冬至とは?
「冬至(とうじ)」とは、太陽が、黄道上のもっとも南にある点の冬至点を通過する時刻のことです。二十四節気(にじゅうしせっき)のひとつで、旧暦では11月中、太陽暦では12月22日ころに当たります。
北半球ではこの日の正午の太陽の高度は最も低く、一年で昼の長さは最も短く、夜の長さは最も長くなっています。南半球ではこの反対になります。また、冬季の真ん中に当たり、このころから寒さが厳しくなります。暦の上では立冬と立春の真ん中です。
昼の長さ(日の出から日の入りまでの長さ)は最も短い日ですが、日の出が最も遅い日と、日の入りが最も早い日は冬至とは別の日です。日本では、日の出が最も遅い日は12月から1月ころ(冬至の後)、日の入りが最も早い日は11月から12月ころ(冬至の前)です。
二十四節気とは?
1年を、立春を起点に季節ごとに24に分けたもので、太陰太陽暦(旧暦)を使用していた時代に、季節を表すために考え出されました。夏至、冬至、立春、立夏、立秋、立冬などがあります。
冬至とゆず湯
日本では、銭湯ができた江戸時代ころから、冬至の日にゆず湯に入る習慣があります。湯舟にゆずを浮かべてそのお湯に入るもので、冬至にゆず湯に入ると風邪をひかずに一年健康に過ごせると言われます。
なお、「柚子湯」は冬の季語にもなっています。
冬至は太陽の力がいちばん弱くなっている日
冬至の日は、昼間が一年でいちばん短い日で、言いかえれば、太陽の力がいちばん弱くなっている日とも考えられます。
そのため、日本や中国では、冬至はその日を境にして太陽の力が復活してくる日、陰の気がきわまって陽の気にかえる一陽来復(いちようらいふく)の日とされます。一陽来復の日を境に運気も上昇すると考えられています。
ゆず湯
ゆず湯に入るのは、運気を呼ぶ前のお清め、厄払いのためのみそぎの意味があるとされます。お湯そのもので身体を清めるとともに、香りの強いゆずで邪気を払う意味もあります。
また、ゆずと融通(ゆうずう)、冬至(とうじ)と湯治(とうじ)の語呂合わせ(融通が利く湯治=ゆずが利く冬至)で、身体が健康ならば融通が利く、冬至にゆず湯に入れば健康に過ごせる、とも言われています。
実際に、ゆずの果皮に含まれるクエン酸やビタミンCには、美肌効果や、体を温めて風邪を予防する効果もあります。ひびやあかぎれを改善したり、冷え性や腰痛、神経痛などにも効果があるとされています。ゆずの香りによるリラックス効果もあります。
ただし、カットしたゆずをガーゼなどでくるまないでそのまま湯舟に入れたり、丸ごとでも切り込みを入れたりすると、皮膚が弱い人や小さな子どもには刺激が強く、肌がピリピリすることもあるようです。
冬至とかぼちゃ
前述のように、冬至はその日を境に運気が上昇する一陽来復の日です。この日に名前に「ん」のつくものを食べて、運をさらに良くしようとする風習があります。これを「冬至の運盛り(うんもり)」と言います。
その中でも、次のように、「ん」が2つついている「冬至の七種(ななくさ)」と呼ばれる食べ物があります。
- 南瓜(なんきん、かぼちゃのこと)
- 蓮根(れんこん)
- 人参(にんじん)
- 銀杏(ぎんなん)
- 金柑(きんかん)
- 寒天(かんてん)
- うんどん(うどんのこと)
このうち、かぼちゃは南方から伝えられた野菜で夏に収穫される野菜でもあるため陽の気を持っていて、一年でいちばん太陽の力が弱い陰の日に食べると良いとされました。
冬至とクリスマス
北半球では冬至を境に日が長くなるため、太陽の力の復活を祝って各地で冬至祭が行われてきました。クリスマスも、ローマ帝国の土着の宗教であり、太陽神ミトラスを主神としたミトラ教の冬至祭と、ゲルマン民族の冬至祭(後述の「ユール」)が、キリスト教と合わさってできたものです。
「ユール」とは
北欧では、ゲルマン民族やヴァイキングによる「ユール」と呼ばれる冬至祭がありました。「ユール」では、「ユールログ」という大きな木の幹を燃やしてその火を囲み、ごちそうを食べたりお酒を飲んだりして祝いました。
現在でも北欧ではクリスマスのことを「ユール」と呼んでいて、「ユールログ」を模した丸太型のケーキ「ブッシュ・ド・ノエル(フランス語で「クリスマスの丸太」という意味)」が食べられています。