「卑劣」の意味
「卑劣」は「品性・行為などのいやしく下劣なこと」という意味の名詞・形容動詞です。また「鄙劣」と表記される場合もありますが、意味としては同じです。
【単語解説】
- 品性…ひとがら、人格
- いやしい…多義語だが、「卑劣」の場合はとりわけ下品であること、劣っていることを言う
- 下劣…人柄や考え方が下品でいやしいこと
「卑劣」の使い方
- 卑劣な人間にだけはなるまい
- そんなやり方は卑劣だ
- 犯人は卑劣にも子供を人質にとった
「卑劣」の類語
「卑劣」の類語はかなりたくさんあるので、すべてを紹介することはできませんが、主だったものに以下のような語があります。
- 下品(げひん)
- 卑怯(ひきょう)
- 下劣(げれつ)
- 姑息(こそく)
- 暴悪(ぼうあく)
- 奸悪(かんあく)
- 悪辣(あくらつ)
- 狡猾(こうかつ)
- 下衆(げす)
卑劣の類語:下品
「下品」は品の悪いこと、げびたさまのこと。「下卑(げび)る」は、下品めくことや下劣さをおびることで、「下卑た笑いに耳をふさぐ」などのように用います。
ただし現代では、「下品」はもっぱら社会常識としてのモラルやマナーの悪さを表すのに用いられるため、「卑劣」ほどの語調の強さはありません。
卑劣の類語:卑怯
「卑怯」は心が弱く勇気のないこと、心だてのいやしいことをいいます。「卑怯」と「卑劣」は類語として言い換えが可能な場合もありますが、「卑劣」には「勇気がない」というニュアンスはありません。
卑劣の類語:下劣
「下劣」とは、人柄や考え方が下品でいやしいことです。「卑劣」とほぼ同義のように思えますが、表面的な行動についても使用される「卑劣」と違い、「下劣」は対象となる人物の内面的なものを評するのに使用されます。
たとえば「君は卑劣だ」と言う場合、必ずしも“君”の人格や思考まで非難するニュアンスとは言えません。「(本来はそんな人物ではないが、今その行動をとっている)君は卑劣だ」という、一時的な非難かもしれないからです。
しかし「君は下劣だ」の場合は、“君”のそもそもの人格や思考が下劣であると断じる意味合いになります。
卑劣の類語:姑息
「姑息」は、いっときの間に合わせ、その場のがれという意味で用いられる語です。「ずるい」というニュアンスを持って、「卑劣」や「卑怯」と同様に非難の意味合いで使用されることがあります。
卑劣の類語:暴悪
「暴悪」とは非理非道なこと、きわめて手荒なこと。非理非道は道理を無視していることです。「卑劣」と違い「いやしい」というニュアンスはなく、どちらかといえば「暴」の字が示すとおり荒々しさが強調される語です。
卑劣の類語:奸悪
「奸悪」は心がねじけ曲がっていることや、そういう人を表す語です。「姦悪」とも書きますが、意味は同じです。「下品」や「いやしい」というよりも、心を善と悪とで見たときに、悪にことさら偏っているようなイメージです。
卑劣の類語:悪辣
「悪辣」は悪くすごいこと、非常にたちの悪いことを意味します。「辣」は「辣腕」などの語に見られるように、程度の激しさやすごさを意味する漢字です。したがって「悪辣」は、ただ悪いというよりもそこに凄まじさが加わるニュアンスです。
卑劣の類語:狡猾
「狡猾」は、悪賢いこと、こすいことを意味する熟語です。「こすい」は、ずるいという意味です。「狡猾」は必ずしも非難のニュアンスを伴いません。
たとえば、「次の対戦相手は卑劣なやつだ」という場合は、単に相手の人柄や行動(戦法など)を非難するニュアンスです。
一方「次の対戦相手は狡猾なやつだ」の場合は、「次の相手は悪賢い→だから気を引き締めよう」というように、相手の賢さや抜け目のなさが強調されます。文脈によっては、褒め言葉のようにもなるのが「狡猾」です。
卑劣の類語:下衆
「下衆」は、心のいやしいことや、そういう人を表します。「ゲスの極み」や「ゲス不倫」といった言葉が流行りましたから、ご存知のかたも多いでしょう。ちなみに「下司」や「下種」とも表記しますが、意味は同じです。
「下衆」の原義は「身分の低いもの、使用人」なので、「心がいやしい」という意味で使用する場合も、非難と同時に軽蔑のニュアンスが加わります。