「マッドサイエンティスト」とは?意味や使い方をご紹介

漫画や映画などのSF作品に「マッドサイエンティスト」が登場することがありますね。お気に入りのキャラクターはいますか?今回は「マッドサイエンティスト(mad scientist)」の意味や使い方、代表的なマッドサイエンティストなどについて解説します。

目次

  1. マッドサイエンティストとは
  2. マッドサイエンティストの原点
  3. 現代SFにおけるマッドサイエンティスト
  4. SF作品とマッドサイエンティストの変遷

マッドサイエンティストとは

マッドサイエンティストの意味

「マッドサイエンティスト(mad scientist)」とは、英語を直訳すれば「狂った科学者」のことです。SF作品などに登場する、常軌を逸した天才科学者ですが、実在の科学者を指して呼ぶこともあります

自分勝手な欲望や目的を遂げるために科学を悪用したり、研究に没頭するあまり道義心を欠いているなどの特徴があり、奇想天外な発明によって恐怖や混乱を引き起こすキャラクターです。

マッドサイエンティストの使い方

  • 白衣を着たまま不気味に笑うのはやめてくれ。マッドサイエンティストのようだよ。
  • SF作品の中のマッドサイエンティストは、実在の科学者をモデルにしている場合もある。

マッドサイエンティストの原点

原点はフランケンシュタイン

マッドサイエンティストの原型とされているのは、1818年のメアリー・シェリーによる小説『フランケンシュタインあるいは現代のプロメテウス(英題:Frankenstein, or the Modern Prometheus)』の登場人物、ヴィクター・フランケンシュタインです。

『フランケンシュタインあるいは現代のプロメテウス』

フランケンシュタインは、生命の謎を解き明かして自在に操るという野望を抱き、「理想の人間」の設計図を完成させます。そして、自ら墓を暴いて手に入れた死体をつなぎ合わせることで「怪物」の創造に成功しますが、その怪物は優れた体力・知性・人間の心を有していたものの、醜く恐ろしい容貌をしていました。

『フランケンシュタイン〜』において、後世のSF作品とマッドサイエンティストの典型が描かれています。つまり、後先を考えずに人が越えてはならない境界線を越えて、禁忌の研究を行うという狂気の科学者の物語です。

現代SFにおけるマッドサイエンティスト

ストレンジラヴ博士/『博士の異常な愛情』

1964年に公開されたスタンリー・キューブリック監督『博士の異常な愛情』は、偶発的に核戦争が起き、人類が滅亡に到る様子を描いたブラックコメディです。

【ストレンジラヴ博士】
登場シーンは少ないものの、今にも核爆弾が落ちようとしている時に、嬉々として持論を披露するなどの奇行が目立つ人物です。ストレンジラヴ博士のモデルになった人物として、原子爆弾開発に携わったジョン・フォン・ノイマン、エドワード・テラーなどが挙げられています。

天馬博士/『鉄腕アトム』

手塚治虫による漫画・アニメ『鉄腕アトム』はロボットのアトムを主人公としたSF作品で、何度もアニメ化されたり、スピンオフ作品が作られています。

【天馬午太郎(てんまうまたろう)博士】
天馬博士は、愛息・トビオを失ったことを機に、絶対に死なないトビオを作り上げようと、ロボット(アトム)を創造。しかし、ロボットのとびおは一切成長しないことから、ロボットはトビオになり得ないと絶望し、アトムをサーカスに売り飛ばしてしまいます。

マモー/『ルパン三世 ルパンVS複製人間』

ルパン三世 ルパンVS複製人間(クローン)』は、モンキー・パンチ原作の『ルパン三世』の劇場版第1弾で公開は1978年。この年は世界初の「試験管ベビー(体外受精児)」が誕生し、クローンはこの年の旬のテーマでした。

【マモー】
クローン技術によって不老不死を実現し、自分自身を生み出し、育むことで1万年を生き抜きながら、歴史を影から動かしてきたと自称する天才科学者。世界一の大富豪でもあり、考古学の分野にも手を広げています。

SF作品とマッドサイエンティストの変遷

初期SF作品:変化への恐怖

宗教が社会や生活に大きな影響を及ぼしていた時代は、科学や技術の進歩がもたらす生活の変化にとまどい、不安や恐怖にかられる人々も少なくありませんでした。この時代のSF作品においては、多く、科学を宗教と対立させることによって、マッドサイエンティスト=変化への恐怖の元凶として描いかれています。

第二次世界大戦後のSF作品:兵器や戦争への恐怖

第二次世界大戦後のSF作品においては、核兵器や生物兵器・化学兵器に関わるマッドサイエンティストが盛んに登場。これは、現実に、原子爆弾やナチスの生物化学兵器が使用されたことに影響されたせいで、これらの兵器は、第三次世界大戦や人類滅亡の可能性を創造するには十分だったのでしょう。

近年のSF作品:制御不能の科学に対する恐怖

近年、想像の域を出なかったクローンや遺伝子操作、ロボット、AI技術などが現実のものとなった一方で、倫理問題をはじめとする様々な議論は技術の進歩に追いついていません。技術だけが進歩しすぎて、いつか人間の制御を超えるのではないかという漠然とした恐怖が、マッドサイエンティストに象徴されています。

近年のSF作品:組織人としての顔

実際の研究は、莫大な資金を使い、各分野の専門家が協働して行うものです。現実の研究環境を反映させてか、近年のマッドサイエンティストは孤独な人物としてではなく、企業や軍の研究機関に籍を置いていたり成功した実業家であったりと、組織人の顔を持つ者として描かれていることも多くあります。


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