手取りの意味とは
「手取り」とは、毎月雇用契約を結んだ会社から毎月支給される給与のうち、「実際に自分の元に入る金額」のことです。
月々の給与は、基本給(会社の就業規則で定められた確実にもらえる給料)に各手当を加算して、控除額を差し引いた金額をいいます。毎月給料日にもらう給与明細には「差引支給額」と書かれていることが多いです。
【使用例】
- 求人広告で書かれている基本給の金額よりも手取り方が確実に少ない。
- 基本給は一緒だが、A君には資格手当がつくため自分より手取り額が多い。
手取りの目安の金額を計算する方法
求人広告では控除額を差し引く前の「基本給」で収入の金額を明記しています。思ったよりも給料が少ないとがっかりする前に、だいたいの手取りの目安の金額を計算する方法を紹介します。
給料の手取りは基本給の75~85%程度になるといわれています。月々の手取りを知りたい場合は、月額の基本給から0.75~0.85を乗じると良いでしょう。
各種手当が付きそうな企業や16歳以上の扶養親族が多い場合、同居老親や障害者が扶養家族にいる場合には0.85を当てはめます。手当があまりない場合や独身世帯の人、共働きの場合は0.75をかけると手取りに近い金額が出ると思われます。
給与計算の仕方
ごく基本的な給与計算の仕方を説明します。下記のような手順で行うことが多いです。
- 総支給額を計算
- 控除額を計算
- 総支給額から控除額を差し引く
1.総支給額を計算
総支給額(給与の全ての金額)を計算するには、基本給に手当を加算します。基本給が月給であれば、就業規則や雇用契約で取り決めがあったその月に払われる額面が基本給となります。
パートやアルバイトの場合は、決められた時給に労働時間を乗じて計算します。時間外や休日出勤の手当がある場合も同様です。総支給額に企業で決められた各種手当、(通勤手当や資格手当、住宅手当など)を加算します。
2.控除額を計算
次に給与から差し引かれる控除額をそれぞれの控除額欄に記載して集計します。控除には法律で決められた法定控除(従業員が給与から役所に負担すべき金額)と企業独自の控除があります。
アルバイトやパートの場合は、配偶者や家族の扶養の範囲内で働いていることもあるため、社会保険料や住民税などは納めなくても良い場合があるでしょう。企業独自の控除は社内の福利厚生で利用されていることが多く、制定されていない企業もあります。
住民税が普通徴収の場合は従業員が地方自治体に直接納める方法なので、給与から控除することはありません。6月頃に地方自治体から従業員の自宅に納付書が届けられ、金融機関等で支払い手続きをします。
【法定控除】
- 源泉所得税
- 社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・労働保険料・介護保険料"40歳以上の従業員のみ”)
- 住民税(企業が特別徴収をする場合のみ)
【企業独自の控除の例】
- 財形貯蓄(企業で契約した金融機関へ積立)
- 社員旅行の積立金(旅行の時に利用)
- 社員寮の賃料(企業で徴収)
3.総支給額から控除額を差し引く
最終的に総支給額から、全ての控除額を差し引くと手取りの金額が出てきます。従業員には給与明細を発行し、企業では明細の他に従業員個々の賃金台帳を作成して保管しています。
徴収された法定控除額はどうなる?
法定控除で企業が従業員の給与から差し引いた金額は、企業の物になるわけではありません。決められた日までに、企業から金融機関を経由して役所に納付をする決まりになっています。
月々の源泉所得税はおおよその計算で税額を見積もるため、月々の給与で所得税を払いすぎていることがほとんどです。
年末調整の手続きで正確な所得税額が計算され、払い過ぎた分は12月(もしくは翌年の1月)の給与で還付(返金)されます。12月の給与の手取り額が多いのは、おそらく税金の還付分が含まれるからでしょう。
給与明細は保管をしておくべき
給料日には、総支給額や手取りの金額がわかる給与明細を配布する企業がほとんどでしょう。給与明細はもらった収入を証明できる書類なので、廃棄せずにしっかりと保管をしておくべきです。
給与計算の間違いがあったときにもクレームを入れる時の証明ともなりますし、クレジットカードの入会手続きや更新手続き、ローン等の申込の時に収入を証明する書類として利用できる場合があります。