「訴求」の意味
「訴求」とは、広告や宣伝によって消費者の購買意欲に働きかけることをいいます。主に広告や宣伝を扱う業界、企業内や公官庁の文書で目にする言葉です。
詳しくは、経営学のはなし(=マーケティング論)になりますが、商品や製品、サービスの提供者(=企業)が、消費者の「期待感」や「好奇心」を高めて購買へと導く手段のひとつだと定義されています。
「訴求」は英語のappealを訳した言葉ですので、カタカナで「アピール」といい換えることも可能です。「訴求」を消費者の側からみると、「買うきっかけをつくってくれた言葉や画像、映像のこと」です。
「訴求」の使い方
「訴求」の多くは「訴求する」というかたちで使われます。
- この商品は、今後次世代にわたって訴求する価値がある。
- わが社の製品のすばらしさを映像で市場へ訴求する。
- 30代の働く独身女性を対象に訴求するライフスタイル。
「訴求」を使った言葉
訴求力
「訴求力」とは、消費者を惹きつける力のことです。「訴求」の要点は、「買いたい」「見たい」「手にしたい」という思いへ消費者を導くことですから、その力の状態のことを「訴求力」といい表します。
人の印象を評して「存在感がある・ない」というように、「訴求力」の場合にも、見栄えのしない広告や心に残らない広告を指して「訴求力が低い」といい、魅惑的な広告や感情を揺さぶる広告に対しては「訴求力が高い」という表現のしかたをします。
【例】
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訴求力の高いイメージキャラクターで売上げを上げる。
訴求ポイント
「訴求ポイント」とは、扱う商品やサービスの中で特に訴えたい点です。
例えば、量販店がひしめく地域で、企業が訴えたい点は自社の優位性です。同業他社に比べて自社の良い点、その違いを消費者に分かりやすく提示すること、それがここでの「訴求ポイント」です。
また、都市部に出店を計画している企業の場合には、すでにブランド化している駅名や土地名は、自社に魅力を持つ「訴求ポイント」として映るはずです。
【例】
- この商品の訴求ポイントは、他社にない色と柄、斬新なデザインです。
訴求対象
「訴求対象」とは、訴えたい相手や目当てとする消費者のことを指しています。英語のtargetを訳して日本では「対象」といいますが、「訴求対象」もまた、英文のマーケティング論の中で使われるtargetを訳した言葉です。
例えば、ここに中高年の女性を対象に開発した商品があるとします。ターゲットは中高年の女性ですので、「この商品は中高年女性を対象に開発されています」といった内容の広告文を使って訴求対象(中高年女性)へ訴えます。
【例】
- この製品のこの色遣いは30代後半の女性を訴求対象にしています。
訴求効果
「訴求効果」とは、広告や宣伝の結果現われた企業にとって望ましい状態を指しています。
多くは、訴求効果が「あった」「得られた」というように企業にとって好ましい展開をいいますが、訴求効果が「見えない」「現われない」など否定的な意味でも使われます。
主として、企業のイメージアップ、商品の売上げ向上、ブランドイメージの定着において、広告や宣伝が効果的に働いた場合に使われます。
【例】
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我が社ならではの新しいアイデアを打ち出して訴求効果を高めよう。
「訴求」とよく似た伝達手段
「訴求」という言葉の意味を知ってどんなイメージが膨らんだでしょうか。ここでは「訴求」とよく似た表現や効果を持つものを並べてみました。
道路標識
公共サイン
公共サインとは、不特定多数の人が利用する場所で見かける標識や案内、地図の総称です。代表的なものでは、男女のトイレの識別や駅への案内、避難口への誘導、大通りの名を記した掲示板などがあげられます。
公共サインとは、いわば人助けのための表示です。どこにあっても訴求力が求められており、言葉を介さずとも理解できるサインでなくてはなりません。
観光立国を掲げた我が国の方針に沿うよう、これからは以前にも増して分かりやすい表示が現れるようになるはずです。
アスキーアート(絵文字)
アスキーアートとは、文字コードを用いて形をつくる表現の手法や手段のことです。「・」を目とみなし、「ω」を鼻とみなして人の顔を描くように、文字の視覚的効果を利用して自己表現します。
絵文字、活字アートとも呼ばれ、多くの人の共感を必要とする点では、訴求力が求められます。
また、公共サインにあるような人物の絵を略したピクトグラムも、絵文字としてはアスキーアートと同一線上にあり、共にさらなる訴求効果を期待したいコミュニケ―ションツールです。