「汝」とは?意味や使い方をご紹介

「汝」の意味や読み方をご存知でしょうか?古いことわざや格言ではたまに出てくる言葉ですが、現代ではあまり使いませんよね。二人称ではありますが、敬意は時代とともに変わっていきました。今回は「汝」の意味や使い方などをご紹介していきます。

目次

  1. 汝の意味
  2. 汝の使い方
  3. 汝の由来
  4. 汝の成り立ち
  5. 汝の関連語
  6. 汝の英訳

汝の意味

汝(なんじ)は二人称の代名詞です。貴方と同じような意味です。敬語ではなく、どちらかというと対等以下の相手に対して使います。爾と書くこともあります。

古語なので現在では使われません。見かけるとすればことわざや古典、古書の中が中心です。小説やゲームではなぜかよく使われていますが。

汝の使い方

汝は古語ですので、現代では基本的に使われません。なので、ここでは汝を含む格言やことわざをいくつか紹介します。

汝自身を知れ

古代ギリシアのデルフォイ神殿に刻まれていた言葉です。誰の言葉かは定かではありません。元々は「身の程をわきまえよ」という意味で使われていたそうです。その後、哲学者ソクラテスが哲学的な意味で用いました。哲学的な探求は自分の無知の自覚から始まるといった意味ですね。

汝の敵を愛せ

自分や好きな人だけでなく、自分に害を及ぼす人に対しても慈愛の心で接するのが本当の愛であるというキリスト教の教えです。『新約聖書』の「マタイ福音書」に出てくる有名な言葉です。

艱難汝を玉にす

艱難汝を玉にす(かんなんなんじをたまにす)とは苦労を乗り越えることで人間は立派に成長できるという意味です。玉は立派なもののたとえです。

汝の由来

汝は元々「なむち」という言葉でした。「な」と「むち」に分かれます。「な」は元は一人称だったのですが、やがて二人称に転じました。「むち」は漢字で貴と書き、神や人を尊んでいう言葉です。

つまり、当初は尊敬語であったといわれています。それがいつの頃からか対等の相手や目下の相手に使う言葉に変わっていき、今にいたります。

汝の成り立ち

汝の成り立ち

汝は、さんずいに女と書きます。さんずいは流れる水、つまり川を表します。女はじょという読み方だけで、特に意味はありません。元々は中国にある汝水(現在の撫河)という川を指す字でした。

爾の成り立ち

なんじと読むもう一つの字、「爾」の成り立ちも紹介しましょう。この字は象形文字で、美しい花や輝いている花を表しています。そこから借りてきて、二人称に使うようになったとされています。二人称以外では、指示代名詞「それ」や「そのように」などの意味でも使われます。

汝の関連語

汝と同じように相手への呼びかけに使う言葉はいくつかあります。なかでも「御前様」と「貴様」は元々敬称であったにもかかわらず、現在では対等以下の相手や敵対している相手に使う言葉なったという点で「汝」と同じものがあります。一方、「其の方」や「御身」などは元から対等以下の相手に使う言葉でした。

汝の英訳

汝は二人称ですので、英語では「you」に当たります。しかし、汝が現代では使われない古語であることを考えると、むしろ古い言葉の「thou」の方が近いでしょう。

「thou」は「you」と同じく二人称の代名詞です。現在では会話では使われず、ことわざや詩の中に出てくる程度です。一方、宗教的には使われることが多々あります。お祈りなど神への呼びかけや聖書の一節などにも出てくることがあります。

また、「thou」は「you」と使い分けがされていたとも言われています。ドイツ語では二人称が二つあります。親しい相手に使う「du」と敬称の「Sie」の二つです。これと同じように、親しい相手には「thou」、敬う相手には「you」を使っていたそうです。


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