「定石」とは?意味や使い方を囲碁の関連語と併せてご紹介

みなさんは「定石」の読み方や意味をご存知ですか?これで「じょうせき」と読みます。ゲームやビジネスシーンなどではよく使われる言葉ですが、もともとは囲碁用語です。今回はこの「定石」の意味や使い方、そして囲碁用語に由来する言葉をご紹介します。

目次

  1. 「定石」の由来と意味
  2. 「定石」の使い方
  3. 「定石」の英訳
  4. 日常で使われる囲碁用語

「定石」の由来と意味

「定石」の由来と意味

「定石(じょうせき)」は、囲碁用語で「昔からの研究の積み重ねにより、最良とされる決まった石の打ち方」を指していましたが、転じて、「物事を行う際に最上とされる方法や手順」という意味です

また、将棋やチェスにおいては「定跡(じょうせき)」と書き、同様に、「最良とされる決まった指し方」を表す言葉です。

「定石」と「定跡」

上でご説明した通り、囲碁用語としては「定石」と書き、オセロでも同様です。一方、将棋やチェス用語では「定跡」と書きます。この違いは次のように考えられます。
 

  • 「定石」:囲碁やオセロでは、取り除いたり裏返す以外は、一度置いた石は移動させない→最良と定めた位置に石を置く
  • 「定跡」:将棋やチェスでは駒を移動させる→最良と定められた軌跡通りに駒を動かす

日常的な言葉として「じょうせき」を使用する場合は、一般的に「定石」と書きますが、どちらも使用することができます。

「定石」の類義語

「定石」の類義語には、「お決まり」「仕来たり」「お定まり」「常例」「定例」などがあります。

「定石」の使い方

「定石」という言葉は、「定石通り」あるいは「定石を踏む」という慣用句として使われることも多いです。
 

  • 彼は定石通りの作戦しかとらない。
  • 定石を踏んだ捜査を行った。
  • 時に定石にこだわらない戦略も必要だ。

「定石」の英訳

  • standard tactics:定石、基本戦略
  • the standard moves in the game of go[shogi]:囲碁の定石、将棋の定石(※囲碁=go、またはigo、またはthe game of go)
 
  • play by the book:定石どおりに打つ[指す]
  • go [do] by the book:物事を定石どおりにやる

日常で使われる囲碁用語

「一目置く」

「一目置く(いちもくおく)」とは、囲碁では「弱い方が勝負開始前に石をひとつ置く」ことから転じて、「自分より優れていることを認めて敬意を払うこと」「一歩譲る」ことを指します。

「一目置く」とは?意味や使い方をご紹介

「結局」

「結局」は、囲碁で「一局打ち終えること、終局」を指す言葉が転じて、「挙げ句の果てに」「つまるところ」を指す言葉になりました。

囲碁や将棋において、「局」は使用する「盤」を指す言葉で、試合は1局、2局と数えます。一局の流れの中で、終わりの方のことを囲碁では「ヨセ」と言いますが、平安時代には「けち(結)」と呼ばれていました。「局のけち」=「結局」と言葉が変遷したと言われています。

「序盤」と「終盤」

囲碁において、「序盤(じょばん)」、「終盤(しゅうばん)」はそれぞれ、「対局開始後の布石(※後述)を打っている段階」、「最終のまとめの段階」を指す言葉です。

これが転じて「物事のはじめの段階」、「物事が終わりに近づく段階」を指すのに使われる言葉となりました。

「素人」と「玄人」

「素人(しろうと/しらびと/しろと)」と「玄人(くろうと/くろと)」は対義語で、それぞれ次のような意味があります。
 

  • 「素人」:「その分野での経験が浅く、未熟な人」、「必要な技能や知識がない人。それを専門としていない人」
  • 「玄人」:「一つの物事に熟達した人」、「専門家」、「本職」

現在の囲碁では、力量が上の人が白石、下の人が黒石を使って対局しますが、囲碁が渡来した当時は逆で、強い人が黒石、弱い人が白石を使っていました。「黒の人」=「くろうと(玄人)」、「白の人」=「しろうと(素人)」と言葉が変化したと言われています。

「先手」と「後手」

囲碁において「先手(せんて)」、「後手(ごて)」とは、「打つ順番」のことであり、また、「相手より先に攻撃に着手する」、「相手に先を越されて好所を取られる」ことを指す言葉です。

これが転じて、「先手」は「先に攻撃をしかけること」、「起こりそうな事態に備えておくこと」を指し「後手」は「他に先を越されること」、「相手に先攻されて受け身になること」を指すようになりました。

また、「先手」、「後手」は次のような慣用句として使われることが多いです。

  • 「先手」:「先手を取る」、「先手を打つ」
  • 「後手」:「後手番後手に回る」、「後手に立たされる」、「後手を引く」

「布石」

「布石(ふせき)」とは、囲碁における「序盤戦での要所要所への石の配置」のことですが、転じて「将来のために配置しておく備え」という意味の言葉です「布石を打つ」という慣用句で使われることもあります。

「布石」とは?意味や使い方をご紹介

手抜き

「手抜き」とは、「するべき手続きや手数を省くこと」というネガティブな意味の言葉です。しかし、語源となった囲碁用語では、「相手のここに打って来いという攻撃に応じず、そこに打たないこと」を指します。

囲碁においては、「手抜き」するのは、大事な場所だと分からない初心者か、広い視野で一番大事な場所を見極められる強者かの、どちらかなのです。

「駄目」

「駄目(だめ)」とは、「よくない状態、用をなさない状態にあること」、「効果がないこと」、「不可能」、「してはいけないこと」という意味です

語源となった囲碁用語では、「そこに打ってもどちらの陣地にも影響しない無駄な目(黒の陣地と白の陣地の境にある目)」を指す言葉です。「なんの意味もない無駄な一手」と言う意味ですが、指導を受ける場合に「そこは駄目だよ」などと言われることから、徐々にタブーの色合いが濃くなったと考えられます。

八百長

「八百長(やおちょう)」とは、「勝負で、真剣に争っているように振る舞いながら、予め示し合わせた通りに勝負をつけること」、「慣れ合い」という意味です

語源となったのは囲碁にまつわる話で、囲碁に強い明治時代の八百屋の長兵衛さん(通称:八百長)が、お客の機嫌をとるために時々わざと勝負に負けていましたが、ある日、本因坊・秀元という名人と互角の勝負をしたことで、長兵衛さんは本当は囲碁が強いと皆にばれてしまった、というエピソードです。

エピソード自体が実話か否かは定かではありませんが、このエピソードが「八百長」の語源となったことは本当です。


人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ