「おそろしい子」とは?
「おそろしい子!」とは、漫画『ガラスの仮面』の連載初期、登場人物の月影千草が、主人公の北島マヤに対して言ったセリフです。
北島マヤが、たった一度しか見ていない三時間半の舞台「椿姫」の内容を、セリフや演技のポーズまで丸暗記して、月影千草の前で演じてみせます。往年の大女優であった月影千草は、北島マヤの演劇の才能に気づいて、それを「おそろしい子!」と表現します。
ネットでは、顔面蒼白で白目の画像とともに使われることが多い言葉ですが、このセリフを放つ月影千草は、実際の漫画では高笑いをしています。また、表記も漢字の「恐ろしい子」ではなく、ひらがなで「おそろしい子」と書かれています。
『ガラスの仮面』とは?
『ガラスの仮面』は、美内すずえの作品で、1976年から現在まで40年以上にわたって連載が続く演劇漫画です。2014年9月には累計発行部数5000部を超え、単行本も2018年10月現在49巻を数えます。1976年から1997年までは『花とゆめ』、2008年からは『別冊花とゆめ』といういずれも白泉社発行の雑誌に掲載されています。
一見、何のとりえもないように見えるけれど、天性の演技の才能を持つ少女、北島マヤ。彼女は往年の大女優、月影千草に才能を見出され、女優として歩み始めます。かつて月影千草が主役を務めた舞台「紅天女」の主役の座をめぐって、マヤのライバルとなる姫川亜弓や、マヤを愛し、マヤには気づかれないよう陰から支える大都芸能社長、速水真澄などが主な登場人物です。
この作品は、アニメやOVA、テレビドラマ、ラジオドラマにもなりました。また、たびたび舞台化もされています。作中の戯曲「紅天女」は、原作者の美内すずえの監修で2006年に新作能として上演されています。
「恐ろしい子」なぜ白目?
インターネットで検索すると、顔面蒼白で白目の姫川亜弓が「恐ろしい子!」と言っている画像を見つけることができます。が、これは原作に登場する場面ではなく、他人の手でコラージュされたものです。原作中にも姫川亜弓が北島マヤを「おそろしい子」と言う場面はありますが、顔面蒼白でもなければ白目でもありません。
「恐ろしい子」例文
一種の流行語となった「恐ろしい子!」は、日常で以下のような使われ方をします。
・ホールケーキを一人で食べてしまうなんて…。さおり…恐ろしい子!
・3日で夏休みの宿題を全部やってしまうなんて…。恐ろしい子!
「恐ろしい子」パロディ
「恐ろしい子」は、さまざまなアニメや漫画にもパロディとして登場しています。
『妖怪ウォッチ』のアニメ39話では、顔面蒼白に白目の表情で「恐ろしい子」が引用されています。また、アニメ『らき☆すた』や『おそ松さん』でも、同様の表情とともに「恐ろしい子」が使われています。
スタンプ「恐ろしい子」
無料通話アプリのラインのスタンプにも、「恐ろしい子」が使われたものがあります。犬や猿、美川憲一さんなど、いろいろな動物やキャラクターが、やはり顔面蒼白の白目で「恐ろしい子…!」とつぶやいているものが多く見られます。
啓発サイトと「おそろしい子」
昨今、スマホゲームに熱中した子どもがお金を使いすぎる事例が社会問題化しています。ゲーム運営会社ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、2015年、保護者向けの啓発サイトを立ちあげましたが、そこにも『ガラスの仮面』のキャラクターが登場しています。
保護者世代になじみのある『ガラスの仮面』を登用することで、高額決済問題について考えてもらおうという狙いです。この中で、北島マヤと姫川亜弓の画像とともに、次のセリフが語られています。
「えっ…スマホのゲームだけでこの請求金額…!?」
「おそろしい子…!」
また、サイト内で公開された3本の動画『ハマルの御免』の第1話のタイトルは、「おそろしいのは子?」でしたが、残念ながら2018年現在ではほかの動画に変わっているようです。