「ランドマーク」とは?
「ランドマーク」の意味
「ランドマーク」とは、「(方向感覚の)地上における目印」あるいは「その地域の目印や象徴になるような建造物」を意味する言葉です。
都市の景観や田園風景において、歴史的、または文化的に価値のある城や寺院などの建造物、モニュメントや町並みなどがこれに相当します。
都市や国家など広い地域を象徴する、ニューヨークの自由の女神、パリのエッフェル塔などもランドマークですし、もっと小さな地域や町を象徴する樹木や山、寺社や給水塔などもランドマークです。
「ランドマーク」の使い方
- エッフェル塔はパリ市だけでなくフランスのランドマークとしても有名だ。
- 有名ではない小さな神社だが、村のランドマークとして親しまれている。
「ランドマーク」の由来
現在では地理学的な意味で使われていますが、元来、「ランドマーク(landmark)」は探検家が使っていた言葉でした。
探検家が広大な土地を進む上で目印にしていたもの、あるいは、ある地点に戻るための目印のことを「ランドマーク」と言っていたのです。
都市計画と「ランドマーク」
アメリカの建築家・都市計画学者のケビン・リンチは、自著『都市のイメージ(The Image of the City)』の中で、都市のイメージを構成する5つの要素、「ランドマーク」、「パス(街路)」、「エッジ(縁)」、「ディストリクト(地区)」、「ノード(結節点)」が都市環境を評価するために重要だと述べています。
日本では、2004年6月に制定された「景観法」において、ランドマークになりうる景観重要建造物の保全規定が設けられました。
「景観法」とは、景観を国民共通の資産とみなし、良好な景観を作ったり保全したりするために、国や自治体や住民の責務や規制を定めたもので、従来の景観条例では実現しにくかった法的強制力を持っています。
観光と「ランドマーク」
ランドマークはその地域を象徴するものだけに、観光スポットとしても人気を集めています。
世界最大の旅行サイト「TripAdvisor(トリップアドバイザー)に寄せられた旅行者の口コミを元した「世界の人気観光スポット2018 ランドマーク編」において、日本のランドマークベスト3は「伏見稲荷大社」、「金閣寺」、「原爆ドーム」でした。
また、世界のランドマークのベスト3は、カンボジアの「アンコールワット」、スペインのセビリア市にある「スペイン広場」、アラブ首長国連邦アブダビにある「シェイク・ザイード・グランドモスク」がランクインしています。
その国の文化や歴史、宗教観、現状を感じられるだけでなく、周りの風景と相俟った美しさなどが印象的な場所が選ばれています。
医療分野の「ランドマーク」
「ランドマーク法」
医療分野で使われる「ランドマーク」のひとつに「ランドマーク法」という言葉があります。中心静脈穿刺(CVC)などを行う際に使われる手技の一つで、骨や筋肉を解剖学的な目印として、血管の走り方や臓器の位置を想像しながら穿刺する方法です。
これに対して、エコーで血管の位置を直視しながら穿刺する「エコーガイド下穿刺法」があります。
「ランドマーク試験」
製薬業界などで使われる言葉、「ランドマーク試験」とは、薬剤の臨床的価値を測るための大規模臨床試験のことです。
治療目的のゴールを「真のエンドポイント(true endpoint)」に設定して、数千人規模の臨床試験を行い、長期間の追跡調査を行います。
近年、エビデンスを重視する傾向が強まったため、信頼性の高いデータを集めることができるランドマーク試験が多く行われています。
「ランドマーク」まとめ
「ランドマーク」というと国を象徴するようなものばかりが注目されがちですが、最初にご説明した通り、小さな地域や集落における「ランドマーク」もあります。
例えば、ゲームアプリの『Ingress(イングレス)』や『ポケモンGo』でいうところの「ポータル(拠点)」や「ポケストップ」になっているような物といえばイメージしやすいでしょうか。
お住まいの地域や生まれ育った街を、ランドマークを探しながら歩いてみるのも新たな発見がありそうですね。とはいえ、手元の地図やスマホ、上の方に気を取られすぎないように注意しましょう。