「流転」とは?意味や使い方をご紹介

「流れる」「転がる」という文字から、何となく「止まらない」「変化する」という印象を受ける「流転(りゅうてん・るてん)」という言葉。今回はその言葉の意味や使い方、そして「流転」という言葉をに関連する作品まで幅広くご紹介します。

目次

  1. 「流転」の意味
  2. 「流転」の使い方
  3. 「流転」の類語
  4. 「流転」を含む言葉や作品
  5. 「流転」の意味や使い方まとめ

「流転」の意味

「流転(るてん・りゅうてん)」は「物事が移り変わっていくこと」を表す言葉です。

また、仏語では「六道・四生の迷いの生死を繰り返すこと」という意味です。

「六道(ろくどう)」とは、「地獄」「餓鬼(がき)」「畜生(ちくしょう)」「修羅(しゅら)」「人間」「天上」のことで、人はこの6つの世界を善悪の業因によって巡ります。

「四生(ししょう)」は、生物を生まれ方によって分類したもので、「胎生(たいしょう)」「卵生」「湿生」「化生(けしょう)」の4つを指します。

さらに、鉄道に関する言葉としては、「ブレーキのかかっていない車両が坂を下ること」を言い、当然のことながら禁止事項とされています。

「流転」の使い方

「流転」の使い方

  • 輪廻や変遷というニュアンスで使う場合
例:「万物は流転する。」
 
  • 漂泊や彷徨うというニュアンスで使う場合
例:「諸国を流転する。」

「流転」の類語

「流転」の類義語には次のようなものがあります。
 

  • 移ろい」:移り変わること。または、その変化によって盛りを過ぎること。
  • 流離う(さすらう)」:あてや目的もなく歩き回ること。
  • 彷徨う/さ迷う」:あてもなく、または、迷って歩き回ること。
  • 漂泊」:流れ漂うこと。
  • 変遷」:時間の経過によって移り変わること。または、その移り変わり。
  • 変転」:状態や情勢が変化すること。
  • 輪廻」:命あるものが転生を繰り返して迷いの世界を巡ること。

「流転」を含む言葉や作品

「流転」を含む慣用句

  • 「三界流転(さんかいるてん)」
すべての生あるものは、三界に生死を繰り返して迷い続けること。現世で輪廻転生を繰り返すこと。「三界」とは衆生の輪廻における3つの領域、「欲界(よっかい)」「色界(しきかい)」「無色界(むしきかい)」を指しています。
 
  • 「生々流転(しょうじょうるてん・せいせいるてん)」
この世のすべてのものは絶えず生まれて絶えず成長して、変化し続けていくこと。
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  • 「万物流転(ばんぶつるてん)」
あらゆるものは絶えず移り変わること。

「流転」をタイトルに含む作品

  • 『流転の海』
宮本輝の小説。作者のライフワークとなる長編連作で、モデルは作者の父。1990年には森繁久弥主演で映画化されました。
 
  • 『流転の王妃』
愛新覚羅浩(嵯峨浩)の自伝で、1959年に出版され、当時のベストセラーとなりました。
 
  • 『流転の王妃―愛新覚羅溥傑・浩 愛の書簡』
『流転の王妃』の続編で、愛新覚羅浩の娘、福永こ生によって出版されました。

「流転」を含む文学の一説

タイトルだけでなく、作中に「流転」という言葉が登場する作品も沢山あります。ここでは、文学作品から2作を取り上げました。

大正十五年四月、解くすべもない惑ひを背負うて、行乞流転の旅に出た。

種田山頭火の句集『草木塔(そうもくとう)』に収められている俳句の前書きです。「行乞(ぎょうこつ)」とは托鉢のこと。この前書きの後に続くのは、山頭火の代表作でもある「分け入つても分け入つても青い山」という一句です。

自由律俳句の俳人、種田山頭火(1882-1940)は43歳で出家得度(しゅっけどくど)。西日本を中心に雲水姿で放浪しながら沢山の句を詠みました。『草木塔』は、同題の2作目の句集『草木塔』を含む6つの句集の集大成で、山頭火が没した年に発行されています。

全国を流離い歩いた山頭火の俳句の前書きには、この句集に限らず、「流転顛動(るてんてんどう)」、「無常流転」などの言葉が登場します。

けれども悪魔といふものは

天や鬼神とおんなじやうに

どんなに力が強くても

やっぱり流転のものだから

やっぱりあんなに

やっぱりあんなに

どんどん風に溶される

宮沢賢治の『春と修羅』第二集に収められている『〔温かく含んだ南の風が〕』という詩の一説です。この詩は、賢治が天の川の流れを表現した作品で、沢山の星や星座に関する言葉が登場しています。

引用した箇所は、南の空の様子を描いたあたりの一説です。

「流転」の意味や使い方まとめ

「流転(るてん・りゅうてん)」は「物事が移り変わっていくこと」を意味する言葉で、「輪廻」「変遷」のように状態が変化することを表したり、「流離う/さ迷う」のように放浪する様を表す時に使用します。

仏語でもあるので、慣用句にも仏教観が濃く表れていました。

「生々流転」とは?意味や使い方を「諸行無常」との違いを含めてご紹介

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