調和とは
調和の意味
言葉の意味は使う人や文脈によって変わるのですが、辞書的にはおおむね次のような意味です。
- ばらばらに感じず、まとまっている。
- 矛盾や衝突がなく、仲良くしている。
- 偏りがなく、釣り合っている。
- 個性の主張が強すぎず、足並みそろっている。
調和という漢字
「調」には仲良くなる、ととのえる、なつくことを表します。「和」はやわらぐ、なごむという意味です。対立のない平和で友好的な印象の言葉ですね。
調和の使い方
さて、「調和」がどう使われているか見ていきましょう。「調和」がよくみられるのは人間関係、デザイン、数学、料理、音楽あたりでしょうか。どの用法であっても複数の物が一つにまとまっている、バランスが取れているという意味は変わりません。
人間関係での使い方
人間関係が「調和」しているとはどんな状況でしょう。ケンカや争いのない、とても友好的な関係でしょうね。仲の良い関係は「友好」「円満」「親密」などいろいろな言葉で表せます。では、「調和」は他の言葉と何が違うのでしょう?
「調和」が類義語と区別されて使われるのは、集団全体を一つのかたまりとして捉えているところです。「調和」の意味は釣り合いやバランスの良さでした。他の「友好」や「親密」は誰かと誰かとの関係ですが、「調和」だけは別ですよね。
デザインでの使い方
「調和」はデザインや芸術分野ではわりと頻繁に使われます。「よく調和した配色」や「調和のとれた音楽」、「帽子と調和したコート」など。ひとつひとつはばらばらだけれど全体として釣り合っている、組み合わせが良くて似合っているという意味ですね。
数学での調和
次に数学。数学や物理でも結構「調和」は出てきます。調和関数や調和音、調和線束など。ここでは比較的わかりやすい調和級数という数列をとりあげましょう。
「調和級数」は専門的には「各項の逆数を並べると等差数列になる数列」を指します。具体例は「1、0.5、0.25、0.125…」などです。見てわかるようにどんどん半分になっていきます。傾向がはっきりしていて、1つのチームに見えますね。これが「1000、-0.23、-17、√22+6i…」だとばらばらに見えて大変おさまりが悪い。
ここでの「調和」は、ばらばらにならずまとまっているという意味ですね。
調和の例文
- 経理課は社員同士の調和が取れているし、いつも静かでいい。
- この噴水は周囲のオブジェや街路樹と釣り合いが取れている。公園全体の調和が見事だ。
- 文芸部は変人の集まりとよく言われる。確かに調和は取れていないが、意見の衝突から斬新なアイデアが生まれてくるからこれでいい。
調和の英語表現
「調和」は英語で「harmony(ハーモニー)」です。音や色はもちろん、行動や関係などにも使えます。語源はギリシア語の「harmonia」で音楽的な一致を意味するといわれています。
「harmony」は「in harmony with~(~と調和して)」や「in out of harmony(調和していない)」などの形でよく使われます。
人間関係での使い方
「harmony」は平和な関係、完全な同意を表します。社会との調和や家庭内の平和、同僚や友人として仲良くするなどに使われるようです。それぞれ「harmony with society」や「the family is in harmony.」、「in harmony with each other」のようになります。
音楽での使い方
もちろん音楽分野でも使われます。「to sing in perfect harmony」なら完璧なハーモニーで歌うことです。「different harmony」で異なった和音です。
調和の象徴
「調和」の象徴とされるものを集めてみました。
- 六角形…バランスが良く安定しているので、調和の象徴とされることがあります。
- 六芒星…向きが互いに違う三角形を重ねた図。相反するものの統合や調和を意味します。
- 太極図…白黒の勾玉を組み合わせた図。対になるものの調和といわれています。
予定調和とは
予定調和の説明は以下のページです。興味がある方はどうぞ。