「窮鼠」とは?意味や使い方をご紹介

「窮鼠(きゅうそ)」とは、追い詰められた鼠という意味の言葉です。「窮鼠猫を噛む」ということわざで使われているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんな「窮鼠」の意味や使い方を例文を交えて詳しくご紹介しています。

目次

  1. 「窮鼠」の意味
  2. 「窮鼠猫を噛む」
  3. 「窮鼠」に噛まれると?
  4. 「窮鼠」の使い方
  5. 追い詰められた動物にまつわる言葉
  6. 「窮鼠」のまとめ

「窮鼠」の意味

「窮鼠(きゅうそ)」とは、追い詰められた鼠(ねずみ)という意味の言葉です。

「窮」は「きゅう」「きわめる」「きわまる」と読み、行きづまって身動きが取れないことや、極限まで突き詰めるという意味を持っています。「鼠」とは、哺乳類ネズミ目(齧歯目)のハツカネズミやドブネズミなどの総称で、世界中で1,300種類以上いるとされています。

「窮鼠猫を噛む」

「窮鼠」は、それ単体で使うよりも「窮鼠猫を噛む」ということわざで使われることが多い言葉です。

「窮鼠猫を噛む」の意味

「窮鼠猫を噛む」の意味は、窮地に追い詰められた鼠が猫に噛みつくように、弱い者でも窮地に立たされると強い者に反撃することがあるということのたとえ。

「窮鼠猫を噛む」の由来

「窮鼠猫を噛む」の由来は、中国の『塩鉄論(えんてつろん)』という、紀元前81年に開かれた、塩や鉄の専売制を巡り朝廷と民間との代表で議論をした際の議事録をまとめたものに出てきます。
 

(原文)
死不再生、窮鼠噛狸、匹夫奔万乗、舍人折弓、陳勝呉広是也。

(現代語訳)
死ぬとなれば生き返ることはないので、追い詰められた鼠は猫に噛みつくし、庶民は皇帝から逃げ、臣下は弓を折り戦うことを止めるでしょう。陳勝・呉広の反乱がまさにその例です。

※「陳勝・呉広の乱」とは、中国秦末期におこった史上初の農民による反乱のこと。

前漢時代の戦争の影響で悪化した財政を立て直すため、国が塩・鉄・酒を専売することを決めたことに対し、儒学者や商人たちから不満の声があがりました。

上記は、庶民を追い詰めると反乱がおきたり国や皇帝を顧みなくなるかもしれないですよと、「窮鼠」と「猫」のたとえを出して苦言を呈している一文です。

「窮鼠」に噛まれると?

「窮鼠」が猫を噛むように、追い詰められた鼠は自分よりも大きな動物に襲い掛かることがあります。ヨーロッパでは「象の敵は鼠」という迷信があるほど。もし、私たち人間が鼠に噛まれるとどの様な病気にかかる可能性があるのかまとめてました。

鼠に噛まれてかかる病気の例

  • 鼠咬症(そこうしょう)
  • 破傷風(はしょうふう)
  • 狂犬病

鼠を媒介して感染する病気の例

  • サルモネラ症(食中毒)
  • パラチフス、腸チフス
  • E型肝炎
  • ツツガムシ病
  • 鼠咬症
  • 腎症候性出血熱
  • ペスト
  • レプトスピラ症(ワイル病)
  • ハンタウイルス肺症候群

鼠は不衛生な環境を好む生物なので、人体に悪影響を及ぼす病原菌やウイルスを全身に身にまとっています。また、鼠そのものだけでなく、糞や尿、寄生しているノミやダニにも同様の病原菌を持っている場合があるので要注意です。

鼠に噛まれた傷は小さく、出血も多くありませんが、とても危険な感染症に感染する可能性があるので、鼠に噛まれたら必ず医療機関を受診しましょう。

「窮鼠」の使い方

窮地に立たされた人や状況を「窮鼠」に例えることがあります。また、「窮鼠猫を噛む」は、弱者でも追い詰められると強者に反撃することをたとえたり、弱者を追い詰めすぎてはいけないということの教訓として使われています。

「窮鼠」の例文

  • 警察に取り囲まれた犯人は、まるで「窮鼠」のごとく目一杯の抵抗を試みたが、直ぐに取り押さえられた。
  • 喧嘩で痛い目に合わないために覚えておくべきことは、「窮鼠猫を噛む」といった状況にならないように、どんなに圧倒的有利な状況でも相手に逃げ道を用意しておくことだ。
  • その会社は、リストラした社員が裏帳簿の存在を税務署に密告したせいで倒産したらしい。まさに、「窮鼠猫を噛む」だね。

追い詰められた動物にまつわる言葉

「窮鼠」のように、追い詰められた動物にまつわる言葉をご紹介します。
 

  • 窮猿投林(きゅうえんとうりん)
    意味:困っている状況では、あれこれえり好みする余裕はないということのたとえ。追い詰められた猿は、林に飛び込んでも捕まる枝を選ばないところから。
  • 窮鳥懐に入れば猟師も殺さず
    意味:追い詰められて逃げ場を失った者に助けを求められれば、どんな理由があろうと見殺しにはできないということのたとえ。逃げ場を失った鳥が自分の懐に飛び込んでくれば、猟師ですら殺さない。ましてや、窮地に立たされた人が救いを求めてくれば助けるのが人の道であるというところから。

「窮鼠」のまとめ

「鼠」の天敵と言えば「猫」というのは昔の話で、現代の飼い猫たちは「鼠」をほとんど狩らなくなりました。だからと言って「鼠」の数が減った訳ではなく、「鼠」は私たちの身近に確実に生息しています。

築地市場の推定1万匹の鼠について、移転の際に銀座に大移動するのではないかと話題になったことは記憶に新しいのではないでしょうか。

「窮鼠猫を噛む」の教訓は弱者を追い詰めすぎてはいけないということですが、実際の「鼠」は可能な限り駆除していかないと、いつの日か私たち人間が「窮鼠」のように、「鼠」に追い詰められる日が来るかもしれませんね。


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