマ」の語源は、古代ギリシャ語におけるcharis(恵み)。この言葉には、超自然的な力、という意味が含まれています。
古代においては、祈祷や呪術、予言が大きな影響力をもっていました。そのような才に「恵まれた」者たちは崇められ、charisは、のちの「カリスマ」に繋がっていったのです。
「カリスマ」の変遷
古代ギリシャ語の「恵み」(charis)は、キリスト教において「神からの贈物」という意味の「カリスマ」に変遷してゆきました。新約聖書にはさまざまな書簡に記され、「ローマ信徒への手紙」では、「カリスマ」は「救いの恵みの賜物」とされています。
19世紀に入り、ドイツの社会学者マックス・ウェーバーが、社会科学概念の一つとして「カリスマ」を取り上げました。ウェーバーは、ある人間が大勢を支配する要因を三つに分類し、その一つを「カリスマ的支配」と定義しました。
すなわち、天賦の資質(呪術力、啓示の力、英雄性や高い精神性、弁説力など)をもつ人間が、その存在を大勢に崇拝されて成立する支配が、「カリスマ的支配」です。ここから、現代人が親しむ「カリスマ」の意味がスタートしました。
「カリスマ」のまとめ
「カリスマ」の意味とその変遷を追ってきましたが、強調しておくべきポイントは、どの時代、どの意味であれ、「カリスマ」は「引き付けられる人々」の存在なしには成立しない点です。
天与の才、超常的力などを備える人々がいたとしても、そのような恵みや才能が人目につかなければ、どんな天才であれ「カリスマ」にはなりえないのです。
そのような意味では、カリスマたりうる最も大きな要因は、「人々を引き付ける天与の才」だと言えるかもしれません。