拝啓とは?拝啓の意味
手紙の書き出しに使われる挨拶言葉で、相手への敬意を表しながら丁寧に用件を伝えるための表現です。
拝啓の説明
「拝啓」は、手紙の冒頭に置かれる「頭語」の一つで、読み方は「はいけい」、訓読みでは「おがみもうす」となります。「拝」は「お辞儀をする」「うやうやしく」という意味を持ち、「啓」は「申し上げる」「伝える」という意味です。つまり、この二つを組み合わせることで、「謹んで申し上げます」という丁寧な気持ちを表しています。主にビジネス上の取引先や目上の人、改まった内容を伝える際に使われ、手紙の最後には「敬具」という結語で締めくくるのが基本的なマナー。時候の挨拶や相手の安否を気遣う前文から始まり、本文、結びの言葉へと続く、格式のある手紙の形式を形作る大切な言葉です。
デジタル時代だからこそ、手書きの手紙と「拝啓」の温かみが際立つのかもしれませんね。
拝啓の由来・語源
「拝啓」の語源は、中国の古典的な書簡作法にまで遡ります。「拝」は「うやうやしくお辞儀をする」という意味で、敬意を表す動作を示し、「啓」は「申し上げる」「伝える」ことを意味します。これらを組み合わせることで、「謹んで申し上げます」という謙遜と尊敬の気持ちを表現する言葉として成立しました。日本では平安時代頃から貴族や文人の間で手紙の形式として取り入れられ、江戸時代には武家や商人の書簡でも広く使われるようになりました。特に格式を重んじる場面で用いられ、現代でも改まった手紙の冒頭に使われる由緒正しい表現です。
デジタル時代だからこそ、手書きの「拝啓」から伝わる温もりが新鮮に感じられますね。
拝啓の豆知識
「拝啓」にはいくつか興味深い豆知識があります。まず、この言葉を使うときは必ず「敬具」で締めくくるというルールがありますが、女性の場合は「かしこ」を使うことも許容されます。また、ビジネス文書では「前略」や「急啓」など状況に応じて頭語を使い分けるのがマナーです。面白いのは、手紙の歴史において「拝啓」が使われるようになったのは比較的新しく、明治時代以降に一般化したこと。さらに、電子メールが主流になった現代でも、就職活動の履歴書送付状やお礼状などでは「拝啓」を使った正式な形式が重宝されています。
拝啓のエピソード・逸話
作家の夏目漱石は、親しい友人への手紙でも「拝啓」を使って丁寧な文章を書くことで知られていました。特に弟子の森田草平へ送った手紙では、「拝啓」で始まる形式を守りながらも、内容は率直な批評や助言で満ちており、師弟関係の深い絆が感じられます。また、昭和の歌人・俵万智さんは、短歌の添削指導をする際に「拝啓」で始まる手紙をよく使用し、その丁寧な指導姿勢が多くの弟子から慕われたエピソードがあります。現代では、政治家の野田聖子氏が公式な手紙で「拝啓」を多用し、伝統的な礼儀を重んじる姿勢を示しています。
拝啓の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「拝啓」は「敬語の複合表現」として分類できます。接頭辞的な「拝」が敬語機能を担い、主要動詞の「啓」が伝達行為を示すという構造です。この形式は日本語の敬語体系において、謙譲語と丁寧語の特徴を併せ持つ特殊な表現と言えます。歴史的には、室町時代から江戸時代にかけて書簡文が発達する中で、様々な頭語が生まれましたが、「拝啓」はその中でも特に丁寧さと汎用性の高さから標準的な地位を確立しました。現代日本語では、書簡における儀礼的定型句として機能しており、社会言語学的には「公式場面における言語行動の規範」を示す良い例と言えるでしょう。
拝啓の例文
- 1 拝啓、毎日仕事に追われてなかなか連絡できず申し訳ありません。ふと窓の外を見ると満開の桜が風に揺れていて、先生とお花見したあの日を思い出しました。
- 2 拝啓、季節の変わり目で体調を崩しやすくなっていますが、お元気でお過ごしでしょうか。最近は急に寒くなったり暑くなったりで、服装に困る日々が続いています。
- 3 拝啓、リモートワークが続き人と会う機会が減ってしまいました。画面越しのコミュニケーションでは伝わらない温もりを、久しぶりに手紙でお伝えしたく筆を執りました。
- 4 拝啓、新型コロナの影響で予定が大きく変わってしまい、お会いできる日が延期になって残念です。こんな時だからこそ、健康第一でお過ごしください。
- 5 拝啓、スマホのメールばかりで直筆の手紙を書くことなんて何年ぶりだろうと思いながらペンを握っています。字が下手なのは相変わらずですが、気持ちだけはたっぷり込めております。
拝啓と他の頭語の使い分け
手紙の頭語には拝啓以外にも様々な種類があり、状況に応じて使い分けることが大切です。それぞれの頭語には適した使用場面と対応する結語があります。
| 頭語 | 使用場面 | 結語 |
|---|---|---|
| 拝啓 | 一般的な改まった手紙 | 敬具 |
| 謹啓 | より丁寧な手紙、お詫びやお祝い | 謹白・敬白 |
| 前略 | 急用で時候の挨拶を省略 | 草々・不一 |
| 急啓 | 急ぎの用件 | 早々・不一 |
| 再啓 | 同じ相手に再度手紙を書く場合 | 敬具 |
特にビジネスシーンでは、内容の重要度や相手との関係性に応じて適切な頭語を選ぶことがマナーとなっています。
拝啓を使う際の注意点
- 頭語と結語の組み合わせを間違えない(拝啓には必ず敬具)
- 時候の挨拶を忘れずに入れる(季節に合った表現を選ぶ)
- 改行位置に注意(頭語の後は1字下げ、結語は文末右寄せ)
- ビジネスメールでは使用しない(メールと手紙では形式が異なる)
- 親しい間柄では過度に形式ばりすぎない(状況に応じて前略なども検討)
手紙の形式は、相手への敬意の表れです。正しい使い方を心がけることで、より良い人間関係を築くことができます。
— ビジネスマナー講師 山田真理子
拝啓にまつわる歴史的背景
拝啓という表現が広く使われるようになったのは、明治時代以降のことです。近代的な郵便制度が整備され、一般庶民も手紙を送ることができるようになったことで、格式ある手紙の形式として普及しました。
戦前までは、より格式高い「謹啓」が主流でしたが、戦後になってビジネス文書の簡素化が進み、拝啓が一般的な頭語として定着しました。現在では、就職活動のエントリーシートやお礼状など、フォーマルな場面で広く使われています。
よくある質問(FAQ)
拝啓を使うべき相手はどんな人ですか?
拝啓は、目上の方やビジネス上の取引先、改まった内容を伝える場合に使用します。具体的には、上司や先生、取引先の担当者、お世話になった方などに対して使うのが適切です。親しい友人や家族にはあまり使いません。
拝啓で始めた手紙の結びはどうすればいいですか?
拝啓で始めた手紙は、必ず「敬具」で結ぶのが基本のマナーです。女性の場合は「かしこ」を使うこともできます。また、より丁寧な表現として「謹白」や「敬白」を使う場合もありますが、一般的には「敬具」が最もよく使われます。
メールでも拝啓を使った方がいいですか?
ビジネスメールでは、拝啓などの頭語は基本的に使いません。代わりに「いつもお世話になっております」や「平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます」などの挨拶文で始めるのが一般的です。手紙とメールでは形式が異なることを覚えておきましょう。
拝啓と謹啓の違いは何ですか?
拝啓よりも謹啓の方がより丁寧で格式高い表現です。謹啓は「謹んで申し上げます」という意味で、特に目上の方へのお詫びやお祝い、重要な依頼など、より改まった内容の手紙で使用します。日常的なビジネス文書では拝啓が適しています。
時候の挨拶は必ず必要ですか?
拝啓を使った正式な手紙では、時候の挨拶を入れるのが礼儀とされています。ただし、急用の場合は「前略」や「急啓」を使って時候の挨拶を省略することも可能です。時候の挨拶を入れることで、季節感や相手を気遣う心遣いが伝わります。