「邪推」の読み方
まず「邪推」は、「じゃすい」と読みます。「邪」の字は「よこしま」と読まれることも多いですが、実は「よこしま」は表外読みです。「推」の字は訓読みで、「お(す)」と読みます。
「邪推」の意味
「邪推」とは、他人の発言や行為に対して、間違った推測をすることや、僻んで悪い方に推測することを表します。推測とは、推しはかって考えることです。もう少し噛み砕いて言えば、何かを元に見当をつけるというような意味です。
そしてこの言葉は悪い方への推測なので、少なからず疑うようなニュアンスを含んでいます。ちなみに「邪」の字は、正しくないや、心が曲がっているなどの意味を持っています。一方で「推」は、何かを元にして考えるなどの意味を持つ字です。
「邪推」の使い方
この言葉は「邪推する」などのように、サ行変格活用されることが多めです。たとえば友人が誤って、コーヒーカップを落としたとします。わざとではありません。
しかしそれを見て「彼は私のカップが気に入らず、わざと落としたのでは? 」というような悪い方に推測をすることを、「友人の行動を邪推する」と表します。被害妄想のような感じですね。
一方で自分と恋人の仲について、何も知らない友人から「どうせ喧嘩ばかりなんだろう。キミたちは不釣り合いだし、そうに違いない」というような、ひどいことを言われたとします。
この場合は友人が僻んで、悪い方に推測していますね。こういったことを、「友人から恋人との仲を邪推される」と表します。こちらは被害妄想とは違っていますが、どちらの例も疑ったり、疑われたりするようなニュアンスを含んでいますね。
他には「邪推」をそのまま用いて、「それは邪推だよ」や、「邪推はやめてください」などのような使い方もあります。こちらは名詞として「邪推」が使われています。
「邪推」の例文
- 私としては何気ない行動だったのだが、妻に邪推されているようだ
- Aさんは私とBさんの関係性を、邪推している
- 部下の発言を邪推する
- あれほど変な態度を取られると、邪推せざるを得ない
- 友人の邪推に辟易する
「邪推」の類語
「下衆の勘繰り」とは?
「下衆の勘繰り」は「げすのかんぐり」と読み、品性の卑しい人は僻みっぽく、邪推しがちということを表します。またこの言葉は「下種の勘繰り」や「下司の勘繰り」とも書かれますが、意味は同じです。
使い方としては邪推されたとき、「下衆の勘繰りはやめてくれ」というように用いられます。これは「品性が卑しいですよ」というニュアンスを含んでいて、少なからず相手を咎めたり、非難するような言い方ですね。
「ゲスパー」とは?
ネット上で邪推、下衆の勘繰りをする人物のことを、「ゲスパー」と表したりします。この言葉は「下衆」と「エスパー」を組み合わせた造語で、いわゆるネットスラングです。ここでの「エスパー」とは、相手の考えを推しはかることを、超能力に例えて用いています。
たとえば極端な例ですが、「おはよう」という書き込みがあり、「この挨拶には裏があるのでは?眠れない人への嫌味か?」と返信がついたとします。
そういう邪推するような人を指して、「ゲスパーwww」と使ったりします。この場合は少々の呆れというか、小馬鹿にするようなニュアンスが含まれています。
「邪推」の類義語
「邪推」の類義語には、「懸念」や「憶測」などがあります。
「懸念」について
「懸念」は「けねん」と読み、いくつかの意味を持っていますが、中でも気がかりなことや心配という点は、「邪推」に通じるところがあります。
たとえば恋人の浮気を疑う意味での「彼女と友人の仲を邪推する」は、心配なことを強調して、「彼女と友人の仲を懸念する」と言い換えられますね。
「憶測」について
「憶測」はいい加減な推測をすることを表します。「邪推」の意味にある、間違った推測という部分と似ていますね。この言葉は「憶測で発言する」や、「ただの憶測だろう」などのように使われます。