「想定」とは?意味や使い方をご紹介

皆さんは、「想定」という言葉の意味をご存じでしょうか。日常的に使われる機会が多い言葉ですが、ニュアンスが近しい語句がいくつかあるため、正しく使うのは意外と難しいかもしれません。この記事では、「想定」の意味や使い方を類語と合わせてご紹介します。

目次

  1. 「想定」の意味
  2. 「想定」の使い方
  3. 「想定」の類語
  4. 「想定」と「予想」の違い

「想定」の意味

「想定」の意味は、「ある一定の状況や条件を仮に思い描くこと」です。ただ漠然と将来を想像するのではなく、事実や資料をもとに、可能性のある未来を設定することを指します。

また、「想定」には可能性のある状況に対して自分なりに対処できるように考えておくというニュアンスも含まれます。つまり、「こうなったらこうしよう」という対処法を含め、未来を設定することが「想定」の根幹です。

「想定」の使い方

「想定」の一般的な使い方は、「〇〇を想定して、××をする(しておく)」です。たとえば、「大地震を想定して、避難訓練をしておく」という言い方ができます。ほかには「想定できる」「想定にない」のように使われることもあります。

「想定」を使った例文

  • 明日は朝から雪が積もるらしいので、交通麻痺を想定し、始発で出勤することに決めた。
  • お盆初日、高速道路が渋滞になることは想定できたが、まさか事故渋滞まで重なるなんてツイていない。
  • ここまでのデートは完璧だったのに、目当てのパンケーキ屋が臨時休業だなんて、想定になかった。

「想定」を使った熟語

  • 想定内」…自分の設定した未来の範疇に留まっている状態(例:このアトラクションは人気なので、2時間待ちは想定内さ)
  • 想定外」…自分の設定した未来の範疇を越えてしまっている状態(例:プレゼンで機械トラブルという想定外のことが起き、パニックになってしまった)
  • 想定問答」…試験などで事前に想定された質問内容と、それに対する回答(例:面接試験のために、時間をかけて想定問答を考えた)

「想定」の類語

「仮説」

「仮説」は、「自然科学その他で、一定の現象を統一的に説明しうるように設けた仮定のこと」を意味します。哲学的で、やや難しく感じられるかもしれませんが、簡略化すると、「物事を考えるときに最も確からしい仮の答えのこと」です。

あくまでも「仮」の答えなので、「仮説を立てる」「仮説を証明する」のように使われ、実験や観察によって立証されたときに定説となります。「こうなる可能性がある」という不確定要素を設定する部分は、「想定」と似ています。

【例文】

  • 火星には生物が存在しているという仮説は、いまだ証明に至っていない。
  • 事件解決のためにいろいろな仮説を立ててみたが、すべて空振りだった。

「推定」

「推定」の意味は、「推測して決定すること。推し量って決めること」です。言い換えると、「真相(真実)はわからないが、状況を鑑みて、ある事象が正しいと決定すること」で、「状況から仮に設定する」意味を含む「想定」とニュアンスが似ています。

たとえば、「推定するに60歳くらい」とは、「実際の年齢はわからないが、孫の年齢(周囲の状況)を加味すれば60歳くらいだろう」という意味です。実際はもっと歳を重ねている可能性もありますが、「推定」の文言を入れることで、定かではないものの、自分なりの結論を示す文章が成り立ちます。

【例文】

  • 今年ディズニーランドを訪れた観光客は推定〇〇万人と言われている。
  • お隣のお子さんを最近見かけないので、家を出て一人暮らしを始めたと推定できる。

「仮想」

「仮想」の意味は、「仮に考えること。仮に想定すること」です。実際にないもの(実物のないもの)を仮にあると考えることに関しては、「想定」の「まだ起きていないことに対して、処理方法を考えておく」という部分と似ています。

「仮想通貨」や「仮想社会」のように、現実には存在しないものを表すときによく使われる言葉です。

なお、英語では(「コンピューターが作る疑似的なもの」という意味を表す場合には)「virtual(バーチャル)」と言います。ITの技術進歩がめまぐるしい現代社会では、「Virtual Reality(VR:仮想現実)」という言葉を耳にする機会が増えましたよね。

【例文】

  • 調理室から火災が発生したと仮想して、避難訓練が行われた。
  • 現実世界では陰キャな私だが、仮想の世界ではクラス1の人気者である。

「想定」と「予想」の違い

「想定」と「予想」は意味を混同しやすい熟語です。文章中の「想定」を「予想」に変えてみても、さほど違和感を抱かないケースがあるかもしれません。しかし、この2つの言葉の意味は異なるものです。

「想定」と「予想」は何が違うか

【「想定」と「予想」の意味】

  • 「想定」…事実や資料など確固たる情報をもとに、可能性のある未来を設定すること。また、未来に対処する方法を持っておくこと。
  • 「予想」…自分なりに近い未来を想像すること。

【違いのポイント】
「予想」は主観や確かなデータや情報がない状態で将来のことをイメージするのに対し、「想定」は正確な情報をもとにして、実際に起こりうる可能性のある未来について思い描きます。「想定」のほうが、より現実味のある未来を設定できる場合が多いと言えるでしょう。

「想定外」と「予想外」、「想定通り」と「予想通り」、言葉は似ているようでも、常に正しく使い分けるのは難しいかもしれませんね。

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