「模様」とは?
「模様」の意味
「模様(もよう)」には次のような意味があります。日常的に使われるのは1〜3の意味で、5、6の意味は現在ではほとんど使用しません。
- 織物や染物などに装飾として施す絵や形。または、ものの表面にみられる図柄。文あや。文様。
- ありさま。状態。様子。
- (物事の動向を推測する場合に使う)〜らしい様子。
- 囲碁で、勢力圏をいう語。
- てほん。模範。
- しぐさ。身振り。
「模様」の使い方
- 市松模様は日本の伝統的な模様だ。
- 祖父は当時の模様を話してくれた。
- 悪天候で電車が遅れる模様だ。
「模様」の由来
「模様」の語源は、漢語の「模様」で、「図形」や「様子」を意味する言葉です。「雨模様」「雪になる模様」のように、「物事の動向を推測する」という使い方は、日本独自の使い方です。この「雨模様」については、後ほど詳しくご説明します。
「模様」と類語
- 「様子」:外から見てわかる物事のありさま。兆候。仔細。わけ。
- 「状態」:人や物事の、ある時点のありさま。
- 「状況」:移り変わる物事の、その時々のありさま。
「模様」=「ありさま」、「〜らしい。」と同じように使われる言葉には、上記のものがあります。しかし、場合によって置き換えられたり置き換えられなかったりしますので、例をあげてご説明します。
例1:「この電車は出発が遅れる模様だ」
- 例文:この電車は出発が遅れる模様だ。
- 英訳:"This train seems to be departed."
- 置き換え可能:「様子」
ここでは「模様」=「〜らしい、兆候がある」という意味なので、「様子」で言い換えることはできますが、「状態」、「状況」と置き換えることはできません。
例2:「この街の模様もだいぶ変わった」
- 例文:この街の模様もだいぶ変わった。
- 英訳:"The situation of this town has changed a lot."
- 置き換え可能:「様子」、「状態」、「状況」
ここでは、「模様」=「ありさま」なので、「様子」が最適です。「状態」や「状況」だと、この文の前後に、特定の観測対象(治安状態、経済状況など)が示されているニュアンスです。
例3:「目撃者は事故現場の模様を伝えた。」
- 例文:目撃者は事故現場の模様を伝えた。
- 英訳:"The witness told the situation of the accident site."
- 置き換え可能:「様子」、「状況」
ここでは「模様」=「ありさま」です。「状態」は対象とする人や物をピンポイントで対象とするのでここでは使いません。
間違えやすい「雨模様」
「雨模様」の時、雨は降っているか?
「外は雨模様だ」という時、外の天気はどのような状態でしょうか?
- 雨が降り出しそうな状態
- 小雨が降ったり止んだりしている状態
正解は1です。「雨模様」は、誤用が多い言葉で、平成22年の文化庁による「国語に関する世論調査」でも、正解率は4割台に止まりました。誤用が浸透しているため、一部の辞書では2の意味も記載されています。
「雨模様」と「雨催い」
「雨模様」と「雨催い」の関係については、次の2つの説がありますが、文化庁のサイトには2が記載されています。
- 「雨模様」が「雨催い」を取り込んだという説
- 「雨模様」の元々の形は「雨催い」だという説
「雨催い(あめもよい)」の「催い(もよい)」は「催す」、「兆しが見える」という意味です。「眠気を催す」と言う時、まだ眠っていない状態を指しますから、「雨催い」も「まだ雨が降っていない」=「これから降り出しそうな状態」を指しているのです。
「模様」には、最初にご説明した通り「文様や図柄」、「状態や様子」という現在の状態を表すことがあるので、包括されたにせよ変化したにせよ、「催い」の意味は「模様」に隠れてしまったと考えられます。
「雨模様」の読み方
「雨模様」の読み方は「あまもよう」と「あめもよう」の二種類が採用されていますが、本来の読み方は「あまもよう」でした。
「雨」が他の言葉と結合した場合、「雨粒 (あまつぶ) 」「雨脚 (あまあし) 」「雨傘 (あまがさ) 」のように、原則的に読み方は「あめ」→「あま」と変化します。
しかし、最近では「雨模様(あめもよう)」「雨粒(あめつぶ)」 など、音を変化させないまま「あめ」と読むことも許されるようになりました。