「生え抜き」とは
「生え抜き(はえぬき)」には、二つの意味があります。
- その土地に生まれてからずっとその土地で成長したこと。または、その人。
- 初めからその会社や団体などに勤務・所属して、現在もその組織に所属していること。
つまり、最初から現在まで一か所の土地や組織などにずっといるということです。「生え抜きの江戸っ子」とか「生え抜きの社員」などと言いますね。
なお、上記の意味とは別に「はえぬき」という米の品種があります。これは山形県農業試験場庄内支場で、1992(平成4)年に開発された品種です。米どころの山形県で生まれ育ったオリジナルの米、まさに生え抜きの米ということでつけられた名前だそうです。
「生え抜き」の使い方
- 球団生え抜きの選手が2000本安打の偉業を達成した。
- わが社には、生え抜きの社員が大勢いるが、経営陣は外部の人が多い。
- 今度の署長は、長年現場で活躍してきた生え抜きの人間だ。
- 次の町長選挙は、役場生え抜きのAさんと、県議出身のBさんとの一騎打ちになりそうだ。
「生え抜き」の類語
「生粋」
「生粋(きっすい)」は、「まじりけが全くないこと。純粋」という意味です。「生粋の江戸っ子」のように、人に使う場合は、出身などがそれ以外の何者でもないことを表します。
【例文】
- 彼は西洋人のような彫りの深い顔立ちをしているが、生粋の日本人だそうだ。
- スタイリッシュでクールな印象の彼女だが、話し言葉は生粋の京都弁で、そのギャップが魅力的だ。
「純粋」
「純粋」とは、「まじりけが全くないこと」という意味において、「生え抜き」の類語と言えるでしょう。「生粋」とほぼ同義ととらえることができますが、「純粋」には「邪念(じゃねん)や私欲がない。けがれがない。一途(いちず)」という意味もあります。
【例文】
- 彼は、面倒見がよくて、お人よしで、情にもろい純粋な博多っ子だった。
- 子犬のころから彼女が飼っている犬は、純粋の秋田犬だそうだ。
「生え抜き」の反対の意味に近い言葉
「外様」
「外様(とざま)」とは、「武家社会で譜代(ふだい:代々同じ主家に仕えている家臣)という主従関係をもたない家臣」「組織などで、直系でなく、傍系。または、その人」のことを言います。
「直系」は、「血筋が親子関係によってつながっている親族。師弟関係などで直接つながっている関係」です。「傍系」は、「直系から分かれた親族の系統。主流から外れた存在」などを意味します。
例えば、代々主従関係にあることを「生え抜き」に近いニュアンスで捉えると、「外様」は、「生え抜き」の反対の意味に近い言葉と言えます。現代に置き換えれば、ビジネスの世界では転職者のことを「外様」と呼んで、「生え抜き」の社員と区別することがあります。
【例文】
- 銀行筋から来た外様の社長がリストラの大鉈(なた)を振るって、経営立て直しに躍起になっている。
- サークル創設時のメンバー以外は外様扱いされていて、何かにつけ一線を引かれているような気がする。
「よそ者」
「よそ者」とは、「その土地で生まれ育ったのではなく、よその土地から移住してきた人」のことです。人を「よそ者」と呼ぶとき、多くの場合、「生え抜き」ではない異質なものとか、仲間ではないという否定的な感情を含んでいます。
【例文】
- 就農支援を受け、地方の農村に移住して10年になるが、まだよそ者扱いする人もいるのが残念だ。
- 派遣社員として大手企業に勤務しているが、正社員の中にはよそ者を歓迎しない人もいる。