三文の意味
通貨の単位
ことわざ「早起きは三文の得」。ここに出てくる「文」は昔のお金の単位です。江戸時代に使われていた銭貨一枚が一文で、今でも「一文無し」とか「びた一文」などの表現に出てきますね。つまり、「三文」は銭貨三枚分の値段ということになります。
価値が低い
お金の単位としての「文」は最小の単位です。一番額の低い硬貨が三枚集まったところでたいした金額にはなりません。
そのため、値段が極めて安いことや価値が低く劣悪なもののことを「三文」と言います。「三文判」や「三文小説」などが代表例です。
三文はいくら?
さて、「三文」とは現代でいくらくらいの値段なのか調べてみましょう。
三文を両替すると…
江戸時代には、いわゆる硬貨の「銭」以外に小判などの金貨や銀貨が使われていました。これらの通貨の相場は固定ではなく、時期によって変動していました。今でいう金相場や銀相場のようなものですね。
結構ばらつきはあったのですが、公式には金1両が銀60匁(もんめ)、そして銭4貫とされていました。また、銭は1貫が1000文です。
金相場より計算
金相場から1文の価格を計算してみます。金1両はおおよそ38グラムです。2019年5月31日時点では、金1グラムは5,000円弱です。
お店によって変動はありますが、4,800円から5,000円の間に入っていますので、計算しやすく5,000円としましょう。
この場合、金一両は19万円になります。1文はこの4000分の1ですので、47.5円です。よって、三文は142.5円ということになります。ジュース1本分くらいですね。
銀相場より計算
次に銀相場から換算してみましょう。銀60匁が4000文で、1匁は3.75グラムです。銀は1グラム当たり60円弱なので、こちらも60円としましょう。
銀60匁で13,500円です。これを4000で割って3倍すると、10.125。銀で計算すると三文は10.125円となりました。金となかなかの差が付きましたね。江戸に比べ現在は銀の価値が落ちているのでしょうか。
ネット上では
インターネット上では、1文はおおよそ30円程度と書かれていることが多いようです。この場合は三文で90円ですね。
ただ、具体的な計算式などはわかっておらず、数字だけが独り歩きしている状況です。もっとも、物価と比べているサイトでも異常とは言えない水準になっています。
寛永通宝とは?
江戸時代に銭の硬貨として使われていたのは「寛永通宝」と呼ばれているものです。この硬貨1枚が銭で1文になります。素材は真鍮や銅など様々で、特には統一されていなかったそうです。
寛永通宝はいくら?
では、「寛永通宝」の古銭としての、つまり骨とう品としての値段を調べてみましょう。
寛永通宝は広い範囲で、長い間使われていた硬貨なので、当然数多くあります。種類ももちろん豊富です。そのため、値段も様々。たいていのものは1,000円を上回ることはなく、場合によっては1円のこともあるそうです。
ただし、状態の良い珍しいものなら数万円になるそうですから、これが3枚なら、三文が数十万円になってしまいますね…。
金額以外の「文」
「文」はお金の単位ですが、じつは長さや重さの単位として用いられることもあります。1文を表す通貨何枚分の長さがあるか、という測り方をします。
1文は0.8寸、つまり2.4センチメートルほどです。重さはばらつきが大きいのですが、大体1匁、3.75グラムと言われています。