「過疎」とは?
「過疎(かそ)」とは、もともとは文字通り、とてもまばらであることを指します。ここから一般的には、ある地域で急激に、かつ大幅に、人口が他地域に流出することで減少して、今までのような生活が営めなくなることを表します。
開発が遅れてしまった農山村でこの状態が見られることが多く、学校や病院など、生活に直結する多くの場面でこれまでと同じ規模での継続が難しくなります。
1966年、経済審議会の地域部会での中間報告の中で「過疎」という言葉が使われたのが、公式に使われた最初と言われています。
「過疎」使い方
- 地方の農村では過疎化が進み、同時に住民の高齢化も進んでいる。
- 母の田舎は、昔はたくさんの人が住んでいたが、今は過疎化が進んですっかりさみしくなってしまった。
「過疎」の対義語
「過疎」の対義語は「過密(かみつ)」です。度を越してぎっしり詰まっていて、まったくゆとりのないようすを表し、「過密ダイヤ」「過密スケジュール」のように使われます。
ここから、人口や建築物、産業などが特定のある地域に集中してしまっているようすも表します。「過密都市」、「人口過密」のように使われ、首都圏などにその傾向が多く見られます。住宅問題、公害問題、交通問題、犯罪問題などがその弊害として挙げられます。
過疎の原因
農業や漁業、林業などの第一次産業を主とする地域では、若い人たちがそれを嫌い、違う働き先を求めて大きな都市へ流出してしまうということがあります。
第一次産業以外の働き先が地元にあったとしても、都市部に比べて選択の幅が少なく、給与の水準も低めになっています。
また、そのような地域では大きな娯楽施設なども少なく、便利で華やかな都市部にあこがれる若者も少なくありません。閉鎖的な人間関係から逃れたい若者たちもいると言われています。そのため、進学や就職で過疎地域を出た若者が、そのまま都市部に残ってしまい、ますます人口が減っていきます。
人口が減ったことにより、それまでの人口で維持できていたさまざまな機能が維持できなくなってしまい、さらに人口が減っていく、という悪循環に陥ります。
過疎の影響
過疎化が進むと、次のような生活への悪影響が出てきます。
- 病院や日常の買い物など、生活に直結する多くの場面でのサービスが縮小され、生活が不便になる。
- 人口が減少することで地方の税収も減少し、行政のサービスも縮小される。
- 若い人が少ないため、通勤通学でバスや鉄道などの公共交通を使う人が少ない。そのため採算が合わず、公共交通の規模が縮小される。
- 空き家が増え、治安上の問題や、景観上の問題が起きる。
「限界集落」とは?
過疎化が進み、コミュニティとしての機能が維持できなくなっている状態の集落を「限界集落(げんかいしゅうらく)」と呼びます。
65歳以上の人口が50%を超えていることが、その定義とされています。社会学者の大野晃(おおのあきら)さんが1991年に提唱した概念で、労働人口が高齢化しているため、将来の発展が見込めません。
限界集落には段階があります。準限界集落(55歳以上の人口が50%以上)から限界集落、そして危機的集落(65歳以上の人口が70%以上)へと進み、最終的には集落が消滅してしまいます。
「過疎る」とは?
若者言葉で、「過疎る」という表現があります。「過疎」という名詞に接尾語の「る」をつけて動詞化したものです。意味は、人や物事など、いろいろなものが少ないことを表しています。
ネット上では、SNSで投稿やレスポンスが少なかったり、動画の再生やオンラインゲームのプレイヤーが少なかったりというような、利用者が少ない状態を表します。
現実の社会では、商店街から人が減って賑わいがなくなったり、男性の髪が少なかったりすることを「過疎る」と言うこともあるそうです。
「過疎る」使い方
- このサイト、ここのところ過疎ってるね。
- うちの上司、頭髪が過疎ってるんだよね。