「布石」とは?意味や使い方をご紹介

「布石」という言葉をご存知でしょうか。「布石を打つ」という形でたまに見聞きしますが、どうして「打つ」なのか、疑問を持っている方もいらっしゃるかと思います。ここではそんな「布石」の意味や使い方を、「打つ」と表現される理由も含め、順に紹介していきます。

目次

  1. 「布石」の読み方
  2. 「布石」の意味や使い方
  3. 「布石」に関連する言葉

「布石」の読み方

「布石」には、二つの読み方があります。一つ目は音読みの「ふせき」、二つ目は訓読みの「ぬのいし」です。ただし二つ目は建築などに関わる読み方なので、一般的には「ふせき」と読むことが多いでしょう。

「布石」の意味や使い方

上述を踏まえて、ここからは「布石」を「ふせき」と読みます。「布石」には二つの意味があり、この言葉は元々、囲碁の用語です。

囲碁の用語としての「布石」

囲碁の用語としての「布石」は、序盤の時点で全面的な構想に立ち、碁石を配置することです。噛み砕いて言えば、「後々に備えて、大事なところに碁石を置いておく」というようなことです。

たとえばオセロでは、角を取れば有利と言われていますね。なので後々を見据え、角を狙ったりします。「布石」は囲碁において、そういう風な作戦を前提にした打ち方です。

一見すると「どうしてここに?」と思うような序盤の一手が、終盤になって活用されたとき、「あの一手は布石だったのか」と使われたりします。とりわけ囲碁の勝負を解説する番組などでは、見聞きしやすいかもしれません。

比喩的な「布石」

囲碁の用語から転じた二つ目の意味は、将来のために配置しておく備えや、整えておく手はずのことです。囲碁においての「布石」を、比喩的に用いています。

そしてこの言葉は「布石を打つ」というように多く使われますが、これに関しても元々が碁石の打ち方を指すので、「打つ」と表現されるわけですね。他には「置く」などと組み合わせても使われます。以下は例文です。

  • 「この資格の取得は、将来への布石だ」
  • 「何気ない行動だと見過ごしていたが、あれは彼の布石だった」
  • 「会社の独立に向けて、布石を打つ」
  • 「グループの結成に向けて、布石は打っておいた」
  • 「トラブルを予想し、布石を置いておく」

「布石」に関連する言葉

「布石」に関連する言葉としては、「伏線」、「示唆」、「対策」などが挙げられます。

「伏線」について

「伏線」は「ふくせん」と読み、この言葉には細かく分けて、二つの意味があります。一つ目は小説や漫画などで、後々の展開に必要なことを、事前に呈示しておくことです。

作中でいきなり衝撃の事実が明かされるよりも、事前にそれを仄めかしておいた方が、読者は受け入れやすいでしょう。特に推理小説などでは、犯人が怪しい行動を取っていて、その「伏線」が真実に繋がる、といったパターンをよく見かけます。そうして伏線を用いることを、「伏線を張る」と表現します。

二つ目の意味は、何かの準備として、前もって密かに設けておくことです。似ていますがこちらは一つ目の意味と違って、呈示されるとは限りません。「誰にも言わない準備」のようなニュアンスです。表現にしても「伏線を敷く」という風に使われ、若干の違いがあります。

「示唆」について

「示唆」は「しさ」と読み、それとなく物事を示して、何かを教えることです。この言葉は「じさ」とも読みますが、意味は同じです。

たとえば「彼の発言はこの事件を示唆していた」と使えば、「彼の発言はこの事件を示していた、匂わせていた」というようなニュアンスが伝わります。

他には「布石」や「伏線」と合わせて、「布石を打ったことを示唆する」や、「伏線を張っていることを示唆する」というような使い方もあります。

「対策」について

「対策」は「たいさく」と読み、その状況に対応するための手段を表します。また漢文に関わる意味も持っていますが、「布石」の関連語から逸れてしまうので、そちらの説明は省きます。

この言葉は「対策を立てる」や「対策を講じる」というように表現され、場合によっては「布石を打つ」の言い換えとして使われたりします。「策を用意する」ようなニュアンスです。

一方で「対策」は事前だけではなく、事後にも使われます。たとえば何かの事件が起きた後で、「対策」を取ったりしますね。そういった部分が「布石」との違いです。


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