「玉砕」の読み方
まず「玉砕」は、「ぎょくさい」と読みます。訓読みで「玉」は「たま」、「砕」は「くだ(く)」と読む字です。
「玉砕」の意味
「玉砕」とは、玉のように美しく砕け散ることや、全力で戦い、名誉や忠誠を守って潔く死ぬことを表します。
それぞれの字について、「玉」は美しく尊いモノ、宝石、立派なモノなどの意味を持っています。一方の「砕」には、細かく割れるなどの意味があります。
つまり玉のように美しく砕け散るとは、そういう尊いモノや立派なモノなどが割れる=壊れる様子を示しているわけです。
「玉砕」の使い方
「玉砕」は「玉砕だ」や「玉砕によって~」のように名詞として使われる一方で、「玉砕する」や「玉砕して」などのように、動詞としても使われます。
玉砕:玉のように砕け散ること
【例:クラスの女子に告白したが、見事に玉砕した】
これは動詞として使っていて、「告白したが砕け散った=フラれた」というような意味です。ここでの玉(尊いモノや立派なモノ)は、告白という行動を示しています。
他には「彼女は彼を食事に誘ったが、玉砕していた」などのような表現があります。こういった使い方の場合、失敗というか、駄目だったようなニュアンスが強めに伝わるかと思います。
玉砕:潔く死ぬこと
【例:守備隊の玉砕は、見事だった】
こちらは名詞として使っていて、戦争をイメージすると分かりやすいかと思います。「守備隊が戦い、名誉や忠誠を守って潔く死ぬ様子は、見事だった」というような意味です。
意味のうえでは「玉のように美しく砕け散る」に繋がりますが、一つ目の例文と比べると、割とニュアンスが違っていますね。「玉砕」はそういう戦争などに関わることや読み物でもよく使われています。
とりわけ第二次世界大戦のとき、アッツ島で日本軍が全滅したことを発表するに当たり、「玉砕」という言葉が使われたことは有名です。
「玉砕」が使われているコンテンツ
漫画家である水木しげるの作品に、「総員玉砕せよ! 聖ジョージ岬 哀歌」という漫画があります。この作品は戦争にまつわる、実話に基づく戦記モノです。
また2007年頃には、「鬼太郎が見た玉砕 水木しげるの戦争」というタイトルで、テレビドラマ化もされています。
「玉砕」に関連する言葉
「玉砕」に関連する言葉には、「討ち死に」、「散華」、「瓦解」、「全滅」などがあります。
「討ち死に」について
「討ち死に」とは、戦場で敵と戦って死ぬことを表します。またこの言葉は「討死に」とも書かれますが、意味は同じです。
そして「討ち死に」は実際に戦って死ぬことを表す一方で、「玉砕」の一つ目の例文のよう、告白をしてフラれた人などに、「討ち死にだ」と使われたりします。これは告白を戦いに、フラれたことを死ぬことに見立てて、比喩的に用いています。
「散華」について
「散華(さんげ)」には幾つかの意味がありますが、中でも死ぬことや、若くして戦死することという点は、「玉砕」に通じるところがあります。
戦死などを玉が砕けることに例えている「玉砕」に対して、「散華」は華(はな)を散らすことに例えているわけです。
「瓦解」について
「瓦解(がかい)」とは、組織や秩序あるモノがバラバラに崩れて、駄目になることを表します。何かが駄目になるという部分は、「玉砕」に通じるところがありますね。この言葉は「現体制が瓦解する」などのように使われます。
「全滅」について
「全滅(ぜんめつ)」には細かく分け、以下の三つの意味があります。
- 全てが滅びてしまうことや、残らず滅ぶこと
- 全てが悪い結果に終わること
- 全てが駄目になること
それぞれニュアンスは違っていますが、どの意味も「玉砕」と似ていますね。たとえば「守備隊が玉砕した」は、残らず滅びたという意味で、「守備隊が全滅した」と言い換えられます。
また特定の女性に何人もの男性が告白し、皆がフラれたという意味で、「全員が玉砕した」は「全滅した」と言い換えられます。
「玉砕」の対義語
「玉砕」の対義語としては、「瓦全(がぜん)」が挙げられます。「瓦全」とは、何事もしないで生き長らえていることを表します。
この言葉には、瓦のようにつまらないモノが残るという意味が込められています。つまらないモノなので、「玉砕」における名誉や忠誠、立派なモノとは正反対ですね。