「パトロン」の意味
「パトロン」は、英語の「patron」のカタカナ語です。「パトロン」は、もともと保護者・後援者を指す言葉であり、以下のような意味で使われます。
- 芸術家・芸人・団体などを経済的に援助する人。
- 特定の異性に対して、金銭的に援助をして生活の面倒をみる人。
- 主人・経営者・雇い主。
「パトロン」の使い方
例文
先述の意味の番号に対応するかたちで、例文をご紹介します。
- ヨーロッパでパトロンとして有名なメディチ家は、芸術の発展に貢献したと言われている。
- 彼女はいつもパトロンになってくれる男性を探している。
- 彼はこの会社のパトロンである。
現代流の「パトロン」の使い方
最近では、「クラウドファンディングで資金援助をする人」「常連客・お得意様」といった意味でも「パトロン」を使うようになっています。
「クラウドファンディング」は、ある事業や活動などに共感した不特定多数の人たちから、インターネットを使って資金を調達する仕組みのことです。「経済的に援助してもらう」という意味で、従来の「パトロン」の意味からもイメージしやすい使い方ですね。
また、「常連客」や「お得意様」も、その店舗や会社で買い物などをすることによって、会社を経済的に支えている大切な存在です。そのため、ビジネスにおいては「常連客」や「お得意様」のことを「パトロン」と呼ぶこともあるようです。
【例文】
- クラウドファンディングで応援したいプロジェクトを見つけて、初めてパトロンになった。
- A様はうちのお店の大切なパトロンです。
「パトロン」の関連語
パトロネージュ
「パトロネージュ」とは、英語の「patronage」のカタカナ語で、援助する行為そのもののことを指す言葉です。「パトロナージュ」「パトロネージ」などとも言われます。
パトロネージュには、生活の面倒をみることや、芸術家の作品を購入したり発表の場や機会を提供することなど、さまざまな方法があります。
メセナ
「メセナ」とは、文化活動や芸術活動を支援し保護するという意味のフランス語です。特に、企業による支援活動のことを指し、「企業メセナ」と呼ばれることもあります。
メセナの手段には、主に2種類あります。ひとつは、コンサートや公演、美術展などのイベントを主催したり、資金を提供して直接支援する方法です。もうひとつは、支援活動のための財団などを設立することで、間接的に支援する方法です。
メセナは、企業の収益の一部を使って行われる社会貢献活動であるため、企業の業績によっては縮小されることもあります。
「パトロン」の歴史
「パトロン」は、昔から「芸術家を援助する人」という意味で使われることの多い言葉です。この意味での「パトロン」の歴史についても少し触れてみましょう。
「パトロン」の登場
芸術の援助自体は、古代ギリシャの頃からあったようですが、一般的には、ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスの顧問であったマエケナスが、自宅や別荘を詩人たちに提供することで援助したことが芸術家の援助の始まりとされています。
「パトロン」と呼ばれる存在が現れたのは、14世紀頃から始まったルネサンスの時代のようです。「パトロン」として、王侯貴族や富裕な商人、教会、行政機構などが芸術家たちの生活や制作活動などを援助しました。
この頃の「パトロン」による援助は、包括的なものが多かったようです。生活から制作活動まで援助し、作品の制作にかかる費用の負担や作品の依頼・購入、作品を発表する場の提供など、金銭面だけでなく援助の方法は多岐にわたりました。
「パトロン」の変化
18世紀頃までは、芸術は一部の階層の人たちだけが楽しむものでした。しかし、19世紀になって社会的平等や経済的平等の意識が広まってくると、市民たちも芸術を楽しむようになり、「パトロン」が担っていた役割を他の人たちが担うようになっていきます。
具体的には、国や自治体、企業や裕福な市民などが、それぞれの立場から芸術家たちを援助するようになりました。特に、ヨーロッパでは国や自治体が、アメリカでは企業が中心となって援助をしていたようです。
その流れは、現在も続いていますが、インターネットの普及などによる社会・文化の変化によって、援助を行う人や団体、援助の方法はさらに多様化していると言えるでしょう。