「一目置く」の意味とは?
「一目置く」は「いちもくおく」と読みます。「自分より能力がある人を認め、敬意を示す」ことを表す慣用句です。
この表現の由来は囲碁の対局にあります。もともと「一目」とは、碁盤の目や碁石の一つ分を指していました。対局の際、力の劣る側がハンディキャップ(あらかじめ一目分の碁石を置く)を付けてもらい、先攻で戦うことから、「一目置く」という言いまわしが生まれました。
「一目置く」の使い方と例文
「一目置く」は、ある人物の能力が認められ、尊敬や賞賛を受けているさまを表す際に用いられます。
- 彼女の仕事ぶりに、多くの職員が一目置いている。
- 隣のクラスのAさんは眉目秀麗で、皆が一目置く存在です。
- 彼の性格は嫌いだが、ピアノの腕前については一目置かざるをえない。
「一目置く」のNG例
ケースバイケースですが、いくら尊敬の対象でも、恩師や師匠、上司など、目上の方に向かって「一目置く」を使うと失礼になる場合もあります。
なぜなら、先生や上司は優れていて当たり前だからで、そのような人物に対して「一目置く」というのは、「認めてやっている」といったニュアンスを生みかねないからです。
- ぼくのピアノの先生は教え方が上手なので一目置いています。
- 部下一同、上司に一目置いているのは、家庭と仕事を両立させているからです。
「一目置く」の類語
「一目置く」と同様、対象者を認め、敬う表現がほかにもありますのでご紹介します。
「一目も二目も置く」
「一目も二目も置く(いちもくもにもくもおく)」は、「一目置く」を強調した表現。「二目も」と付けることで、相手の能力の高さと、それに対する敬意がより強められています。
- メジャーリーガーのO選手は、世界中が一目も二目も置くほどのスターです。
- ノーベル賞の受賞者は、その道で一目も二目も置かれるほどの権威だ。
「敬意を払う」「敬意を表する」
「敬意を払う」「敬意を表する」は、相手への尊敬の気持ちを言葉や態度・行動で示すことです。「一目置く」と違って、こちらの場合は能力に限らず、身分や立場が上の人物全般に対しても用いられます。
- お客様には敬意を払うようにするべきです。
- ゲストの方に敬意を表して拍手でお迎えしましょう。
「一目置く」以外の囲碁から由来する言葉
駄目
誰もが知る「駄目」という言葉も、じつは囲碁と関わりがあります。終局後、双方どちらの陣地にも属さず、勝敗に関係がない無駄な石のことを「駄目」といいます。
ここから転じて、状況が良くないこと、やろうとした物事ができないこと、効果がないことを「駄目」というようになりました。
傍目八目(岡目八目)
「傍目八目(おかめはちもく)」は「岡目八目」とも書き、当事者よりも第三者のほうが、物事の状況がよくわかり、適格な判断ができるという意味を持つ慣用句です。
囲碁の対戦者同士より、脇で冷静に見物している人のほうが、戦局がよく見えることからこの表現が生まれました。「八目」とは、八手先まで見渡せるという意味です。
- 端で見ているから傍目八目で理解しやすいけど、実際に挑戦したら手探りで時間がかかると思うよ。