「下衆」とは?
げす、と読みます。「下司」「下種」と書かれることもあります。
意味は、次の通りです。
- 品性が下劣で卑しいこと、人、そのようす。
- 身分の低い人。下賤な人。
- 使用人。
「下衆」は、もともとは身分の高い人を表す「上衆(じょうず)」の対語として、卑しい身分の人を表すために使われた言葉です。そこから、身分が低いことだけでなく、心が卑しい人のことも表すようになりました。現代では、主に1.の意味で使われています。
古文と下衆
古文の中でも、「下衆」は使われています。
「下衆」を使ったことわざ
下衆の後知恵
げすのあとぢえ、と読みます。愚かな人は必要な時には必要な知恵が浮かばないで、後から良い知恵が浮かぶ、という意味です。
類義語に、「下衆の後思案(げすのあとじあん)」、「下衆の知恵は後から(げすのちえはあとから)」があります。
下衆の勘繰り
げすのかんぐり、と読みます。心の卑しい人はひがみっぽくて、他人の心を悪く推し量る、という意味です。勘繰りは、邪推して悪いほうに受け取ることです。
下衆の逆恨み
げすのさかうらみ、と読みます。心の貧しい人は、親切心から忠告してくれた人に対して感謝することなく、むしろ悪く言われたと思って相手を逆恨みする、という意味です。
下衆は槌で使え
げすはつちでつかえ、と読みます。愚かな人は、言葉で説明して何かをさせようとしても理解しないので、叱りつけてさせなければならない、という意味です。槌とは物をたたく工具で、木槌、金槌などがあります。
下衆の謗り食い
げすのそしりぐい、と読みます。品性が下劣な人は、まずいだの、少ないだのとけなしながらもよく食べる、という意味です。
流行語と下衆
流行語にも「下衆」が使われています。
ゲスい
若者言葉の一つです。「下衆」という名詞に、形容詞化する接尾辞「い」をつけて形容詞化した言葉です。(例:赤→赤い、丸→丸い。)
ゲスいやつ、ゲスい話、などのように、品がない、くらいの軽い意味合いで使われることが多く、お笑い芸人もよく使う言葉です。
ゲスパー
「ゲス」と「エスパー」を組み合わせて作られたネットスラングです。「下衆の勘繰り」そのものや、「下衆の勘繰り」をする人を指します。
「街頭で募金をしたら、何か裏があるんじゃないの?ってゲスパーされて困ったよ。」のように使います。
ゲス不倫
2016年1月、バンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル川谷絵音さんと、タレントのベッキーさんとの不倫が、『週刊文春』で報じられました。この報道ののち、ベッキーさんの出演していたコマーシャルは次々に放送が中止され、最終的にはベッキーさんは芸能活動を休止することとなりました。
このとき、バンド名の「ゲスの極み乙女。」と「不倫」という言葉を組み合わせて、「ゲス不倫」という言葉が使われるようになりました。
2016年はこのほかにも、父親の育児休暇の必要性を訴えていた男性国会議員が同じく国会議員の妻の妊娠中に不倫をしていることが報じられたり、同年夏の参院選に出馬予定とみられていた男性作家が5人の女性と不倫していたことが報じられて活動を自粛するなど、多くの著名人の「ゲスい」不倫が話題にのぼりました。
このため、「ゲス不倫」という言葉もよく使われ、この年の「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップ10に選ばれています。
「ゲスの極み乙女。」とは?
「ゲス不倫」の説明に出てきた「ゲスの極み乙女。」は、日本のロックバンドです。メンバーは、ボーカル・ギターの川谷絵音さん、ベースの休日課長さん、キーボードのちゃんMARIさん、ドラムスのほな・いこかさんの4人です。
公式の略称は「ゲス乙女」ですが、「ゲス極み」「ゲス」と略されることもあります。このバンドは、2015年の第66回紅白歌合戦に出場しています。