「堪能」の読み方
まず「堪能」は「たんのう」、もしくは「かんのう」と読みます。訓読みで「堪」は「た(える)」と読む字です。
「堪能」の意味と語源
「堪能」は読み方によって、意味が違ってきます。紛らわしいのでここからは、一部を平仮名で表記します。
「かんのう」とは?
「かんのう」には、以下の二つの意味があります。
- よく耐え忍ぶ能力のこと
- 深くその道に通じていることや、そういう人のこと
ただし1は仏教に関わる意味なので、一般的には2の意味を示すことが多めかと思います。そして重ねて紛らわしいのですが、2の意味を示す場合、「たんのう」でも通じます。
「たんのう」とは?
「たんのう」には細かく分け、以下の二つの意味があります。
- 十分に満足すること
- 納得することや、気が済むこと
ただし2の意味は古い読み物などで使われていて、現代ではどちらかと言えば、1の意味を示すことが多めかと思います。
「たんのう」の語源
「たんのう」は、「足んぬ」が音変化した言葉です。「足んぬ」とは、満ち足りることや満足なことを表します。そして音変化した「たんのう」に、「堪能」の漢字が当てられました。
そういった経緯から元々あった「かんのう」と、当て字の「たんのう」が混同され、「かんのう」における2の意味が「たんのう」でも通じるというわけです。
「堪能」の使い方
上述を踏まえて「かんのう」では2の意味、「たんのう」では1の意味の使い方ですが、「かんのう」の場合は形容動詞に分類されます。
形容動詞とは、何かの性質や状態などを表す役割を持っています。ここでの状態とは、深くその道に通じていることですね。よって「〇〇に堪能」などのように使われます。
一方で「たんのう」の場合、名詞や動詞として使われます。満足することなので、「〇〇を堪能する」などのような形です。
かんのう:その道に通じていること
【例:彼は英会話に堪能な人だ】
これは「彼は英会話に精通している人だ」と言い換えられます。それが得意のようなニュアンスや、その分野で優れているようなニュアンスです。
たんのう:満足すること
【例:フランス料理を堪能した】
これは動詞として使っていて、「フランス料理を食べて十分に満足した」という意味です。似たような使い方としては、「遊園地を心ゆくまで堪能した」などの表現があります。そしてどちらも、それを楽しんだようなニュアンスが伝わるかと思います。
「堪能」の類語
「堪能」の類語には、「熟練」、「老練」、「充足」、「満喫」などがあります。
「熟練」について
「熟練(じゅくれん)」とは、十分に経験を積んで上手なことや、手際よく出来ること、その様子を表します。「かんのう」における2の意味と似ていますね。
この言葉は「熟練を要する作業」や、「熟練した技」などのように使われます。またそういう上手な人のことを、「熟練者」と言います。たとえば「運転に堪能な人」は、「運転の熟練者」と言い換えられます。
「老練」について
「老練(ろうれん)」とは、経験を積み、物事に慣れていて巧みなことや、その様子を表します。この言葉も「かんのう」における2の意味と近いです。「熟練」とソックリな意味ですね。
そして「老」には、年を重ねた人などの意味があります。そこを踏まえると、他の言葉と上手く使い分けられるかと思います。
「充足」について
「充足(じゅうそく)」とは、十分に補い満たすことや、満ち足りることを表します。「たんのう」における満足することに似ていますね。
たとえば満ち足りたいという意味で、「遊園地を堪能したい」は、「遊園地での充足を求める」のように言い換えられます。補い満たすという意味では、「人員を充足する」などのように使われます。
「満喫」について
「満喫(まんきつ)」とは、存分に飲み食いすることや、十分に楽しむことを表します。この言葉も「たんのう」における、満足することに近いです。
たとえば十分に楽しむという意味で、「休日を堪能する」は「休日を満喫する」と言い換えられます。飲み食いに関しては、「旅館での食事を満喫する」などのように使われます。