「流転」の意味
「流転(るてん・りゅうてん)」は「物事が移り変わっていくこと」を表す言葉です。
また、仏語では「六道・四生の迷いの生死を繰り返すこと」という意味です。
「六道(ろくどう)」とは、「地獄」「餓鬼(がき)」「畜生(ちくしょう)」「修羅(しゅら)」「人間」「天上」のことで、人はこの6つの世界を善悪の業因によって巡ります。
「四生(ししょう)」は、生物を生まれ方によって分類したもので、「胎生(たいしょう)」「卵生」「湿生」「化生(けしょう)」の4つを指します。
さらに、鉄道に関する言葉としては、「ブレーキのかかっていない車両が坂を下ること」を言い、当然のことながら禁止事項とされています。
「流転」の使い方
「流転」の使い方
- 輪廻や変遷というニュアンスで使う場合
- 漂泊や彷徨うというニュアンスで使う場合
「流転」の類語
「流転」の類義語には次のようなものがあります。
- 「移ろい」:移り変わること。または、その変化によって盛りを過ぎること。
- 「流離う(さすらう)」:あてや目的もなく歩き回ること。
- 「彷徨う/さ迷う」:あてもなく、または、迷って歩き回ること。
- 「漂泊」:流れ漂うこと。
- 「変遷」:時間の経過によって移り変わること。または、その移り変わり。
- 「変転」:状態や情勢が変化すること。
- 「輪廻」:命あるものが転生を繰り返して迷いの世界を巡ること。
「流転」を含む言葉や作品
「流転」を含む慣用句
- 「三界流転(さんかいるてん)」
- 「生々流転(しょうじょうるてん・せいせいるてん)」
- 「万物流転(ばんぶつるてん)」
「流転」をタイトルに含む作品
- 『流転の海』
- 『流転の王妃』
- 『流転の王妃―愛新覚羅溥傑・浩 愛の書簡』
「流転」を含む文学の一説
タイトルだけでなく、作中に「流転」という言葉が登場する作品も沢山あります。ここでは、文学作品から2作を取り上げました。
大正十五年四月、解くすべもない惑ひを背負うて、行乞流転の旅に出た。
種田山頭火の句集『草木塔(そうもくとう)』に収められている俳句の前書きです。「行乞(ぎょうこつ)」とは托鉢のこと。この前書きの後に続くのは、山頭火の代表作でもある「分け入つても分け入つても青い山」という一句です。
自由律俳句の俳人、種田山頭火(1882-1940)は43歳で出家得度(しゅっけどくど)。西日本を中心に雲水姿で放浪しながら沢山の句を詠みました。『草木塔』は、同題の2作目の句集『草木塔』を含む6つの句集の集大成で、山頭火が没した年に発行されています。
全国を流離い歩いた山頭火の俳句の前書きには、この句集に限らず、「流転顛動(るてんてんどう)」、「無常流転」などの言葉が登場します。
けれども悪魔といふものは
天や鬼神とおんなじやうに
どんなに力が強くても
やっぱり流転のものだから
やっぱりあんなに
やっぱりあんなに
どんどん風に溶される
宮沢賢治の『春と修羅』第二集に収められている『〔温かく含んだ南の風が〕』という詩の一説です。この詩は、賢治が天の川の流れを表現した作品で、沢山の星や星座に関する言葉が登場しています。
引用した箇所は、南の空の様子を描いたあたりの一説です。
「流転」の意味や使い方まとめ
「流転(るてん・りゅうてん)」は「物事が移り変わっていくこと」を意味する言葉で、「輪廻」「変遷」のように状態が変化することを表したり、「流離う/さ迷う」のように放浪する様を表す時に使用します。
仏語でもあるので、慣用句にも仏教観が濃く表れていました。