「ヒロイン」とは?
「ヒロイン」の意味
「ヒロイン(heroine)」は、「ヒーロー(hero)」の女性形で、「女性の英雄」や「劇や小説などの女性主人公」を指す言葉です。
「女性の英雄」という意味は後で解説する語源に最も近く、この意味で用いる場合は、「女傑(じょけつ)」、「女丈夫(じょじょうふ)」、「烈女(れつじょ)」とも言い換えることができます。
また「女性の英雄」は、物語の主人公として語られることも多いため、「ヒロイン」にも「女性の主人公」という意味が加わったのでしょう。
しかし、劇や小説などでは、描かれ方によって、必ずしもこれに当てはまらない女性を「ヒロイン」と呼ぶことがあります。これについても、追って詳しくご説明します。
「ヒロイン」の使い方
- ジャンヌ・ダルクをヒロインに数えるかどうかは評価が分かれる。
- オードリー・ヘップバーンは『ローマの休日』でヒロインを演じた。
- この舞台のヒロインに抜擢されたのは無名の女優だ。
「ヒロイン」の語源
「ヒロイン(heroine)」の語源となったのは、ギリシャ語の「ヘーロース(heoros)」の女性形「ヘロウィン(heroine)」です。これがラテン語を経て、英語に取り入られて「ヒロイン(heroine)」となりました。
ギリシャ語の「ヘーロース」は、ギリシャ神話に登場するヘラクレスやアキレウスのような英雄を表す言葉でした。「ヘロウィン」はその女性形ですから、もともとは「女性の英雄」を表す言葉でした。
英雄とも主人公とも違う「ヒロイン」
最初にご説明した「女性の英雄」でも「女性主人公」でもないのに「ヒロイン」と呼ばれる女性キャラクターには、大きく分けて次のようなタイプがあります。
①主人公の相手役
物語の主人公の恋愛対象、相棒、ライバル、敵のような相手役の女性を「ヒロイン」と呼ぶことがあります。
例えば、漫画『名探偵コナン』の主人公の江戸川コナン(工藤新一)の幼馴染・毛利蘭などがこのタイプに分類されます。
映画『男はつらいよ』シリーズで寅さんが恋心を抱くマドンナ、映画『007』シリーズでボンドの敵や敵の恋人として登場するボンドガールもこれに相当するでしょう。
②ストーリーの軸
主人公が悪者に攫われた姫を助け出す、親を殺された女の子に代わって仇を取るなどのストーリーにおいては、①ほど登場シーンが多くなくても「ヒロイン」と呼ばれます。その女性の存在が主人公の行動の理由となり、それがストーリーの軸となるからです。
例えば、『スーパーマリオ』シリーズのピーチ姫は、ステージの最後にしか登場しなくても「ヒロイン」とされています。これは、「攫われたピーチ姫を助ける」というのが物語のテーマとなっているからでしょう。
ただし、このような「男性に守られる、か弱い女性」は、近年、男性からも女性からも嫌われる傾向にあります。
不遇な環境においても、力の限り足掻くような「戦う女性」や「自立した女性」がストーリーの軸として描かれる作品が増えてきました。
「ヒロイン」から派生した言葉
「ゲロイン」
「ゲロイン」は、漫画やゲームなどにおいて、作中で嘔吐の描写があるヒロインを指す造語で、漫画『銀魂』に登場する神楽(かぐら)などが知られています。
「ちょろイン」
「ちょろイン」とは、「ちょろい」+「ヒロイン」からくる造語で、「主人公が簡単に攻略できるヒロイン」を指しています。
このタイプの女性キャラクターは、最初は主人公に好意を持っていないものの、主人公の何気ない言動にあっさりとハートを撃ち抜かれてしまいます。
「悲劇のヒロイン症候群」
「悲劇のヒロイン」とは、不幸な出来事の中心にいる女性のことですが、自分が不幸だと嘆いてばかりいる女性を揶揄する言葉として使われる場合もあります。
「悲劇のヒロイン症候群」は、女性がいつも自分が不幸だと悲観してばかりいる状態を指す、皮肉を含んだ表現です。