「たけなわ」とは?意味や使い方を語源を含めてご紹介

「宴もたけなわ」や「春たけなわ」に使われる「たけなわ」って一体どんな意味なのでしょうか?どんな語源や経緯があって、「たけなわ」になったのか、気になりませんか?ここでは「たけなわ」の意味や語源、使い方などを紹介していきます。

目次

  1. 「たけなわ」の意味
  2. 「たけなわ」の使い方
  3. 「たけなわ」を漢字で書くと?
  4. 「たけなわ」の語源

「たけなわ」の意味

「宴もたけなわ」に使われる「たけなわ」の意味は真っ最中で最も盛んな頃です。一番盛り上がっている全盛期のことなので、宴会ならみんなが楽しんでいるタイミング、イベントなら盛り上がってきてにぎやかな頃のことですね。

また、季節が真っ盛りなことにも使われます。春ならいろいろな花が咲き乱れる見ごろの時期を指します。春以外の季節に使われることは滅多にないのですが、秋たけなわという表現もあるようです。

「たけなわ」にはもう一つ、ピークを過ぎて緩やかに衰退に向かう頃という意味もあります。絶頂期ではあるけれど、同時に終わりや別れを予感させる切なさもつれてくる、そんな時期が「たけなわ」です。

「たけなわ」の使い方

宴もたけなわ

「たけなわ」は宴会の終わりのあいさつによく使われます。「宴もたけなわといったところではございますが、お時間が近づいて参りました」といったセリフを、耳にしたことのある方もいるかもしれません。

宴会が終わるということは、終了時刻が近づいている、あるいは食べ物や飲み物が尽きかけていることでしょう。おそらく、ピークはとうに過ぎているはずです。

しかし、ピークを過ぎていると口にするのは水を差すようでためらわれるため、「宴もたけなわ」と表現します。

春たけなわ

「春たけなわ」は季節のあいさつでも使われる表現です。「春たけなわの美しい季節となりました」のように時候の挨拶に用いられます。

時期は3月下旬から4月上旬ごろ、年度替わりの頃が最適です。この時期は「桜花の候」や「春爛漫(はるらんまん)」など他にも春らしい言葉があるので、使い分けてみるのもいいかもしれません。

また、「春たけなわ」は挨拶以外でも、単独で使うこともできます。「春たけなわの山野に出て桜を愛でる」のように、小説の地の文などで使われます。

「たけなわ」を漢字で書くと?

「たけなわ」は漢字で書くと「酣」あるいは「闌」です。どちらも漢字一文字で「たけなわ」と読みます。

「酣」はお酒に甘いという字面からも予想できるように、宴会の最中やお酒を楽しむという意味があります。ここで使われている「甘」は味を楽しむという意味もあるそうです。

一方の「闌」ですが、手すりのことを表す「欄干(らんかん)」に関係がある言葉で、欄干や門のようにさえぎったり閉じ込めたりするもののことを表していたようです。

また、「ラン」という読み方のつながりから「絢爛(けんらん)」の「爛」に通じて、豪華な宴会という意味も持つようになったとも言われています。

「たけなわ」の語源

「たけなわ」の語源について正確なことはわかっておらず、様々な説が飛び交っています。その中からいくつか取り上げてご紹介します。

長ける+成る説

「たけなわ」の状態になることを「長ける」といいますが、この「長ける」に「成る」が加えられて「たけなわ」になったという説があります。

「弁舌に長ける」など、優れているという意味では「長ける」という表記が使われますが、「真っ盛りになる」という意味では「闌(た)ける」とも書きます。

長ける+なお説

ピークに達するという意味の「長ける」に、副詞の「なお(猶)」が足されて「たけなわ」ができたという説もあります。

副詞の「なお」の意味は、今までの状態が続いていること、あるいはさらに物事が進んでいくことです。この場合、ピークに達していてもまだ続いている、すでに真っ盛りでもさらににぎやかになっていくという意味になります。

うたげなかば説

「たけなわ」の語源は「宴半ば」が縮まったものであるという説があります。国学者の本居宣長が著した『古事記伝』に書かれている説です。


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